人の命を預かるタクシー運転手は、健康にも細心の注意を払うべし

体力・集中力が無くなれば事故につながる

今、丁度私はGWと夏休みの間にある短期間の連続休暇(通称・梅雨休み)の真っただ中でコラムを書いています。

普段、勤務明けで眠い目をこすりながらリサーチをし、バテバテになりながら記事をアップするのに比べ、連続休暇で体が休められると、自然とコラム作成のスピードも上がって来ます。

さて… 人の命を預かり、道路上の運転者や歩行者の安全を確保しながら輸送に従事するタクシー運転手は、常に自身も心身共に健康であることが求められます。

これは、タクシーだけでなく鉄道・航空・海運など公共輸送に携わるすべての人に言える事ですが、ことタクシー運転手は路上での危険に遭遇しやすい立場なだけに、その注意力を最大限に引き出すため、他の公共輸送従事者以上に健康管理が求められます。

そこで今回は、これからタクシー運転手を目指そうとする方だけでなく、現役のタクシー運転手の方にも役立つ健康管理のお話や情報を提供して行きましょう。

芸能人は歯が命…タクシー運転手は健康が命

一昔前「芸能人は歯が命」という歯磨きのCMがありましたね。歯の白い芸能人は、好感度がアップすると言います。

では、タクシー運転手にとっては「ナニ?」が命と言えるでしょうか?

チッ…チッ…チッ…チッ…ジャン!

正解は「健康」なのです。

人の命を預かり、周囲の安全を確保しながら輸送に携わるタクシー運転手は、どの人よりも「健康が命」でなければ務まりません。パッと外身だけでは解りませんが、中にはどう見ても「不健康そうなタクシー運転手」を見掛けたりしませんか?

  • 視線の焦点が定まっていない(薬物中毒かアルコール依存症の疑い)
  • 髪型や服装が乱れている(認知症の疑い)
  • 空調が効いた社内なのに息遣いが荒い(高血圧・循環器疾患の疑い)

プロドライバーとして長年従事している私には、こうした兆候のあるドライバーに出くわしたら、途中で乗り換えるなど防衛策を取りますが、一般の方は解らないですよね…念のため知識として。

話が逸れましたが、健康なタクシー運転手は道路上の安全確保がきめ細やかに出来るだけでなく、接客態度や営業収入面でも優秀な成績を収められるバックボーンとなります。

それだけに、日々を通じてだけでなく、長い年月に渡り、自分の年齢に応じた健康管理策を、タクシー運転手は要求されるのです。

不規則な勤務体系だからこそ、求められる健康管理への高い意識

隔日勤務のタクシー運転手は、ほぼ一日を車の中で過ごし、ストレスが溜まった状態で帰宅します。

いやぁ~疲れたぜ、勤務明けの一杯…!

と冷蔵庫から缶○○〇を取り出す現役タクドラの皆さん、ちょっと待った!

確かに「勤務明けの一杯」は、五臓六腑に染み渡ります…が、24時間働きっぱなしの肉体や内臓はほぼ「ボロボロ」な状態です。

「ボロボロ」で無防備な状態の内臓に、強力に冷えまくり口当たりの良いビールやチューハイを流し込むことは、内臓に更なる負担をかけ、やがて内臓疾患を引き起こすきっかけとなってしまいます。

加えて足腰は長時間の運転でダメージを受けています。そのまま放置しておくと、筋肉にダメージを受けるだけでなく、老化の進行を早める事になります。
野球やサッカーなどのプロスポーツ選手は、試合が終わった後入念に体の手入れを行うと言われています。

24時間近く車と共に走ったタクシー運転手も、言い換えればアスリートと同じ位体にダメージを食らっていると言えます。

だから「勤務明けの一杯」の前に、体をしっかりケアする必要があります。そういった意識を常に高く持つ事で、長期間に渡る運転手人生を、無理なく健康で過ごせることが出来ると言う訳です。

体に気を付ければ、60代70代でも40~50代顔負けの健康な心身で日々の乗務に対応出来ます。

具体的なタクシー運転手の健康管理実践

帰庫作業&洗車終了後

では、具体的にタクシー運転手が意識すべき健康管理の実践について話して行きましょう。

せっかく前のパートで勤務明けの生活に触れたので、最初に勤務明けでの健康管理の実践について話して行きましょう。

社屋に風呂が設置されている場合、必ず入浴をしましょう。湯舟がある場合、
全身を浸かった状態で、シャワーだけの場合は腕肩腰の関節部に30秒程度
シャワーを当てて温めます。

入浴後は、たとえ自宅が近くても、社内に仮眠室がある場合は利用し、最低で
も30分~1時間仮眠を取ってから帰宅します。仮眠室が無い場合、速やか
に帰宅後に就寝します。

社屋に風呂・仮眠室が無い場合、速やかに帰宅後に風呂☛就寝とします。

明け休みの過ごし方について

  • 帰宅後再び就寝し、大体昼前位まで寝ましょう。
  • 朝食は、昼食兼用のブランチスタイルで。和食なら、主催がおかゆなど消化に良いもので。負担にならない様「腹6分目」が理想です。
  • 食事後は静養しますが、体が動かせられるようなら、散歩・ジョギングなどを行い、体力維持に努めましょう(有酸素運動が出来れば一番)。
  • 帰宅後の飲酒は自由ですが、節度があり自分自身の量を守って飲みます。
  • 飲酒の際は、枝豆・しめさば等良質で体に良いたんぱく質をアテに飲みます。
  • 夕食は、遅くとも夜7時過ぎには終え、入浴の後就寝して翌日の勤務に備 えます。翌日が公休の連休の場合でも、夜10時までには就寝しましょう。

一方、乗務中の運転手に対しては、こんなアドバイスがあります。

乗務中の過ごし方について

  • 4時間営業走行毎に、大体20分休憩を取りましょう。一乗務で通算3時間最低でも休憩する必要があります(道路運送法指針による)。
  • 遅番勤務(朝帰り組)は、深夜帯は必ず30~1時間寝ることが必要。
  • 食事は麺類など消化の良いものか、和定食など体に負担のならない食材を使ったもので。牛丼・ハンバーガー・調味料を多用した洋食類は、遊眠作用が強いので極力避ける。
  • 走行中でも、足を伸ばしたり、空車時は腕を上へのバスなどストレッチをして疲労の蓄積を防ぎましょう。

これまで述べてきた内容は、私が新人運転手の教育担当として任じられた際、会社側から配られた教育内容の一部を抜粋し、内容は一部変えて書いたものです。

タクシー運転手と言う仕事は、世間では働くサラリーマンの感覚とはガラッと世間が変わるので、明け休みや仕事中の休憩の取り方に戸惑うと言うケースが多々見られます。

明け休みが長いので開放感に浸って、朝から24時間営業の居酒屋で飲んだくれし、翌日アルコール検査に引っ掛かって大目玉を食らった新人も多数知っています(そんなこと頻発したら大問題ですが(恥))。

仕事と仕事の間に健康管理を怠らず、体を休め鍛え、適度に楽しむ方法を取得出来ねば、タクシー運転手人生だけでなく自分の寿命を縮めかねないことにもなり兼ねません。

タクシー運転手の健康を守る企業としての取り組み

洗車、点検

さて、タクシー運転手個人の健康管理については、各タクシー会社の指針にゆだねられていますが、ではタクシー会社(企業)としては、どの様な取り組みを行っているのでしょうか?

その大きな活動の一つが「健康診断」です。

一般企業に勤めている時、健康診断は年一回(二回やった時もあった)でしたが、今の勤務先を含め、大体のタクシー会社では年3回(!)健康診断を実施しています。

3回行われる健康診断の内、2回は「簡易検査」と呼ばれ、採取されるものも検尿しかありません。

ところが年一回(秋かなぁ)行われる健康診断「本検査」と言われ、検尿・検便に加え血液採取や心電図検査、更に40歳以上は悪夢の「バリウム検査」が待ち受けているのです。

この本検査で、大概何かしら病気を患っている運転手は見つかるもので、指摘を受けた運転手は、直ちに掛りつけか指定の病院で再検査・治療を受け、その報告が完了しないと乗務に復帰出来ないと、ウチの会社では定められています。

東京四社の一つkm・国際自動車では、東雲にある健保センター内に看護師の方が常駐し、運転手からの健康に関する助言やアドバイスを行っている本格的な対応もあるそうです。

km・健康管理室(東雲健保センター)常駐の看護師による健康相談

一方、日本交通グループの一つで杉並に本社がある「キャピトルモータース」では、日本女子大学の先生を招いて「健康講習」を開催したり、外部の専門家の協力を受け、乗務中や明け休みにも気軽に行えるストレッチ体操の実践活動を行っているそうです。

キャピトルモータースによる健康管理への取り組み

タクシー運転手の健康管理のまとめ

他の業種以上に健康管理が求められる仕事

如何だったでしょうか?
一般に不健康なヲッサンの集まりと見られるタクシー運転手ですが、実は厳密な健康管理の元で走っている事をお解り頂けたと思います。

私もタクシー運転手として仕事する中で「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」が発見され治療に至った訳で、ある意味非常に助かったとも言えます。

最近はストレス社会だとも言われ、タクシー会社の中には月毎にストレ


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堀瑞 勤
今年6年目の乗務員生活を謳歌している現役タクシードライバー。1967(昭和42)年生まれ。2013(平成25)年日本交通系タクシー会社のドライバーとなる。黒タク資格&スリースター(最上級乗務員)資格所有。