居眠り運転は交通事故につながります。しかし、運転中に眠くなってしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。
交通事故の危険がある居眠り運転はなんとしても避けたいですよね。そこでこの記事では、運転中に眠くなる原因と居眠り運転を予防する方法をご紹介します。
具体的には、
・運転中に眠くなる原因
・運転中眠くなったときにすべきこと
・運転中に眠くならない方法
の順にお伝えします。
原因と対策が分かれば運転中の眠気を防ぐことが可能です。ぜひ最後までご覧ください。
まずは、次の2つについてみてみましょう。
・居眠り運転による交通事故の発生率はどのくらいなのか
・発生率の高い時刻
この記事の目次
居眠り運転の発生率
国際交通安全学会誌に記載されている文献『居眠り運転発生の生理的メカニズム』によると、年間で一般運転者の4〜8%が居眠り運転をしているとのこと。このうち、事故に繋がったケースは1%未満とされています。
この数字を見ると、居眠り運転による交通事故の発生率は低いように感じるかもしれませんね。しかし、万が一交通事故を起こせば取り返しはつかないため、発生率が低いからといって軽くみてはいけません。
午後2~5時の居眠り運転事故発生率がピーク
「2-1 居眠り事故の発生時刻」を参考にしてください。
国際交通安全学会誌に記載されている文献『居眠り運転発生の生理的メカニズム』によると、居眠り運転の事故発生率が高いのは、
・2〜7時ごろ
・14〜16時ごろ
の2つの時間帯とのこと。1日の中で2回、居眠り運転が起こりやすい時間帯があるようです。同様のケースが海外でも確認されており、この時間帯は特に注意が必要と考えられます。
運転中に眠くなる原因
運転中に眠くなる原因としては、主に以下のようなものが考えられます。
・生活リズムの崩れによる睡眠不足
・服用している薬の副作用
・睡眠み関係する病気の可能性
ではそれぞれについて、運転中の眠気にどう関係しているのか解説します。
疲労の蓄積
疲労が溜まっていると体を回復させるために睡眠が必要になります。そのため、特に過疲労状態では極度の眠気に襲われて自分の意思では起きていられず、居眠り運転につながるのです。
極度な疲労の蓄積を感じたら、車の運転はしないことをおすすめします。
生活リズムの崩れによる睡眠不足
睡眠時間が足りていない場合も、居眠り運転の可能性が高まります。睡眠不足の状態では体が睡眠を必要としているため、運転中でも眠気に襲われるのです。
特に生活リズムが崩れると、睡眠時間が足りない、質の良い睡眠が取れないなど、結果的に睡眠不足に陥りやすくなります。
服用している薬の副作用
運転中に眠くなる原因の一つとして、服用している薬の副作用があります。風邪薬や花粉症の薬など、一般的に服用されている薬の中にも眠気を引き起こす成分が含まれているものは多いです。
服用する薬は眠気の副作用があるか確認し、副作用があれば運転前に飲むのは避けましょう。
睡眠に関係する病気の可能性も
「眠いのは睡眠不足や疲労のせいだ」と思っていても、実は睡眠に関する病気かもしれません。代表的なのものは「ナルコレプシー」と「睡眠時無呼吸症候群」です。
ナルコレプシーとは、場所や時間にかかわらず突然眠ってしまう睡眠障害。脳の睡眠を調節する機能がうまく働かず、自分では制御できないほどの眠気に襲われます。
睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に呼吸が浅くなったり止まったりする疾患です。呼吸ができないため眠りが浅く、日中は睡眠不足で眠気を生じます。首周りの脂肪や舌の付け根が気道を塞ぐことが原因で、肥満体型の人に多いです。
十分に睡眠をとっているのに過度な眠気を感じる場合は、これらの疾患の可能性も考えられます。居眠り運転による交通事故を起こす可能性が高いため、車を運転する人は必ず治療が必要です。
運転中眠くなったときにすべきこと
運転中に眠くなったら、以下の方法で眠気を覚ますのがおすすめです。
・覚醒作用のある飲食物を摂取する
・音楽を聴く、歌を歌う
・20分以上の仮眠を取る
ではそれぞれについて、眠気が覚めるメカニズムをご紹介します。
窓を開けて外の空気を吸う
最も簡単な眠気さましの方法は、窓を開けて外の空気を吸うことです。
脳の活性化には酸素が必須。しかし、窓を締め切ったままにしていると車内の二酸化炭素濃度が上がり、酸素濃度は下がります。すると、頭がぼんやりして眠くなってしまうのです。
窓を開けて空気を入れ替え、体内に酸素を十分に取り入れれば頭もスッキリ。眠気を覚ますのに効果的です。
覚醒効果のある飲食物を摂取する
運転中の眠気を覚ますには、覚醒効果のある飲食物を摂取するのもおすすめです。
例えば、カフェインが入ったコーヒーや紅茶。カフェインは眠気を覚ますのに効果があることは有名ですよね。緑茶やカフェイン入りのエナジードリンクもいいでしょう。
ガムも眠気さましに効果的。噛むことで脳に刺激が伝わり脳が活性化します。味もミントなどの刺激のあるものほど眠気を抑えられるでしょう。
音楽を聴く、歌を歌う
音楽を聴いたり歌ったりすることも眠気さましに効果的です。音を聞きいたり顔まわりの筋肉を動かしたりすることで、脳が活性化されるからです。
特に、アップテンポな曲の方が脳にとって刺激が強く眠気が覚めます。また、明るい曲の方が気分が上がりますし、声に出せばストレス発散にもなるでしょう。
逆に、ゆったりとしたバラードやクラシックなどはリラックスできますが、眠気を誘うので避けた方がいいでしょう。
20分以内の仮眠をとる
どうしても眠気が覚めない場合は仮眠をとりましょう。ただし、20分以内にするのがポイントです。
20分にすべき理由は、レム睡眠・ノンレム睡眠のリズムにあります。ノンレム睡眠は深い眠り、レム睡眠は浅い眠りのこと。眠っている間はレム睡眠とノンレム睡眠が繰り返されています。
この睡眠のリズムを考慮すると、最も効率よく脳を休め、かつスッキリ起きられるのが20分なのです。
また、30分を超えると深い眠りに入り、スッキリ起きられなくなってしまいます。夜に寝付けなくなる可能性もあるため注意しましょう。
【予防が大切】運転中に眠くならない方法とは
運転中に眠くならないためには、以下の予防策を取るのがおすすめです。
・定期的に休息を取る
・昼ごはんを食べすぎないように注意する
では、それぞれの方法について詳しくご紹介します。
十分な睡眠を確保する
運転中の眠気を防止するために最も重要なのは、十分な睡眠を確保すること。
日中、覚醒状態を保つために必要な睡眠時間は6〜9時間といわれています。十分な睡眠をとった状態で運転していれば、途中で眠くなることはあまりないでしょう。
ただし十分な睡眠を取ったつもりでも、眠りが浅かったり、夜中に目が覚めたりすれば、運転中に眠くなる可能性があります。
質の良い睡眠を取るために、眠りが浅くならないようストレスをためないような生活を送ることや、生活リズムを整える工夫も大切です。
定期的に休憩を取る
疲労は眠気につながります。定期的に休息を取り、疲れる前に体を休めましょう。
特に長時間運転する際は、最低でも2時間に1回は休憩が必要です。2時間に1回の理由は、運転免許の長距離バスやトラックの運転手などの自動車運送業者に、国土交通省から2時間に1回の休憩を取るようルールが定められているから。
長時間の運転では、次の症状が出てきます。しかも、あまり自覚がないことも多く非常に危険です。
・集中力が低下する
・目が疲れる
・同じ姿勢をとり続けることで疲労が溜まる
こうした症状を避けるためには、プロのドライバーでも2時間に1回は休憩が必要ということなので、一般ドライバーならもっとこまめに休憩を挟んでもいいでしょう。
昼ご飯を食べ過ぎないように注意する
「ご飯を食べた後は眠くなりやすい」と感じる人は多いと思います。食後の眠気を防ぐには、昼ごはんを食べすぎないよう注意しましょう。
食事を取ることで体内では、次のような症状が起こり眠気につながっています。
・血糖値が上がる
・副交感神経が優位な状態になる
・脳の覚醒物質が低下する
食事をたくさん取ると血糖値が急上昇。上がった血糖値を下げようとしてインスリンというホルモンが働くと、今度は血糖値が急降下。このように、血糖値が大きく変化することで眠気を引き起こしています。
また、消化活動が活発になると体は副交感神経が優位な状態に。副交感神経は体をリラックスさせる働きがあるため、食後は自然と眠くなります。
さらに、食後はオレキシンという脳の覚醒物質が低下するため、覚醒状態を保てず眠気を引き起こすのです。
これらの症状はたくさん食べた時ほど起こりやすいため、次のことを意識して食事を取ると、眠気防止に効果的です。
・腹八分目を心がける
・糖質を取りすぎない
・ゆっくり食べる
まとめ
では最後に、この記事で説明した内容をまとめます。
年間の居眠り運転の発生率は4〜8%です。このうち事故に繋がったケースは1%未満。数値を見ると発生率は低く感じるかもしれませんが、誰でも居眠り運転から交通事故を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
居眠り運転の主な原因は、
・生活リズムの崩れによる睡眠不足
・服用している薬の副作用
・睡眠が関係する病気の可能性
などが考えられます。運転中に眠くなる人は、まずはこれらの要素がないか確認しましょう。
運転中に眠くなったら、以下の方法で眠気を覚ますのがおすすめです。
・覚醒作用のある飲食物を摂取する
・音楽を聴く、歌を歌う
・20分以上の仮眠を取る
また、運転中に眠くならないためには、以下の予防策を取るのがおすすめです。
・定期的に休息を取る
・昼ごはんを食べすぎないように注意する
車を運転する人は、絶対に居眠り運転をしないよう心がけましょう。