今はコロナ禍の影響があり外国人のタクシー利用客は伸びていませんが、コロナが流行する前は年を追う毎に増えていました。また、コロナが明けたときには外国人観光客が一気に増えることは間違いないです。

タクシー運転手として働いていると、なかには長年日本に住んでいて、とても流暢な日本語で話しかけられ、ビックリする事もありますが、ほとんどの場合、タドタドしい日本語で恐る恐る話しかけられる場合や、いきなり行きたい場所のスマホ画面を見せられる事もしばしばです。

そんなときに英語対応ができると、会社からも英語が話せる人材だと評価され、国際線の多い成田空港で外国人を迎える担当となり一気に給料アップが見込める可能性もあります

そこで今回は

  • 「タクシー運転手にとって今後英語は必要なのか?」
  • 「英語が出来たらどれ位収入が増えるか?」

など、タクシー運転手と英語を巡る話題をまとめたいと思います。

タクシー運転手の英語にまつわる話

日本を訪れたり日本で仕事をする外国人って、年間どのくらいいるの?

日本政府観光局(JNTO)の資料によると、1964(昭和39)年に僅か35万人足らずだった外国人の数は、50年以上経った2016(平成28)年には2400万人超となりました。訪日者数は、50年でなんと約80倍になったのです。

直近の2021年2月の統計では、コロナの影響で7400人にまで減少しています。これに対し前年の2020月2月は108万5147人です。コロナ禍のなか、私たちには感染予防をすることしかできないですが、収束して元通り観光客が多く流れ込む日を願って今は我慢の期間です。

直近のデータを除けば、日本はインバウンド客が年々増加傾向にあったことがわかります。

資料:日本政府観光局「年別 訪日外客数 出国日本人数の推移」
   「2021年 訪日外国人数・出国日本人数」

特に2003(平成15)年以降、外国人旅行客誘致に向けた「ビジット・ジャパンキャンペーン」が始まってからは、訪日者数が激増してる事が解ります。

在留外国人の推移

出展:時事ドットコムニュース2018年9月【図解・政治】

一方、結婚やビジネスを目的に日本へ長期在留する外国人の数も、2012(平成22)年を境に急増しています。主には中国・韓国の人達ですが、英語を母国語とする欧米圏からの在留者も非常に増えており、私達が日常で英会話を身近に感じるケースは、今後益々増えるでしょう。

タクシーを利用する外国人の数って増えてるの?どの位利用するの?

繰り返しで済みませんが、訪日客のタクシー利用客は年々増えてます・・・と言っても、具体的な資料を提示出来ないのが残念です。各調査機関やタクシーセンターのHPを開いても、訪日客のタクシー利用者数の推移に関する資料が無いのが現状です。

実際にタクシー運転手として働いている方から話を聞くと、まだリーマンショック直後だった頃はさほど外国人の利用者はいなかったらしく、大体、2乗務で1組位しか出会わないと言う事が、約1年以上続いたそうです。

その時期からタクシー運転手を続けていて、明らかな外国人の乗客数の増加を実感したとのことです。

今後、タクシー運転手にとって、英語は必要になるの?

これまで話して来た通り、タクシー業務における英語の利用頻度は、下がる事は無くとも上がる一方だと言えるでしょう。

政府が観光立国を更に推し進める方針の中で、今後タクシー運転手にとって英語は・・・最低限の教養の一つとなることもあるかもしれません。

あるタクシー会社では、数年から大卒新人の採用を始めましたが、彼等が研修を受ける中の一つのメニューとして「英会話」の半年の受講が義務付けられているというのです。もはや「手と足が付いていて、目が見えて耳が聞こえる」ならドライバー即採用!なんて時代ではなくなっています。

英語が話せると、収入は増えるの?

成田空港

少なくとも東京23区+武三地区(東京エリア内)では、英語が話せるドライバーとそうでないドライバーとを差別化する動きが進んでいます。特に羽田空港の国際線ターミナルのタクシー待合レーンは、2019年春以降はタクシーセンター英語研修の中級修了者しか並べなくなります。

加えて、東京駅八重洲口の一部には、英語が出来るタクシー運転手専用に羽田空港や東京駅で「専用レーン」を設ける動きが出ています。いわゆるライドシェアが拡大する中、業界も生き残りに必死で、差別化したサービスの一環として「英語が出来るタクシー運転手の拡大」に注力していると見て良いでしょう。

実際、普段の業務の中でも、英語の出来&不出来は今後収入を左右する大きな要因の一つとなるでしょう。

英語ができることで、成田空港といった国際線のある空港で外国人のお客様を乗せることができるので、そうなると一気に客単価が上がり収入がアップします。空港からの移動となると都内まで、駅まで、といったようにある程度の距離を移動する必要がでてきますので、街中でずっと流し営業をしているときより効率よく簡単に稼ぎやすいのです・

タクシー業務で必要な英語力はどこで学ぶ?会社ごとの取組とは

英語の勉強

さて、あなたがタクシー運転手に転職をし、英語を生かしてバリバリ稼ぎたいとします。
では、どこで接客に必要な英語や英会話を学ぼうとしますか?

所属ドライバー数が500人を超える様な超大手の会社なら、福利厚生の一環として英会話の授業を有償&無償に関わらず提供してもらえると思います
しかし、小規模の事業者や、英語に全くやる気の無い経営者のタクシー会社なら、会社に頼らずに自分の力で教室を探してみるしか方法はないでしょう?

負担が重くなるのは事実ですが、NOVAやべルリッツと言った老舗の教室なら、求める内容と費用の相談に結構乗ってくれたりします。今では英語教育のオンラインサービスなども多く登場していますので、方法はいくらでもあるかと思います。

もしどうしても教室や先生を見つけられない場合、東京地区では、タクシーセンターが40人人数をまとめれば、150,000円(税別)の費用で出前授業をしてもらえるそうです。会社と相談されてはいかがでしょうか?
(参考:東京タクセン・英語出前講習の詳細

そして何より東京地区では、タクシーセンター主催の「外国人旅客接遇研修 英語」の受講が必修となります。初級・中級・上級の三課程があり、いずれも受講のみで修了。
ただし、中級以上修了しなければ、羽田国際の待機レーンには並べません。

加えて上級を修了しないと、これから紹介する「外国人旅客接遇英語検定試験(ECD)」の受験資格は与えられません。

東京タクシーセンター「外国人旅客接遇英語検定試験(ECD)」とは

外国人訪問客の急増に伴い、訪日客のタクシー利用回数の急増が見込まれる事から、東京タクセンターが、訪日外国人とのトラブル防止と利用回数増大を目的に、2017(平成29)年よりスタート。既に140人超の合格者を排出(東京地区の登録タクシー運転手数の約0.4%)。

合格者名簿はHP掲載され長く栄誉に浴すと共に、羽田空港・東京駅の待ち受けに専用レーンを設けてもらえたり、都内各所(主に高級ホテル)からの外国語ドライバー派遣要請に対し、推薦してもらえる等の特典が得られます。

ちなみに、会社レベルで外国語ドライバー要請に躍起になってるのは、東京地区では日本交通グループと国際自動車(km)、西日本では全国でハイタク事業を展開するエムケイグループ(本社・京都市)ですね。

東京エリアでは、kmが1985(昭和60)年に、有志による英語勉強がきっかけで英語教育がスタートしました。現在では、社内研修の一環に英語が組み込まれ、成績優秀者は海外留学もアリという話も出ています。

一方、日本交通グループは、2015(平成27)年に総帥・川鍋一郎会長(当時は社長)が「2020年までに外国御対応ドライバーを1000人養成する」と宣言。新卒社員の英語研修を必修化すると共に、養成ドライバーのECD取得を勧めています。

公益財団法人 東京タクシーセンター 「外国人旅客接遇英語検定」について詳しくはこちらをチェック

各地のタクシーセンターでは、英語力を認定する制度や取組はあるの?

東京タクシーセンターでの外国人訪問客に対するドライバースキルアップ策を受け、全国のタクシーセンター&タクシー協会でも「外国人接遇能力認定制度」の設立や、空港&駅への多言語対策に乗り出しています。

この内、大阪タクシーセンターでは、東京タクセンでのECDに当たる「インターナショナルビジターズタクシー認定試験」が2017(平成29)年から行われています。東京との最大の違いは、英語のみならず中国語&韓国朝鮮語のコースがあり、既に英語=124名、韓国朝鮮語=8名、中国語=17名の認定試験合格者が活躍してるそうです。
大阪タクセン・インターナショナルビジターズタクシー認定試験の概要

タクシー運転手は英語ができると確実に稼げる

今回は、タクシードライバーと英語の関係についてお話しました。
タクシー運転手にとって、今後「英語」が最低必修の教養になるかもしれない状況であることは理解していただけましたでしょうか?

そして何より、英語が出来るタクシー運転手は、確実に稼げるのが事実です。

英語を学ぶ機会はたくさんあるが、出来れば自分で探した方が無難でしょう。会社が開く英会話教室は無料で良いが、英語力一切無視で教えるので結構大変だそうです。自分の英語力に有った少人数の教室を、料金を相談しながら決める方が自分に合った環境を選べます。出来れば、講師は日系人か配偶者が日本人の方がお勧めです。

英語をある程度習得したのなら、タクシーセンター(タクシー協会)の英語検定試験の取得にチャレンジしてみましょう。東京では、タクセン検定(ECD)合格者専用のタクシーレーン増設を、羽田空港&東京駅八重洲に続いて、2~3カ所設置を年度内に検討中。都内のヒルトン&リッツカールトン&コンラッド東京なども、今後タクシー乗り場は英会話可能なドライバーのみに解放と明言してるので、出来得る限り早く、タクシーセンターや協会認定の英語資格を取った方が無難ではないでしょうか。

タクシー会社によって英語に関して対応は様々です。
会社探し、面接の際はきちんと確認しておくことが重要でしょう。
タクシー会社選びで迷っている人は、優良企業のみを紹介してくれる P-CHAN TAXI というタクシー転職専門の求人サイトに相談することをおすすめします。

タクシーの転職は転職道.com



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今年6年目の乗務員生活を謳歌している現役タクシードライバー。1967(昭和42)年生まれ。2013(平成25)年日本交通系タクシー会社のドライバーとなる。黒タク資格&スリースター(最上級乗務員)資格所有。