タクシー運転手の英語事情をお話します

話せれば収入UPするの?何処へ行けば勉強出来るの?

タクシー運転手になってもう6年目になる私ですが、最近特に外国人の利用者が増えていると実感します。昔は六本木ヒルズや白金の高級レジデンスで見かけたものですが、今は普通に下町三区(墨田区・江東区・江戸川区)の公団住宅や郊外の商店街で「ヘイ、タクシー!」と手を挙げる外国人の姿も珍しくありません。

正直、外国人のタクシー利用客は、年を追う毎に増えてると実感します。中には長年日本に住んでいて、とても流暢な日本語で話しかけられ、私がビックリする事もありますが、殆どの場合、タドタドしい日本語で恐る恐る話しかけられる場合や、いきなり行きたい場所のスマホ画面を見せられる事もしばしばです。

学生の頃イギリスへ遊学した折、街中で列車の時間に間に合わなくなり、度胸試しにヘイ、タクシーをした時、イギリス人のドライバーに日本語で話し掛けられた時はマジ助かった~と思いました。ならば、私達日本人のタクシー運転手も、外国人が恐る恐る乗車した時に・・・

Where to sir?

(どちらに参られますか?)

と言えば、とても喜ばれること間違いなしです。中には、こうした会話がきっかけで、翌日その外国人乗客が成田空港へ向かう乗車の注文を直接依頼された同僚も結構いますよ!

そこで今回は

  • 「タクシー運転手にとって今後英語は必要なのか?」
  • 「英語が出来たらどれ位収入が増えるか?」

など、タクシー運転手と英語を巡る話題をまとめたいと思います。

タクシー運転手の英語にまつわる話

日本を訪れたり日本で仕事をする外国人って、年間どのくらいいるの?

日本政府観光局(JNTO)の資料によると、1964(昭和39)年に僅か35万人足らずだった外国人の数は、50年以上経った2016(平成28)年には2400万人超となりました。訪日者数は、50年でなんと約80倍になったのです。

資料:日本政府観光局「年別 訪日外客数 出国日本人数の推移」

特に2003(平成15)年以降、外国人旅行客誘致に向けた「ビジット・ジャパンキャンペーン」が始まってからは、訪日者数が激増してる事が解ります。

在留外国人の推移

出展:時事ドットコムニュース2018年9月【図解・政治】

一方、結婚やビジネスを目的に日本へ長期在留する外国人の数も、2012(平成22)年を境に急増しています。主には中国・韓国の人達ですが、英語を母国語とする欧米圏からの在留者も非常に増えており、私達が日常で英会話を身近に感じるケースは、今後益々増えるでしょう。

タクシーを利用する外国人の数って増えてるの?どの位利用するの?

繰り返しで済みませんが、訪日客のタクシー利用客は年々増えてます・・・と言っても、具体的な資料を提示出来ないのが残念です。各調査機関やタクシーセンターのHPを開いても、訪日客のタクシー利用者数の推移に関する資料が無いのが現状です。

恐縮ながら、これから話をする内容は、私の過去5年間の乗務記録から出展するものです。信じるも信じないも「あなた次第」ですので・・・(なんかどっかの番組のパクリだな、こりゃ)。

私がタクシー運転手になった2013(平成25)年は、まだリーマンショック直後だったもので
さほど外国人の利用者はいませんでした。せいぜい外資系企業が集中する六本木界隈や白金の高級外国人向けレジデンスに無線で呼ばれるぐらいは「天然記念物」に出くわしたのと同じ位の珍しさ。大体、2乗務で1組位しか出会わないと言う事が、約1年以上続きました。

流れが変わったのは2015(平成27)年夏ごろから

夏休みシーズンで、我々タクシー運転手も旅行客を東京駅や羽田空港へお送りするのでおおわらわだった時、その月私は70組みの無線旅客を捌いたのですが、その内実に20組が海外のお客様・・・しかもその内18組は、日本初上陸で完全なネイティブ。英語が使えてなかったら、どんな騒ぎになっただろうか・・・今でもゾッとする経験です。

あくまで私の集計ですが、2018年の8月~10月までの乗務実績で・・・

  • 総旅客扱い組数 913回
  • 内流し営業での外国人組数 137回
  • 無線で対応の外国人組数 98回

つまり、乗車組数の4組に1組(注・我々ギョーカイ人は人数とか回数と言わず『組数』という)が
外国人・・・それも羽田とか東京駅、そしてタクシー運転手には夢の世界の・・・

なりたこくさいくうこう

成田空港

でした。いいもんですよ~成田便は。

メーターはガンガン上がるわ&テンション上がりっぱなしだわで・・・朝から気分爽快!ってものですかね(加えて朝成田をやれば、ほぼ仕事は終わり)。

今後、タクシー運転手にとって、英語は必要になるの?

これまで話して来た通り、タクシー業務における英語の利用頻度は、下がる事は無くとも上がる一方だと言えるでしょう。政府が観光立国を更に推し進める方針の中で、今後タクシー運転手にとって英語は・・・

最低限の教養の一つ(入社条件の一つ?)

になりつつあります。ウチの会社は、3年前から大卒新人の採用を始めましたが、彼等が研修を受ける中の一つのメニューとして「英会話」の半年の受講が義務付けられています。もはや「手と足が付いていて、目が見えて耳が聞こえる」ならドライバー即採用!なんて時代は遠くなる日が近づいていると言えるでしょうか。

しかも、この後話しますが、英語が出来るタクシー運転手専用に羽田空港や東京駅で「専用レーン」を設ける動きが出ています。いわゆるライドシェアが拡大する中、ギョーカイも生き残りに必死で、差別化したサービスの一環として「英語が出来るタクシー運転手の拡大」にやっきになってると見て良いでしょう。

英語が話せると、収入は増えるの?

先程から話してる通り、少なくとも東京23区+武三地区(東京エリア内)では、英語が話せるドライバーとそうでないドライバーとを差別化する動きが進んでいます。特に羽田空港の国際線ターミナルのタクシー待合レーンは、2019年春以降はタクセン英語研修(この後話します)の中級修了者しか並べなくなります。加えて、2018年12月3日以降、東京駅八重洲口の一部に

外国人旅客接遇英語検定(ECD)合格者専用レーン

が設けられ、従来「優良」「非優良」に関わらず並べた八重洲のタクシーレーンの数が制限されます。この話は、ギョーカイに相当な衝撃が走ってるみたいいで、先日来ウチの会社の点呼の際にも「早くECDかタクセン英語中級を取って下さい!」と話してました。

実際、普段の業務の中でも、英語の出来&不出来は今後収入を左右する大きな要因の一つとなるでしょう。

  • タクシー運転手になっても無線を回してもらえず、不貞腐れて乗り場や路上で不貞寝するドライバーになるか?
  • 無線に追いかけ回されて「もぅ勘弁して~」と嬉しい悲鳴を挙げるドライバーになるか?・・・

要はあなたが「英語をやる気」になるか否かで変わります。

タクシー業務で必要な英語力は、何処で学べるの?会社ごとの取組は?

英語の勉強

さて・・・あなたがタクシー運転手に転職をし、英語を生かしてバリバリ稼ぎたいとします。
では、どこで接客に必要な英語や英会話を学ぼうとしますか?。

所属ドライバー数が500人を超える様な超大手の会社なら、福利厚生の一環として英会話の授業を有償&無償に関わらず提供してもらえると思います(実際私がそうだった)。
でも小規模の事業者や、英語に全くやる気の無い経営者のタクシー会社なら、会社に頼らずに自分の力で教室を探してみるのは如何でしょう?。

負担が重くなるのは事実ですが、NOVAやべルリッツと言った老舗の教室なら、求める内容と費用の相談に結構乗ってくれたりします。

もしどうしても教室や先生を見つけられない場合、東京地区では、タクシーセンターが40人人数をまとめれば、150,000円(税別)の費用で出前授業をしてもらえるそうです。会社と相談されては如何でしょうか?。
(参考:東京タクセン・英語出前講習の詳細

そして何より東京地区では、タクシーセンター主催の「外国人旅客接遇研修 英語」の受講が必修となります。初級・中級・上級の三課程があり、いずれも受講のみで修了。ただし、中級以上修了しなければ、羽田国際の待機レーンには並べません。加えて上級を修了しないと、これから紹介する「外国人旅客接遇英語検定試験(ECD)」の受験資格は与えられません。

東京タクシーセンター「外国人旅客接遇英語検定試験(ECD)」とは

https://www.tokyo-tc.or.jp/driver/training.html#radio_3

外国人訪問客の急増に伴い、訪日客のタクシー利用回数の急増が見込まれる事から、東京タクセンターが、訪日外国人とのトラブル防止と利用回数増大を目的に、2017(平成29)年よりスタート。既に140人超の合格者を排出(東京地区の登録タクシー運転手数の約0,4%)。

合格者名簿はHP掲載され長く栄誉に浴すと共に、羽田空港・東京駅の待ち受けに専用レーンを設けてもらえたり、都内各所(主に高級ホテル)からの外国語ドライバー派遣要請に対し、推薦してもらえる等の特典が得られる。

ちなみに、会社レベルで外国語ドライバー要請に躍起になってるのは、東京地区では日本交通グループと国際自動車(km)、西日本では全国でハイタク事業を展開するエムケイグループ(本社・京都市)ですね。

東京エリアでは、kmが1985(昭和60)年に、有志による英語勉強がきっかけで英語教育がスタート。現在では、社内研修の一環に英語が組み込まれ、成績優秀者は海外留学もアリとか?。

一方、日本交通グループは、2015(平成27)年に総帥・川鍋一郎会長(当時は社長)が「2020年までに外国御対応ドライバーを1000人養成する(ホントかよぉ~イチロー君?)。」と宣言。新卒社員の英語研修を必修化すると共に、養成ドライバーのECD取得を勧めています。

一方エムケイグループは、社内で独自の英語教育プログラムがあり、上達度によって1級~8級にランク分けされています。聞いた話では、入社後3年経って最上級の1級を取れないドライバーは通常乗務ラインから外され、退職を強要されるか都内レジデンス~最寄駅の間の送迎係(な、何と手取りで10万もないとか)に格下げされるそうです(私じゃ絶対無理)。

各地のタクシーセンターでは、英語力を認定する制度や取組はあるの?

東京タクシーセンターでの外国人訪問客に対するドライバースキルアップ策を受け、全国のタクシーセンター&タクシー協会でも「外国人接遇能力認定制度」の設立や、空港&駅への多言語対策に乗り出しています。

この内、大阪タクシーセンターでは、東京タクセンでのECDに当たる「インターナショナルビジターズタクシー認定試験」が2017(平成29)年から行われています。東京との最大の違いは、英語のみならず中国語&韓国朝鮮語のコースがあり、既に英語=124名、韓国朝鮮語=8名、中国語=17名の認定試験合格者が活躍してるそうです。
大阪タクセン・インターナショナルビジターズタクシー認定試験の概要

一方、内容は少し異なりますが、我々ギョーカイの上部団体である「全国ハイヤータクシー協会」では、2019(新元号元年)までに外国御対応ドライバーを1万人養成する事を目的に、日本へ来た留学生や在留外国人子弟のタクシー運転手の採用に力を入れ出したそうです。今の臨時国会の焦点となっている「外国人単純労働者受け入れ解放」と相まって、今後注目される動きと見れます。

全国ハイタク協「訪日外国人向けタクシーサービス向上アクションプラン概要」

まとめ

タクシー運転手は英語ができると確実に稼げる

  • 訪日外国人客急増中・・・当然タクシー利用客も今後ウナギ登りに!
    2020年の東京五輪開催時には、4000万人と言われる訪日客。当然「ヘイ、タクシー!」の数
    だって今後はウナギ登りに!!
  • タクシー運転手にとって、今後「英語」が最低必修の教養になる
    英語が出来ないタクシー運転手は、クリープを入れないコーヒーと同じほど必要ないと言われる時代が、あと2~3年で常識となる。
  • 英語が出来るタクシー運転手は、確実に稼げる
    東京駅へ・・・と言ってたお客が、英語で話しかけた途端「ユー気が変わった、ナリタまで!」と乗客が豹変した経験を持つ私だから言える事・・・英語出来りゃ2~3割稼ぎはアップします。
  • 英語を学ぶ機会はたくさんあるが、出来れば自分で探した方が無難
    会社が開く英会話教室は無料で良いが、英語力一切無視で教えるので結構大変。自分の英語力に有った少人数の教室を、料金を相談しながらキメたい。出来れば、講師は日系人か配偶者が日本人の方がお勧めです。
  • タクシーセンター(タクシー協会)の英語検定試験を一刻も早く取れ!
    東京では、タクセン検定(ECD)合格者専用のタクシーレーン増設を、羽田空港&東京駅八重洲に続いて、2~3カ所設置を年度内に検討中。都内のヒルトン&リッツカールトン&コンラッド東京なども、今後タクシー乗り場は英会話可能なドライバーのみに解放と明言してるので、出来得る限り早く、タクシーセンターや協会認定の英語資格を取った方が無難。

タクシー会社によって英語に関して対応は様々。会社探し、面接の際はきちんと確認してくださいね。タクシー会社探しは転職道.comが求人数多いですよ。

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今年6年目の乗務員生活を謳歌している現役タクシードライバー。1967(昭和42)年生まれ。2013(平成25)年日本交通系タクシー会社のドライバーとなる。黒タク資格&スリースター(最上級乗務員)資格所有。