残業はどの業種でも厳しい規定があります。タクシー運転手でも同じで今の時代にそぐわない働き方を強いられるところはあるのではないか?と心配されるのも無理はありません。

実際、タイムカードを押してからさらに働いた経歴のある方が転職先として、タクシー運転手を選択しているのです。都会もしくは地方ではタクシー運転手の労働時間は格差があるのか?残業はどのようになっているのか?訴訟にまで至ったケースまでほんとのところを知りたい方のために調べてみました。

タクシー運転手の勤務形態と労働時間

タクシー

タクシー運転手は会社と雇用契約を結んでいます。この時に、会社の規則をしっかりと見て疑問に思うことがあったら臆せずに聞いてみましょう。

まず大まかに乗務時間の勤務形態が日勤か隔日かに分かれます。日勤は昼間の勤務と夜間勤務です。大体は8:00から出発できるように7:30出社で16:30までの8時間勤務。休憩1時間などとうたっているところがあります。

細かい時間は各タクシー会社で異なります。夜勤も同じく8時間労働の休憩1時間となっています。隔日は丸2日乗務します。乗務時間は16~17時間、休憩は3時間あります。これは労働基準法に照らした勤務時間となっていて、ハンドルを握っている時間が勤務時間ではありません。

法律では日勤は拘束時間が8時間プラス休憩の1時間。隔日は拘束時間が16~17時間プラス休憩の3時間になります。休憩時間も入っての拘束時間なので、そのほか会社に出勤してから点検や引継ぎの時間と帰庫してから車内清掃や清算、データ入力、報告等の書類提出などの業務も勤務時間に該当します。

仮に勤務の終わりが16:30と決まっていた場合、30分程度早く車庫に戻り終業時刻までに業務を終わらせる必要があります。

これを知らずに16:30きっちりに戻ってしまうと、残業になるかもしれません。それは研修の時に教えてもらえるのはずなので、出勤、退勤の時間は注意をしましょう。

実際のところタクシー運転手に残業はある?

タクシー

タクシーの運転手さんで残業はあまり聞いたことがありません。最近は働き方改革で、残業しない、させない風潮になっています。タクシー会社の中には、運転手を派遣して先方の車を運転する業務を請け負っているところもあります。個々に働く条件が違うタクシー運転手は本当に残業なしなのでしょうか。

そもそもどこからが残業?

残業は厳しく労働基準法で決められており、どんな労働者もこれに沿って働いています。転職して始めてタクシー運転手としてデビューをするなら、固定給や数カ月はお給料が固定〇〇万円支給などの魅力的な条件に惹きつけられてドアを開けた方も少なくないはず。

そこで改めて残業の定義をひも解いてみましょう。労働基準法には労働時間や賃金に関する項目があります。残業はその条件をオーバーした分が、基本の賃金に上乗せされます。
基本は1日8時間を超えて労働した場合。もしくは週40時間を超えた場合とあります。

そのため拘束時間が9時間でも休憩時間が1時間あるので、労働時間は8時間となり規準に反しません。さらに拘束時間としては1カ月299時間以内とあるので、1日だけ15分20分すぎても、1週間で40時間以内に入っていれば残業としてカウントされません。これは夜勤も一緒の規則になります。

隔日はまた基準が違い、20時間前後拘束されますがその中で休憩時間が3時間あれば問題ありません。拘束時間は1カ月262時間となっています。特に確実ではもう一つ稼ぐ方法があり、1年のうち5~6カ月は270時間と設定してもいいことになっています。ですがあくまで会社とのやり取りがあったうえでの話で、勝手に変えることはできません。きちんと会社と話し合いましょう。

基本的に一人で行う仕事なので残業は少ない

タクシー運転手はドアを閉めてしまうと、一人で仕事をしなければなりません。ゆえに時間の管理も自分でするので、体調管理も大事な仕事になってきます。コロナが収まるまでは、利用客が乗り降りするたびに消毒をし、換気も行い手間暇がかかるかもしれません。

今までのように、ハイ次の形どうぞとはいかなくなったので時間のロスが気になっているドライバーさんにとって、相当なストレスになっていると思います。だからといって好きなだけ残業して稼ぐのは、あまりにも自己中心的と言われかねません。

残業になるケースとしては長距離のお客さんを乗せた時や、帰り際に会社と反対方向のお客さんを拾った時くらいでしょうか?それもトータルで計算すると、なかなか残業代に結びつかないのが実情です。

完全歩合制の場合残業代が出ないことも

タクシー会社に入社すると、会社と雇用契約を結び色々な運転手は規定を守らなくてはなりません。これはタクシー会社も一緒で、使用者として運転手を働かせる義務があり給与の支払いも規則として決められています。

これは労働基準法27条に「出来高払制、その他の請負制で使用する労働者については、使用者は労働時間に応じ、一定額の賃金の保証をしなければならない」とあるように、歩合でも労働時間に応じ保障給と呼ばれるお給料が発生します。

ですが完全歩合制となると、会社は個人事業主と契約を結ぶ形になり労働基準法が適用になりません。後々、個人タクシーを開業するなら話は別ですがあくまで運転手としてタクシー会社にお世話になるなら、一旦立ち止まってメリットとデメリットをじっくり考えましょう。

タクシー運転手の労働時間の特徴

タクシー運転手の労働時間とは?

タクシーはお客さんが乗って、メーターが動いたら労働時間?ではありません。

出勤してから退社までが拘束時間といい、タクシー運転手としての業務時間(休憩時間含む)を指します。その他、休息時間というのがあり勤務と勤務の間の時間の事を指します。休息時間も拘束時間と同じように規定があり、日勤・夜勤は継続して8時間以上、隔日勤務は継続して20時間以上取らなければなりません。

タクシー運転手の労働時間に関する法律

他の職業と一緒で、労働基準法に基づいて労働時間が決められています。日勤・夜勤、隔日の拘束時間は前項の通りですが休息時間があるようにお休みの日数も決まっています。特に隔日勤務の方は2日目を明け番とし、20時間以上の休息と公休を取らなければなりません。

1カ月に拘束時間が262時間と、日勤組よりも短くお休みが多いのも特徴です。

会社を出発する前のもろもろの点検や引継ぎ、帰ってからの会社での作業もタクシー運転手の仕事です。帰庫したら勤務時間は終わりと思ったら、それは間違った解釈です。

温泉の仲居さんは着物を着る時間が、勤務時間に該当すると裁判で判決が出たように準備や報告も仕事の一環と認識しましょう。

会社に残業代を請求したいときは

残業時間をしっかり記録しておく

残業代が出たか出ないかは、毎月の給与明細書に記載してあります。最近はWEBでの明細公開をしてペーパーレスで済ませるところも見受けられます。できればプリントアウトをしてチェックすることをおすすめします。

残業代として記載されていれば問題はありませんが、基本給のほかに一部手当支給と求人に書いているタクシー会社があります。自分の残業はしっかり自分で管理しましょう。特に何時から何時まで拘束されていたか、メモに記入しておくのが確実です。

どのくらい残業したかは、25%上乗せした金額が基準となります。さらに深夜手当や休日手当など、重複して支払われることがあります。手当の項目は特に目を光らせましょう。

会社の規定を見直す

入社した時の会社の規定をご存知ですか?特に給与面ですが固定給の中には、みなし残業代として元々含まれた金額を提示しているところがあります。

固定給の中には項目が色々あって、そのほかにも手当が出ます。と言われたら残業代は出ますか?とズバリ聞いてみましょう。手当と聞くと嬉しくなるかもしれませんが、様々な種類の手当てがあります。入社しただけでもらえる手当や、引っ越しの手当、北海道なら冬の暖房手当、お祝い金の数々など会社の規定でもらえる手当がたくさんあります。

申請のタイミングでもらえなくなることもあるので、会社規定をもらったら一通り目を通しておきましょう。

給与明細を所持しておく

もし会社に残業代を請求したい事実があったら、3年はさかのぼって請求することが出来ます。大事なエビデンス(証拠書類)はきちんととっておきましょう。特に給与明細は大切です。その他にも源泉徴収票なども有効です。

後はタイムカードの控えや、走行データを記録するなど方法はいくらでもあります。WEBの給与明細書はスクリーンショットや、プリントアウトなどでこまめにデータをアウトプットしておきましょう。

タクシー業界で実際に訴訟を起こしたケース

2015年に東京の国際自動車が訴えられたケースがあります。それは固定給と歩合給を合わせてもらうパターンで、残業代が発生すると自動的に歩合給がマイナスになる給与システムでした。

もちろん訴訟を起こしたタクシー運転手が勝訴しました。労働基準法の27条に一定額の賃金の保証がありますが、支払われた賃金の6割が固定給でなければなりません。

例えば10万円のお給料だとしたら4万円が歩合給、6万円が固定給となります。逆に歩合給が5万円ならどうでしょう。固定給は7万5千円となり、12万5千円のお給料がもらえる仕組みです。このように、勝手に歩合と固定給の調整をしてはいけないと記載されています。

まとめ

タクシー

タクシー運転手もノー残業デーがあっていいですよね。その分疲れた体を癒して家族サービスや、趣味にいそしんで下さい。仕方なく残業になったときは、仕事としての当然の権利です。わからないところは遠慮なく会社に聞いて請求しましょう。



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