外国人タクシー運転手が業界を席巻する日

静かに増えつつある「外国籍」タクシー乗務員

日の丸交通観光タクシー
参照:日の丸観光タクシーのHPから

最近のタクシー業界では、急増する外国人利用者(ビジネス・観光を問わず)を取り込むため、日本の大学を卒業した外国籍の人や長期で日本に在留する外国籍の人を採用しようと模索をしています。

来年の東京オリンピック&パラリンピック開催後も、外国人のタクシー利用客は順調に推移すると見られるため、今後は外国籍のタクシー運転手が、業界を席巻する日が来るかもしれませんね。

そこで今回は、業界で静かに進む「外国人タクシー運転手採用」の動きについてお話したいと思います。

外国籍の人がタクシー運転手として採用されるためには

タクシードライバーに関わらず、日本国内で外国籍の人が働くためには、各種法律や規定で条件が定められています。

その中でも一番ネックになるのが「在留資格」です。
在留資格ってなに…ウィキペディアより
外国人が「就労」を目的に日本国内に在留する場合、従来は「外交」「報道」等知的就労に限られていました。ところが、先の国会で改正された「出入国管理及び難民認定法」(入管法)により、タクシー乗務員などの「単純労働者」も、正規の手続きを経れば、就労出来るようになったのです。

当然、日本語の習熟度も問われますが、一般に日本での就労を希望する外国籍の人は、日本語に長けた人が多く(又は日本語検定1級以上の人にしか日本渡航ビザを発給しない国もある)、問題とは感じません。

とは言うもの、いざニューヨークのイエローキャブの様に、外国人の就労希望者が、一定の条件を満たせばすぐ乗務員デビューで切り様な環境になったかというは、答えはNOなのです。

外国籍の人が日本でタクシー運転手になるための最大の関門、それが「二種免許取得」なのです。

日本国内においては、第三者から料金を貰い、人や物を運ぶ仕事に従事する人or車両に乗る場合「第二種運転免許」の取得が義務付けられています。

日本の二種免許制度に似ているタクシー運転の制度として、ロンドンのタクシー乗務員が受験する「ナレッジ試験制度」があります。(ロンドンタクシーのナレッジ試験制度とは?)

日本の二種免許の特徴として、在留期間に一種免許(一般免許)を取得し3年以上経たないと取得出来ない仕組みとなっています。運転習熟期間を考慮しての制度で、日本人でも地理や法令解釈で苦しむ二種免許取得は「外国人だからハードルは低く」と言う訳にはいかないが現実なのです。

既に外国人タクシードライバーは多数在籍している!

日の丸交通引用:日の丸交通の外国籍ドライバー募集ページより

実は既に日本のタクシー会社には「外国籍ドライバー」が多数働いているのをご存知でしょうか?

既にご紹介した「在留資格」の中で、「永住者」「定住者」の資格を持つ外国籍の方は、二種免許を取得し、タクシーセンターの講習&地理テストに合格すれば「外国人タクシー運転手」としてデビュー出来るのです。

いずれにせよ、両者に属する外国籍の方は、日本国内全てのタクシー会社に就職希望を申し出ても、拒否されることはありません。

もちろん、日本語によるコミュニケーション能力や運転技能・地理に関する能力の確認は日本人以上に厳しく行われますが、問題がない場合は採用されるケースは増えています。

準大手の日の丸自動車グループでは、こうした在留資格を持つ外国籍の方を対象に、大々的に「外国籍のタクシー運転手募集」の広告を出しています。

実際、在留韓国朝鮮籍・中国籍の方や南米移住者の二世以降の方は、既に多数タクシー運転手としてデビューしていますし、最近は欧米諸国出身の方や、中東出身者の方も、在留資格制度を利用してタクシー運転手を果たす人もいます。

日の丸自動車グループの「外国籍ドライバー」募集サイト

外国人タクシー運転手は今後増えるのか?

大阪

では、今後外国籍の運転手は増えて行くのでしょうか?

その試金石と言われているのが外国籍のトラックドライバーを増やせるか否かと言う試みです。

改正入管法の施行により、各物流会社は大々的に「永住」or「定住」在留外国籍の方にドラックドライバーとしてのスカウトを、人材会社と共同で展開しています。

しかし、これがあまり上手くいっていないのが事実です。

その理由を掲載したハーバー・ビジネス・オンライン記事によると
日本の物流業は、世界トップの正確さと質の高さを誇り、そのレベルに外国籍の方は付いて来れないと言われています。

同様に日本のタクシー会社、なかでも東京のタクシーは、今やロンドンを抜いて世界一のタクシーと呼ばれる程質の高いサービスを誇ります。

果たして、そのレベルの高いサービスの意味を、外国籍の方が理解して職業として受け入れられるか?極めて疑問だと言う声が多いのが実情です。

日本に長期で滞在し、日本人が求めるレベルの高いサービスやおもてなしの意味を理解する事が先、という外国人ジャーナリストも居るほどです。

インバウンド客に合わせてタクシー業界は変化も時

増えていくかもしれないけれど変わる要素も大きい

いわゆる「ライドシェア」「無人運転」の拡大で、必要性は薄れると言われてもいますが、「ライドシェア」については本家アメリカ国内でも、安全性の担保が出来ないと問題視され、カリフォルニア州では「ライドシェア禁止」に関する法案が審議されています。

「無人運転」についても、先日発生した横浜シーサイドラインの事故に見られる様に万能とは言えず、加えて密室化した車内で異常が起きた時には手が付けられないと言う点から、出来るとしても路線バスなど定期運航路線に限られると言います。

試行錯誤しながら外国人ドライバーは増えて行くと思いますが、経済情勢によって大きく変わって来るだろうとしか、今は言えません。

今後もタクシー業界の外国人ドライバー採用傾向に着目してみましょう。



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