東京無線グループの紹介と仕組みについて

現役タクシードライバーが語るココだけの話

東京無線
車体が緑だから「バッタ」です。

都内の道で「最も見掛ける」と言っても良い位走っているのが東京無線グループの緑色のタクシーです。私たち乗務員の間では、東京無線の緑色タクシーは「バッタ」と呼ばれており…、歌舞伎町花道通りにバッタの大群が襲来中!

とSNSで流れると「ははぁ~、東無(東京無線の略称)のバッタが無線で呼ばれたな」と解る訳です。

ところで皆さん、ここでクイズです…

東京無線というタクシー会社とは、一体どんな会社でしょうか?

チッ…チッ…チッ…
正解は、

東京無線と言うタクシー会社は「存在しません」

「ええええ…何言ってんのぉ」ってお怒り?(笑)
まぁまぁ(汗)、私の話を「最後まで」聞いて下さいね。

1.東京無線グループの紹介と仕組みについて

東京無線協同組合傘下のタクシー会社のこと

東京無線グループタクシーとは…タクシーを呼ぶ無線を管轄する「東京無線協同組合」の傘下に入っている、都内の中小タクシーを総称して「東京無線グループタクシー」と呼んでいるのです(ワカリマシタカ?)。

つまり、2~30台の中小タクシーが寄ってタカっても、数千台で襲って来る東京四社(大和・日交・帝都・国際…いわゆる大日本帝国)の様な会社には太刀打ち出来ない。

そんなら、みんなで集まって無線取ればいいじゃん!
と言う事で始まったのが「東京無線」という事業組合(まぁ「無線事業体」っていうのが正しいですけどね)なのです。

東京無線協同組合の本部は、新宿の百人町(元の厚生年金中央病院…今の東京山手メディカルセンター病院のそば)にあります。
HPはこちら⇒ http://www.tokyomusen.or.jp/

東京無線本社
百人町にある東京無線の研修センター。写真は東京無線協同組合HPから

では、東京無線の傘下に入っている都内のタクシー会社って、一体何社あるのでしょうか??
答えはこちら(ジャン)⇒ http://www.tokyomusen.or.jp/member.html

因みに、加盟社全体の両数(ハイタク関係者は「台数」とは言わない。電車と同じ様に「両数」と言う)は、確か4,000両強だと聞いた覚えがありますが、ウィキペディアによると、2018年7月現在で3,596両と記されています。これは2017年に日本交通グループ傘下となった飛鳥交通の都内事業所の両数(600両強)が消えたことを指し、名実共に「東京ナンバーワンタクシー」の座から転落したと言えます。

東京無線の傘下に入ると、当然ですが自社無線は使えません。乗務員教育も、百人町の研修センターで加盟各社の新人全体が集合して行われます。要するに「所属は違えども、東京無線の乗務員として意識付けられる」分けと言いましょうか…その点は四社も同じですね。

2.東京無線グループの乗務員・求人動向について

待遇・福利厚生は差が大きいので、よく確認しよう


飛鳥交通の社員寮「飛鳥ハウス潮浜」はホテルみたいにキレイ(HPより)

東京無線協同組合では、組合自体が乗務員を募集するようなことは… 絶対行いません(コレ業界の常識)!
あくまで、乗務員採用は東京無線傘下の各社に任される訳です。要するに加盟各社では「ウチは東京無線に加盟しているから、ジャンジャン稼げる(いやぁ~看板に偽りありだな)よ。」と勧誘して来るのです。

前にも話しました通り、東京無線は中小タクシー会社のボランタリーチェーンの様なものです。つまり… 入社した会社によって、福利厚生が天と地の差 というケースが非常に多い事でも知られています(今じゃ四社のグループ会社でも同じだけどね(笑))。

例えば、今は日交へ移籍した飛鳥交通や、国産自動車・大東京交通の様に最新の設備や独身寮を多数所有している加盟社もあれば、下手をすると地方の駅前にある様な小さな建物が事業所と言うケースもあります。以前からタクシー会社に入社を決めるなら、直接見に行くことを勧めていますが、東京無線加盟社の場合は特に当てはまると言えます。

賃金体系については、加盟社に居る友人に聞いたところ「AB型(一部歩合制)」「B型(完全歩合制)」((注)血液型ではない)賃金が半々だそうです。昔ながらに日払い!でやっている加盟社もまだあるそうです。

また、乗務員としては最も気になる「手数料引き(無線使用料・チケット&電子マネー決済使用手数料…要するに組合へのみかじめ料)」については、いまだ大概の加盟社であるようです。

退職金や年金の制度もバラバラですが、最近は中退共(中小企業退職金共済)に加盟して出す加盟社も増えてきたと聞きます。年金も年金基金の加入を義務付けるケースも増えたそうで、昨今の乗務員不足に対応した福利厚生の充実が図られて来ている様に思えます。

3.ここだけ!「東京無線グループって、どうよ?」

東京無線グループに転職した友人から聞いちゃったよ!

さてさて…

ここから話すことは、正直現役乗務員としてあまり出したくない事ですが(と言うか、一部ギョーカイを貶めるようなことになり兼ねない)が、将来タクシー乗務員を目指す方で、東京無線グループ加盟社を目指そうとされる方に「いわゆるホンネの話」をしようと思います。

元々東京無線グループ加盟社は、数が多い上に福利厚生がバラバラなので、この手の話が表に出ることを嫌います。かなり裏が多い事で有名で、そういう点で2ちゃんねるとか数多くのまとめサイトで書かれている様な事も、ある意味事実として捉えねばならない必要があります。

今回は、東京無線グループ加盟某社で四年乗っている友人(当然会社名は『機密保護法』により黒塗り)に「ズバッと」ホンネを聞いてみました!

東京無線グループ加盟社に入って良かったことはなんですか?

稼ぐための教室があるのだ!

◎入社して半年もすれば、平均営収が5万を超える

コレはすごい!ウチの新人連中は、半年経っても5万には届かない

◎タクシー業界の主の様な人が多くいて、仕事のツボを教えてもらえる

営収アップのため「虎の穴」的教室で、新人は徹底的に鍛えられる。(ワタシも鍛えてくれぇ~平均10万やる方法教えてぇ~)

◎いわゆる(ギョーカイの人)芸能界絡みに滅茶苦茶強い!

因みにフジテレビ(CX)は、新宿時代から東京無線指定。日テレ・テレ朝も、四社券持つようになったが基本は東無。芸能界関連では、タクシーを一日貸し切りで20万近く(それもニコニコ現金払いで)使ってくれたケースも「大体月一加盟社全体で誰かがある!」と聞いている。

◎本気で頑張れば、四社の給料より平均3~4万/月増収する

四社から転職した人が、給与明細を見て狂喜乱舞していた。これは、居酒屋では「とりあえずビール」タクシーなら「とりあえず東京無線」と言われる位、東京のタクシーの「ド定番」な話です。

東京無線グループ加盟社に入って頭に来た(怒)ことはなに?

◎とにかく「引かれる金」が多過ぎる。

無線使用料+無線機器使用料て何?加盟金って何?…などなど訳ワカランな控除が多過ぎる。

(そんな事言ったら、ウチも意味不明な控除が一杯…ネッ、一郎君)

◎知識のない人間が、何故か内勤の管理職に?

東京無線協同組合の管理職試験に合格して、内勤になっている人が、事故処理やセンター苦情事案に対応出来ず、乗務員に丸投げ。因みに、管理職試験に関しては「カンニング」「事前漏洩」の噂が立っている。

◎乗務員同士が無関心orいがみ合っている。

社内に派閥があり、何処かに所属しないと孤立し、結局辞めざるを得なくなる。

(う~ん、ビミョーかなぁ。そんな会社、ワタシはお断り。)

◎丸の内&大手町界隈の上場企業の間では嫌われている

中には『東京無線お断り』とあからさまに公言する企業も。

東京無線グループ加盟社を巡るウワサをおしえて下さい

作家・志茂田景樹さんと下田大気さん

◎加盟社同士の元乗務員復職&移籍は「ご法度」

加盟社内の福利厚生や、勤務実態を知られたくないとする考え方があり、自身の病気・家族の介護等「社会通念上止むを得ない理由」に関して退職した元乗務員の復職を除いて、加盟社同士で元乗務員の復職&移動はご法度とされている。

◎芸能界の子弟が、乗務員として勤務している?

作家・志茂田景樹さんの息子・下田大気(現・武蔵野市議会議員)さんは、東京無線加盟社の杉並交通㈱のカリスマ乗務員として今も活躍していることは有名です。ところが現在でも数名の芸能人子弟が、東京無線加盟社の乗務員として活躍しているとのことです。守秘義務が固い事でも有名な東無ですが、そんなこともあるのですね。

東京無線グループに転職をお考えの方へ

会社によって待遇が違うのでそこは要注意

如何でしたか?東京無線傘下のタクシー運営や、乗務員採用の事。更には、東京無線を巡るウワサまで色々お解り頂けたと思います。

少しでも、皆さんのお役に立てれば幸いです。



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今年6年目の乗務員生活を謳歌している現役タクシードライバー。1967(昭和42)年生まれ。2013(平成25)年日本交通系タクシー会社のドライバーとなる。黒タク資格&スリースター(最上級乗務員)資格所有。