プロの証、第二種免許

営業するためには絶対に必要な資格です

こんにちは。業界準大手、自動車教習所も保有しているタクシー会社で新人タクシー運転手さんの研修を行っていた野の字です。

タクシー運転手になるためには、第二種免許、という運転免許が必要となっています。二種免などと言われますが、タクシーに限らず、バスやトラックなど、緑色のナンバープレートが付いた車両で営業を行うためには必須の免許です。

ここでは、二種免をとるまでに必要な費用や学科試験のコツなどについて説明します。

二種免取得にかかる費用~一発試験編~

第二種免許の取得につては、通常の運転免許である第一種免許と同様に、いきなり運転免許試験場へ赴いて、技能と学科の試験を受けることが可能です。その場合に必要となる費用は、平成31年2月現在、概ね下記の通りとなっています。

  • 受験料: ¥4,800-(A)
  • 試験車使用料: ¥2,850-(A)
  • 免許証交付料: ¥2,050-
  • 取得時講習料: ¥27,000-

合計で¥36,700-となりますが、もちろんこれは一度の受験で合格した場合です。落ちてしまうと、再試験のたびに(A)の費用が繰り返し必要になります。

教習所へ通わずに試験場へ免許を取りに行くことを、一発試験、と呼んだりしますが、金額的にはこれが最も安上がりです。

二種免取得にかかる費用~教習所編~

新しくタクシー運転手さんになるにあたって一般的なのは、やはり教習所へ通うことです。費用は、各企業や所持している一種免許の内容によって異なりますが、技能、学科合わせて概ね¥250,000-~¥300,000-程度に収まります。

指定教習所で40時間程の授業を受けて卒業すれば、試験場での技能試験が免除となり、学科試験に合格するだけで、二種免を取得できます。

なお、必ず公認の指定教習所を選んで下さい。公認がとれていないと、教習所を卒業した後に、結局試験場へ技能試験を受けに行くことになるからです。具体的に必要となる費用内訳は下記の通りです。二種免許を持たずにタクシー会社に就職すれば、その辺は会社から指示があるでしょう。

  • 教習所費用:¥250,000-~¥300,000-
  • 受験料 :¥1,700-
  • 免許交付料:¥2,050-

教習所費用は莫大ですが、技能試験が無い分、受験料は割安となっています。また、取得時講習も免除されるので、試験場で数万円を支払うことはありません。

一発試験と教習所通い、どちらがお得?

鋭角を曲がるなど、二種免許の技能試験は難しいです

単純に安さだけで比較すれば、一発試験の方が良いに決まっていますが、特に技能試験がとてもシビアなため、合格するのが大変です。再受験をするたびに¥8,000-近い費用が必要となるため、数十回落ちるくらいならば、教習所を利用する方がかえって安価です。

また、それほど落ち続ける事態に陥るのも現実的であり、一般のサンデードライバーが一発試験を受けて一回で合格するのは、稀といっても過言ではありません。しかし、もし一回で合格できたなら、最速でタクシー運転手になることが出来る手段となっています。

ところで、タクシー会社によっては、教習所を自社で運営しているところがあります。そういった大規模な会社は、教習所費用を負担せずに済むような制度を導入していることがあるのです。

具体的には、「ウチの会社でタクシー運転手になって、向こう2年間、退職せずに頑張ってくれたら、教習費用はタダにするよ。でも、2年経つ前に辞めちゃうなら、その時にお金払ってね」といった内容の制度です。

このような制度を利用すれば、当座の教習所費用が工面出来なくても、快適に二種免取得の授業を受けることができます。試験場の受験料も安くなり、三万円近くかかる取得時講習も受講不要になるため、利点は多いです。

ただし、上述の例であれば実に2年間、他業種はおろか他のタクシー会社にも転職不可能となりますので、自分が働きたいタクシー会社なのかどうか、慎重に見定める必要があります。

学科試験の概要

一発試験でも指定教習所経由でも、学科試験に合格しなければ免許証は手に入りません。第一種免許と同じです。

二種免の学科試験は、警察庁が下記PDFファイルで公開しているとおり、1問1点の文章題90問、1問2点のイラスト問題5問の100点満点95問となっており、合格点は90点となっています。全てマークシート式ですが、ことイラスト問題については正答が複数ある場合があり、正答を全て選ばない限り、点数として認められなくなっています。

仮にイラスト問題を全て失敗したとすると、それだけで10点落としていますから、文章題は完璧に正解しなければ合格できません。

二種免学科試験の特徴

上のPDFには、教則に対応する出題範囲も明記されていますが、注目すべきはその章立てです。最初の「歩行者と運転者に共通の心得」から「二輪車の運転の方法」に至るまで、実に70問程度が、第一種免許と同じような名前になっています。

二種免になるからといっても、道交法そのものが変わるわけではありません。「一種の頃は黄色で止まってたけど、二種を取ったら赤でも渡れるんだよな」といったことは起こりえません。標識の意味も全く同じです。

実は、二種免の学科試験といっても、中身の8割ちかくは、一種免の問題と同じなのです。二種免専用の問題は、旅客の扱いや運転代行の心得など、僅かしかありません。

二種免学科試験突破のコツ

二種免の学科試験で落ちてしまう人は、一種免時代の内容を忘れてしまっている場合があります。一種免と同じように教習所では学科の授業がありますが、ここで行われるのは、専ら二種免専用の授業です。学科試験当日、試験が始まる直前に、教習所で学んだノートを読み返しても、そこに書かれている内容は、問題全体の2割程度しか占めていないのです。

少し計算してみます。二種免の学科試験において、一種用の問題が70点分、二種用の問題が30点分の比率だったとします。一種免許を取った当時のことはすっかり忘れているけれども、タクシー運転手になるために、教習所で必死に真面目に懸命に勉強した人は、学科試験でどうなってしまうのでしょうか。

  • 一種:70点中半分正解 → 35点
  • 二種:30点中全問正解 → 30点

自明ですが、もちろん不合格になります。65点という数字だけを見ると、90点までは相当遠い道のりを感じさせます。しかも、教習所で学んだ部分は満点、完璧に答えられているのにも関わらずです。

二種免の学科といえども、根本の交通ルールである第一種免許の理解が大事になってきます。合格の近道は、二種免専用の問題を完璧に叩き込む事よりも、一種免の内容をおさらいする事です。

第二種免許に合格は簡単ではありません

プロのドライバー、タクシー運転手になるために

タクシー運転手になるためには、まず何よりも第二種免許を取得しなければなりませんが、教習所費用の免除制度などを運用しているタクシー会社もありますから、決して狭い門ではありません。

一種免の取得後3年経過している必要がありますが、合格するためには一種免当時の学力を保っていることが重要です。今の職業に満足していない、何か新しいことをしてみたい、といった場合は、時間の融通が利きやすいタクシー運転手という職業も、是非選択肢に入れてみてください。



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20代でタクシー業界に飛び込み、運行管理者として業界準大手の会社に就職。タクシー運行管理の他、交通事故処理や苦情対応、本社に異動してからは新人研修等も任されるようになり、タクシー関連業務の多方面で活躍。顔も名も明かせない恥ずかしがり屋