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厳しい新人研修内容をお伝えします
面接で4社落ち、5社目で採用してもらったタクシー運転手が解説します
これは私が経験した事ですが、タクシー会社を5社面接して4社落ちました。タクシーはもうダメかなと思った時、最後の1社から採用連絡がありました。地獄に仏とはこの事です。
落ちた原因はハッキリしています。一言で言えば、タクシー運転手という仕事を舐めていたからです。運転さえできれば大丈夫、とタカをくくっていました。
今は、タクシー運転手になるには、いくつもの壁を乗り越えなければならない、と痛感しています。
しかし、その壁を乗り越える事はは可能ですし、その先には自分が思い描くような世界が見えて来ます。
普通に売上さえ上げていれば、会社は何も言いません。隔日勤務なら月に11〜13回働いて、後は休日か明け番で時間を自由に使えます。寝ているのもよし、趣味に時間を費やすのもよしです。工夫と努力で、一般のサラリーマンよりいい収入を得る事も出来れば、無理せず働く事もありです。
ある意味、タクシー運転手は、ライフワークバランスのいい職種と言えます。
タクシー運転手になるには、色々な知識や経験が必要となります。また、事故や違反・長時間勤務などのリスクも避けられません。
しかし、どのような仕事にもリスクは付きものです。要は、考え方一つではないでしょうか。
タクシー会社に入社してはじまる5つの試練
タクシー会社の採用基準は比較的緩やかで、年齢・経験不問が当たり前です。注意点は、面接する会社の概要くらいは頭に入れておく事です。馬鹿にしてると私のように落とされます。
問題は採用されてから配属されるまでが大変で、うかうかしてると途中リタイアになりかねません。タクシー会社の研修、特に大手は結構厳しいものがあります。タクシー運転手になるには、最初の関門と言えます。
研修内容には、タクシー運転手になるための必要最低限の事柄が網羅されています。研修期間は、1カ月半から2カ月位になります。
1、二種免許
タクシー運転手になるには二種免許が必須であり、東京の場合、地理試験にも合格しなければなりません。
二種免許に関しは、神経質になる必要は無いかと思います。配属されて来た新人さんの中には、「こいつ大丈夫か?」という人もいますが、二種免許は立派に取得しています。ただ、中小の中には、一発受験させる会社もあるみたいなので、事前確認が必要です。
2、地理試験(東京の場合)
難関は地理試験で、合格率が5割位しかありません。大手は、この地理試験対策を徹底的にやります。専門講師が念仏を唱えるがごとく、研修生の頭の中に交差点名や建物名を刷り込んでいきます。はたから見たら、一種の信仰宗教的な雰囲気になります。
3、マナー、接客研修
この二種免許と地理試験に合格したら即配属かと思えば、更に時間をかけてタクシー運転手としてのマナーや接客術、必要な知識を教え込みます。
現場上がりの教官がロープレという手法で、研修生があらゆる場面でスラスラと受け答えできるまで指導します。中々上手く対応出来ない研修生は、フィードバックで叩かれるので泣きが入る事もあります。
4、支払い端末操作
同時に、今のタクシーはカード決済が増えているので、メーター操作など車両機器を間違いなく扱えるような訓練もします。私も中高年転職組なので、これには苦労しました。
5、路上研修
そして、卒業間際になると、路上研修で危険予知運転やタクシー特有の停車・発進の仕方などを毎日繰り返し練習します。この間もロープレは続きます。
このような過程を経て、晴れて営業所に配属されます。
さあ、これからバリバリ稼ぐぞ、と思ったら大間違いです。
管理職による乗務員デビュー可否チェックがある
私の営業所では、新人さんが配属されてから乗務するまでに2週間前後かかります。
何をするかと言うと、研修所で学んだ事を再度実地で検証します。いわゆる、最終確認ですね。
まず、座学で安全運行の心得や営業的な走り方の勉強をします。これが2日間程度。
そして、営業所内に簡易施設を設けて狭路での前進・後退の練習をします。タクシーは住宅街に連れ込まれる事が多いので、車の車幅や内輪差などに慣れておくのは大事な事になります。これを営業所では、「虎の穴」と呼んでいます。
新人さんで一度もポールに接触させずにクリアするのは、至難の技です。皆、冬でも汗ダクダクで取り組んでいます。
この「虎の穴」と同時進行で、路上実習を行ないます。都心で覚えておくべきコースを何パターンかに分けて日替わりで巡回し、道案内と同時にタクシー特有の走り方が出来るかどうかを確認します。ここでも、接客のロープレやメーター操作の練習を行ないます。
このような研修を、1週間から10日程度行ないます。
そして最後に「見極め」という最終段階に至り、課長クラスの幹部が半日同乗して乗務させるかどうかの合否を下します。
新人さんの中には、この「見極め」に中々通らずに何カ月も同じ事を繰り返す人も稀にいます。営業所も3カ月間の給与保証もあり、人の命を預かる仕事なのでじっくり構えています。
何とか「見極め」に通り、「よっしゃー!これから俺の天下だ!」と思ったら大間違いです。ベテラン運転手による3日間の「添乗営業」で、実践での最終確認をします。これに落ちて元の木阿弥に戻る新人さんもいるので、中々厄介です。
タクシー運転手になるには、山越え谷越えで大変な思いをしなければならない訳ですね。
稼げるようになると「景色が変わる」の意味とは
乗務開始から3カ月位は、試用期間になります。何事も無ければ、この頃に本社から「本採用通知」が来ます。
研修から始まって、ほぼ半年位かかる計算になります。タクシー運転手になるには、長い時間が必要なんですね。確かに、この3カ月間で辞めていく人が多いのも事実ですが。
私は先輩社員達から「ある程度稼げるようになったら、風景が変わるよ」、とよく言われました。
最初はその意味する事が理解できませんでした。しかし、何年か経って仕事に慣れた頃、乗せているお客様が私服からスーツに、走っている場所が下町から都心に変わっている事に気が付きました。
お客様にあちこち連れ回されている内に色々な事を経験し、色々な事を覚える過程で景色も変わって行くのでしょうか。
タクシー運転手になるプロセスの一つ一つが重要
異業種からの場合、研修がしっかりしている会社を選びましょう
タクシー運転手になるには、プロセスが必要だと思います。そしてそのノウハウを持っている会社と出会えるかが、タクシー運転手としての将来を決めるのかも知れません。
ありふれたフレーズですが、タクシー運転手になるには、会社選びが基本中の基本なんですね。