タクシー運転手「あなたって、昔ナニやっていたの?」

職業のるつぼ・学歴のるつぼ・人生のるつぼ…タクシー運転手

最近私の会社に入社して来る新人の経歴を見ると、学卒の新人を除いて…

「へぇ~、この人こんなスゴイ経歴なのに、ナゼ(?_?)」

「ウチの会社に来る迄一体ナニやって来たの~?」

て言う様な人が居ます。

「要は入って働いて稼いでくれるなら、前職が〇〇ザでもOK」とタクシー会社がかつては言っていた(もちろん今ではブッブー✕✕)事もある位、タクシー会社の人材募集は、殆ど前歴をこだわりません。

もちろん健康状態や年齢制限などの入社条件はありますが、基本「前科持ちでもOK」と言われ働くことが出来るのが、タクシー運転手と言われています。

そこで今回は、タクシー運転手の「昔ナニやっていた人?」と言う点にスポットライトを当ててお話ししましょう。

今も昔も「雇用の受け皿」であるタクシー運転手

私が今のタクシー会社に入ったのは2013(平成25)年でしたが、2008(平成20)年に起きた「リーマンショック」の名残がまだある時代で、まともな職業(正社員)に就ける状況ではありませんでした。

当時介護施設でタダ働き同然だった私は、3人の子供の進学費用の捻出など問題を抱え、やむにやまれぬ思いで高給を謳い文句にする今のタクシー会社に入った訳です。

当時私の周りを見回すと、不動産・金融・製造業などの元会社員や私の様な福祉関係に携わった人、更には少数ですが元自営業(要するに「経営者、社長」)や同業他社やバス会社の運転手からも居ましたね。

周りの同僚の前職を聞いて「要は何でもありって事ね」と思いました。

会社の古株に聞いたのですが、昔は浴場へ行くと、背中に見事な刺青がある元ヤ〇ザ出身者や、10年以上クサい飯を食って来た「塀の内側の人」なんて結構ザラに居たそうで、中には「舎弟ドライバー」等と今では考えられない様な人も在籍していたそうです。

今日の様に、タクシー運転手の社会的地位が高くなかった時代のエピソードとして語られている話ですが、無論今日ではありえない話です。

応募者全員の履歴書が、調査会社を通じて調べ上げられ、反社会勢力に加担の形跡がある人や前科がある人(交通違反は除く)は、採用を断られる時代なのです。

とは言え、今も昔も「タクシー(運転手)は『雇用の受け皿』」言われるモノ。今現役最前線で走るタクシー運転手の殆どが、リーマンショックの影響で職を失った元会社員や元経営者なのは事実です。

トンデモナイ過去を持つタクシー運転手も

実は、私の会社で「採用関係者も予想だにしなかった過去を持つ運転手」が二人居ます。

その一人は、大学を卒業の後、中田英寿じゃありませんが「旅人」を職業として、一年の殆どを海外で過ごす生活を15年やって来た人。

一種免許は学生時代に取得し、国際免許証も持っていた彼は、中東諸国で一時期白タクの運転手をやったと言う変わり者です。

両親が共に介護が必要となり「そろそろ正業に就かないとヤベぇなぁ」とウチの会社に入ったと言う訳。

採用の決め手は「適応力がある」との事(ホンマかいなぁ?)…そんな彼も、今では立派な「黒タク乗務員」なのです。

もう一人は、アメリカで結婚してヘリコプターの操縦免許を取得して、観光パイロットを10年近くやっていた人(!?)。

離婚して帰国するも、持っていたパイロットの免許がアメリカ国内でしか有効でなかったため、やむを得ずタクシー運転手の道を選んだそうです。とは言え、英語はネイティブ級ですので、今では外国客の観光タクシードライバーとして活躍しておられます。

雇用の安全弁では無くなりつつあるタクシー運転手

日本交通新卒
日本交通のHPより

しかしながら、私のコラムで幾度となくお話している通り、現在タクシー運転手の人材確保については、新卒学生にシフトしていると言っても過言ではありません。

ウチの会社でも、今年3年目の新卒採用で、在籍する新卒社員の数が20人を超えました。

会社全体の一割にも満たないのですが、先日幹部会の席で「将来は割合を半分近くにしたい」とする発言があったと聞き、正直内心穏やかではありません。

確かに後10年もすれば定年に引っ掛かる年代になる訳ですが、将来新人の採用枠確保のため、ベテランの養成(中途)採用運転手が「早期退職」に追い込まれるのではないかと言う心配が、仲間の間で広がっているのは事実です。

ユニークな人生背景を持って入り、お客様と接する事がタクシー運転手の楽しみの一つだったのですが、今後画一化され、他産業と同様「ブラック化」の道を辿ると言うのでは、少々合点がいかないモノです。

まとめ

新卒採用が増えているため中途採用は減るかもしれない

タクシー運転手になる人は、過去それぞれ人生で「光と影」を体験をしながら流れついたケースが殆どでした。それがまた味わい深いタクシー運転手との出会いの楽しみと語ってくれる利用者も少なくありません。

しかし時代の変化で、今後は他産業同様に新卒採用にシフトしていくと考えられ、門戸が広いと言われたタクシー運転手採用も、次第にその門が狭まって行くものと考えられます。


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堀瑞 勤
今年6年目の乗務員生活を謳歌している現役タクシードライバー。1967(昭和42)年生まれ。2013(平成25)年日本交通系タクシー会社のドライバーとなる。黒タク資格&スリースター(最上級乗務員)資格所有。