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タクシー会社は何処も同じ?
失敗したくないなら大手4社から
転職は、人生の一大転機です。
当然、失敗したくはありません。転職を考えた時、 「会社選び」のポイントは人によって違うと思いますがそれがタクシー運転手なら、「上を目指す」事をお勧めします。
タクシー業界で、「大手4社」という言葉があるのをご存知ですか?「大和」「日本交通」「帝都」「国際」の4社の事を言います。この4社の頭文字を合わせると何故か、「大日本帝国」という言葉になります。
国土交通省統計の2017年(平成29年)3月時点での調査によると東京都のタクシー会社は、
- 法人タクシー業者数 439社
- 法人タクシー車両数 30.848台
- 個人タクシー車両数 13.788台
と、なっています。
東京都での法人タクシーの運転者数は、概算になりますが、約6万人前後になるかと思います。このタクシー業界のトップクラスに君臨するのが、いわゆる「大手4社」です。
本体とグループがありますが、基本は業務提携です。いわゆるフランチャイズ制ですね。
私は何社か面接を受けましたが、ある大手の面接官が、
「この業界に入るのなら、絶対に大手からですよ。まず、稼げるシステムがあります。業界内で転職する時も、大手なら横すべりも出来るし最悪、中小にも入れます。が、中小からだと次がありません。」
と言われました。
「大手4社」にはブランド力があり、4社以外が前を走っていても、お客様がこちらに手を上げることがよくあります。
また病院・ホテルなどの専用乗場や4社チケットは、売上に直結します。
業界内転職でも、本体からグループ・他社へというパターンはありますが、他社から本体というのはあまり見た事がありません。
まさに、面接官の言う通りです。
タクシーの稼ぎは腕次第?
タクシー運転手への転職で失敗しない為には、給与体系が「歩合制」である事もしっかり認識しましょう。タクシー運転手の給与は、「基本給+歩合」です。基本給だけでは食べて行けません。
求人広告で、「平均年収500万円以上!」というフレーズを目にしますが、それは会社が保証してくれるものではありません。稼げるのではなく、稼がなければならないのです。
ベテランの方はよく、「数字を作る」という表現をしますが、これは時間当たりの売上を決めて、効率のいい時間帯や場所を選んで営業する事を言います。
外資系のホテルなら外国人客が多いので帰りは当然、成田か羽田になります。当たる可能性は大きいですね。
平日と休日で、走る時間帯や場所を変えたりもします。何時頃、何処に行けば、どんな客がいるかを、把握している訳です。
中には、羽田の国際線タクシープール(タクシーの待機場所)にしか行かない、という強者もいます。
最初に基本的な営業の仕方を教えてくれますので、ご安心下さい。
タクシーは「走り方」も大事になります。
車線は必ず左側をキープする、赤信号は先頭で止まるようにする、右から横断歩道を渡って来る歩行者はお客かも?渡りきるまで待て…etc 。
どれも単純な事ですが、バカに出来ない効果があります。
今は、どこの会社でも給与保証期間があります。この期間にタクシー運転手としての経験を積んで、自分の力で稼げるようになれ、という事ですね。
私と班長との間で、よくこんな会話がありました。
- 班長「お前ぇ!どこ走ってんだよ!人の話聞いてんのか!?」
- 私「申し訳ございません。」
- 班長「明日から俺の言うとおりに走れよ!」
- 私「畏まりました。」
- 班長「わかりゃ、いいんだよ。(笑)」
やさしい班長で、よかったと思います。
己を知れば百戦危うからず?
タクシー運転手に転職して失敗しない為には、己を知る事も大事です。
タクシーの勤務体系には昼日勤と夜日勤、そして隔日勤務があります。自分のライフスタイルに合った働き方が選択出来ます。
どの勤務体系が自分に合うかという事は結構大事で、朝弱い人が昼日勤をやったら悲惨な目に会います。逆もまた然りです。
隔日勤務は一日中働きほぼ徹夜ですので、体力と精神力との闘いです。収入だけでなく、自分のライフスタイルを考えた働き方をよく考えて下さい。
タクシーは、「密室の接客業」で、お客様も毎回変わります。模範解答はありません。
タフな精神力、卓抜したコミニュケーション力があれば鬼に金棒ですが、中々そうはいきません。
自分の性格に合った営業スタイルを模索して行く事が必要になります。
分からなければ聞く、失敗したら謝る。その繰り返しの中で自分のスタイルがお客様に伝わった時、それは自信に変わります。
私も最初の頃は自分の失敗からお札を投げつけられたり、罵倒されたりした事が何度もありました。最近は仕事慣れして図々しくなったのか、そういう事も無くなりましたが。
余談ですが、タクシー運転手にとってトイレと休憩場所は必須です。先輩に聞いて、しっかり押さえておきましょう。
タクシー運転手を続けるには退路を断つ?
営業所に配属されて最初に、「社長面談」がありました。社長からタクシー運転手を続ける為には「退路を断つ事」、「稼ぐ事」が大事だと言われました。
あなたの年齢ではもう後戻りは出来ない、稼がなければタクシー運転手をやっている意味がない、と言う事ですね。
転職に失敗しない為の教訓だと思います。
大卒や女性の新入社員が増えているにもかかわらず、タクシー運転手の数は毎年減少しています。一般社団法人ハイヤー・タクシー連合会の平成28年度の統計では、ピークが平成17年の約38万人で平成27年は約30万人、28年では約28万人となっています。
私の営業所でも去年、配属された20人位の大卒新入社員の内、3分の1が退職したと聞いています。それだけタクシー運転手は、きつい仕事で向き不向きがあるのだと思います。
長く働ける仕事にするか自分次第
転職で失敗しないために厳しい面も知っておきましょう
しかしタクシー運転手は、稼げるし誰にでも出来る仕事です。そして長く働けます。転職に失敗しない為にも、光と影の両面を見ていく必要があると思います。
会社の規定では、最長75歳まで雇用契約を結ぶ事が出来ます。現役のまま亡くなるドライバーもいます。連絡が無いので自宅に赴いたら亡くなっていた、というような事もありました。
まさに「生涯現役」ですね。合掌。