この記事の目次
タクドラ転職「成功する人」と「失敗する人」
安易にタクドラ転職をして「後悔しない」ための心構え

思えば、私も今年1月でタクドラ生活7年目に突入しました。
無職同然の様な仕事をしていて、家族を養うため止むに止まれぬ思いで今のタクシー会社に入った訳ですが、どういう訳か水が合って、関東一円でブイブイ言わせて?来ました。
でも、私の入社とほぼ同じ時期に20人ほど入社したのですが、今会社で顔を合わせるのは約10分の1…くらいかな?…となっているのも事実です。
むかし「『ニッセイのおばさん』と『タクドラ』は、成って見ないとわからない」という言葉があったそうですが、事実「やって見ないと、仕事で成功するか?失敗するか?見極めがつかない」と言われたのがタクドラと言う仕事です。
しかし、今や猫も杓子も、そして学士さんも(笑)タクドラ志望で押し寄せる昨今。実際、入って来る時の諸氏の顔は、それなり華やかです。
でも、時が経って一人また一人と仲間が去り、気が付いてみれば自分一人が会社に残っていると言う具合なものです(その割に、昨年入ったウチの新卒は、全員生き残って、パイセンにタメ口聞かせてるんだよなぁ?)。
そこで今回は、安易にタクドラ転職をして「失敗したぁ(涙)」と言わない様に、タクドラ転職に「成功する人」「失敗する人」の比較をしてみたいと思います。
そんなに甘くない「タクドラ転職」

最近は、各媒体が競って争う「タクドラ転職」。首都高新宿線(4号線)の新宿カーブの出口に、デカデカと「タクドラ転職」の広告看板が出てギョッとさせられます。
かつての「長時間労働」「安い賃金」等イメージは過去のものとなり、養成(中途入社)乗務員から聞いた話によると…
- ホワイトな勤務体系(道路車両運送法に基づく勤務時間管理の厳格化)
- 賃金体系の改善(まじめにやっていれば、大体手取りベースで30万)
が決め手になったと言います。
確かに私が入った頃と比べると、賃金ベースは大幅に上がったと言えます。ご存知かと思いますが、ルーキータクドラは3ヶ月間「保証給」制度があって、営収に関わらず3ヶ月間一定の高級が保証されるのです。
私が入った頃の「保証給」=32万円
↓
今の入社した場合の「保証給」=42万円(えっ?)
まぁこんな具合…私達の頃とは隔絶の勘です。とは言え、こうした努力により、次第に新卒&養成に関わらず入社した乗務員達の定着率は上がっています。ウチの会社(日本交通)の場合ですが…
養成(中途採用)乗務員の3年後の定着率
2011(平成23)年=18.7% ⇒ 2017(平成29)年=26.3%
確かに6年間で8ポイントUPと言うのは、驚くべき事だと言えると思います。
しかし…考えてみて下さい。
最近の「一般企業の定着率が悪い」とメディアで話題ですが、その数値と比べ上記で案内したタクシー会社の定着率は、遥かに一般社会と比べ下回っていると思います。
こんなに恵まれた労働環境にもかかわらずなぜ?
今無事に?生き残っている私の後輩に聞いてみたところ、こんな話が出て来ました。
- 勤務時間が慣れない(やはり20時間拘束は過酷?)
- 女性の場合、いつ襲われるか解からない&生理休暇が取り辛い
- 稼ぎ方が解らない
が殆どですね。でも、私に言わせてみれば「そんな事位、入社前に分って入社しなかったの?」と言いますよね。
キツイ言い方かもしれませんが、そんな事も解らずにタクドラになろうとすることは「アホか?(失礼!)」と言ってしまいますよね。
「タクシーをやるなら『人生最後の仕事として』」or『どうしても食えなくなった時の最終手段』」と私は考えていました。それ位タクドラの事について調べ、万一の有事に備えていました。だから、ある意味上手く今の仕事にスライドして行けたのだと感じています。
タクシーに関わらず、どんな仕事でも「必死に」「真剣に」やれば、ブラックだろうがホワイトだろうが、その職場で成功していけるはずなのです。
最近思う事ですが、タクドラ家業が人気業種になる事を、私は好みません。収入の代償に、体を壊したり家庭環境が悪化した話もよく聞きますし、本当に「ここが最後の死に場所」と覚悟が出来ているか…今後タクドラに入植したいと希望する人に言っておきたい事です。
タクドラ転職に成功した人と失敗した人との違い

さて…これまで私は100人近いルーキー達の面倒を見て来ました。
今も私の周りには30人以上のルーキー卒達が居ますが、彼らに共通して言えることが二つあります。
それは…
- 保証給期間にも拘らず、足切りを超えて営収を確保した人
- 休憩時間以外は目一杯営業活動をしてきた人
なのです。仕事にアブれていて、ようやくタクドラになった事で安心する人も少なくないでしょうが、先程言った様に「ここが最後の死に場所」と覚悟を定めて来なければ、結局元の木阿弥です。
確かに、規定勤務日数(時間)を乗り切れば、基本給や手当は支給して貰えますが、給与の約四割を占める「歩合給」がゼロでは、何のためのタクドラ転職なのでしょうか?
昔は乗務員募集にも結構苦労した時代があったそうで、ある程度勤務をこなしてくれるなら、営収は二の次で乗務員として残して行くと言う傾向も見られたようです。しかし、タクドラ転職が花盛りとなる今、営収が伸びないタクドラは「スペア扱い」にされたり、肩叩きにあって辞めざるを得ない状況に追い込まれることも少ないようです。
タクシー用語「スペア扱い」
乗務ダイヤから外れたタクドラの事。担当する車を貰えず、当日本担当の乗務員が病欠などして穴が際に、その車に乗って行く。
無論乗れる保証は一切なく、病欠などが無ければ、その人達は「はい、それまでよぉ(涙)」と帰る事になって欠勤扱い。
タクドラ転職に「失敗した人」の殆どが、そうした先のリスクを考えず、場当たり的に「ヲイシイ仕事だけやる」とか「会社にぶら下がって基本給だけ貰えれば良い」と考えている人達だと思います。
ただ、最近は内勤社員の「目利き」も鋭くなって来た様で、「コイツは危ないなぁ」と思えば、遠慮なしに面接時点で落しているケースが増えていると聞きます。
「会社に入るのはあくまで通過点。道に出てからが本当の勝負」
そう覚悟を決めて入って来るなら、時間の多少はありますが、立派なタクドラとして大成しますよ。
「身の丈」に合わせた会社選びがカギ

ところで、これからタクドラ転職をお考えの方に、一言ご忠告したい事があります。
それは…「自分の身の丈に合った会社を探す事」
確かに私は、ギョーカイ最高峰と言われる「日本交通グループ」の乗務員として7年目を迎えていますが、ここへ辿り着くにはメチャクチャキツイ目にも&理不尽な目にも合わせて頂きました。
当然、タクシーのみならず業界のリーディングカンパニーと呼ばれるところでは、往々にしてそういう事を押し付けてくるケースは多々あると思います。
それだけに、タクシー会社と言えども「トップの会社」でいきなり活躍出来る事はまずないでしょう。
それ以上に「しっかり教えて貰える」とか「個人へのフォローが充実」と言って面を重視し、自分の身の丈に合った居心地のいい会社でタクドラ人生を始めるのが良いと思います。
例え最初に入ったタクシー会社が弱小であっても、5年勤めて「そろそろキャリアアップしたい」と思えば、最初の頃ではビビッて受験しなかった上位のタクシー会社の門を叩けばいいのです。
その面接の中で…
上位会社エライ人「なんでウチを受けたの?」
それに対して貴方「キャリアアップしたいからです!」
と言ってしまえば、大体OK。後はタクセンの乗務記録や運転免許前歴にキズが付いていなければ、上位の会社でまたキャリアアップの機会が出来るものです。
都内で車を使って仕事してきた方(営業・運送業など)や、接客業に携わってきた方など運転か接客に自信がある方(でも、こういう人もアブナイんだよなぁ)は最初から上位の会社を狙っても構いませんが、「全く自身の無い方」は、よぉ~く会社選びをして、「ここなら自分の身の丈に合っている」と言う研修制度も整っている会社へ入社する事が肝心です。
まとめ・甘く考えずタクシーの仕事をよく調べること
タクシー運転手になっても3年残るのは4人に1人です
上記の様に、色々とタクドラ転職に「成功した人」「失敗した人」の例を挙げて来ましたが、参考になったでしょうか?
今でこそエラソな事を言っている私も、最初の頃はマジすぐにでも辞めそうな感じでしたからね(笑)。
しかし「石の上にも3年」とは良く言った事。
とは言うもの「3年居られるため」の会社選び&入社前の覚悟は、是非とも忘れないで下さいね。