新卒でタクシー会社入社後のキャリアプラン

新卒でタクシー運転手になるには

一言でタクシー運転手と言っても仕事の内容によって押さえておくべきポイントがかなり変わってきます。

タクシーで続ける人、タクシーから本社へ勤務をし、営業や事務作業をする人、タクシーからハイヤーへ行く人…その道は様々ですが、絶対に通る道があります。

はじめはタクシー運転手として乗務することです。

では、タクシー会社なのに、なぜこうも違いが出てくるのか?そこを解説していこうと思います。

新卒タクシー運転手の業務内容とキャリア設計

新卒も中途もまずは二種免許取得

新卒で入社した後は、基本の新人研修があります。その後、タクシーの乗務員に必要な二種免許取得の勉強があります。一発で合格したとしても1か月かかります。これは、中途採用も変わりません。

二種免許がないと営業できません。新卒で二種免許を持っている人はいないのでみんな同じ過程を踏むことになります。

タクシー運転手を続けていく人と本社勤務を目指す人で分かれる

タクシー運転手になるための各種試験が終わり、乗務員としてデビューした後は、新卒の人は本社勤務を目指します。

具体的なものだと、社内での部署配置や営業所の所長などのいわゆる管理職です。

私の会社では、新卒の方だけ乗務員として仕事をした一年後に、教習科と呼ばれる、育成部所での仕事をお手伝いし、社内の雰囲気や仕事内容を学ぶ期間が設けられます。

単純に人員不足を補うのと同時に、社員研修も兼ねた形になりますが、新卒の方だけが対象となります。

その研修を行ったのち、また乗務員に戻り、営業成績も加味された上で、本社勤務の辞令が渡され、本社勤務となります。しかし、ずば抜けて営業成績が良い人や、辞令をもらう前に営業所の所長から、本社勤務の話が来た際、断る人もいます。

なぜでしょうか?答えは乗務員が稼げるからです。

タクシーの会社は、乗務員が稼いだ売り上げが会社全体の利益、社員の給与に割り当てられます。最大手と呼ばれる会社はまた違うのかもしれませんが、基本は「乗務員がいるからこそ、会社が成り立つ」と本社勤務の方は言うくらいです。

その言葉を鵜呑みにしたとすれば、本社は給与が下がります。役職がつけば、手当などが大きいのかもわかりませんが、入社して5年そこらで役職が付くとは普通思えません。

その為、本社勤務の話を蹴っ飛ばして、乗務員として働く人も多いわけです。
これが、「タクシー運転手を続けていく人」に該当するわけです。

タクシーから本社や営業所勤務へいく人

乗務員を続け、本社勤務の辞令を渡され本社へ勤務した人は、どのような仕事をするのでしょうか?
私の会社を元にお話しさせていただきます。他社などでは、違うこともあるので、注意してください。

まず、本社勤務になると、営業の仕事を行います。

タクシー会社はタクシーだけではなく、ハイヤーと呼ばれるお抱え運転手や企業の役員様の送迎を行っていることもあるので、顧客の挨拶回りや追加受注を取れるように、先輩に付いて回ります。

給与形態も歩合制から固定給へと変わります。営業の場合はインセンティブが入るので、契約件数が多ければ給与は上がりますが、タクシー時代にかなり稼いでた方は逆に下がる可能性もあります。

営業の経験をしたあと、次の道が分かれ道になることが多いです。

新社員を教育する教習科へ行く人、運行管理者を目指し資格を取得する人に分かれます。運行管理者を行なった後は、営業所の副所長、所長へと、役職が付くことも多いです。

教習科の場合は課長代理や課長の役職が与えられることもあるでしょう。

この二つは、営業と違い役職手当があります。逆に言えばそれしかないので、給与は固定+手当になるので、乗務員に比べ下がる場合がほとんどです。

しかし、全く悪いところばかりではありません。

給与が安定する部分はかなり大きいと私は思います。タクシー乗務員ですと、どうしても連休の中日や年末年始、お盆休みなど、世間でいう帰省期間は人が少なく売り上げも上がりにくいです。その中でも、固定で給与がある。という強みは比べ物にならないくらいの安心があります。

この違いの良し悪しはご自身で判断していただく以外ほかありませんが、両方とも一長一短だと思います。

自分が悔いのない選択ができるのが一番だと思うので、しっかりと進むべき方向を見据えるように仕事をして頂ければ大丈夫です。

タクシーからハイヤーへ行く人

ハイヤーという言葉、聞いたことはあるけど、どんな仕事?と思われてる方は少なくありません。ハイヤーとは、タクシーとは違い事前に定められた料金でタクシーより一層きめ細やかなおもてなしを受けれます。

ゴルフ場や冠婚葬祭、月極め契約をして会社の役員などを乗せる。などその役割は様々です。

タクシーとの大きな違いは、まず車内にメーター器がありません。
ハイヤーは営業所を出庫(出発)してから営業所に帰庫(帰る)ところまでが料金として請求されます。お客様が乗っていない部分も料金に含まれる代わりに、サービスの質というものが大きく変わってきます。

一番よく見てわかる部分として、ドアサービスが挙げられます。
普通のタクシーはドアが自動で開き、自動で閉まります。これは運転席の横にレバーがあり、運転手が開け閉めをしているからです。
ハイヤーは、お客様が見える前にすでに車の前に運転手がスタンバイしており、出てきたと同時にドアを開け乗り終わるまで待ちます。

ホテルなどでドアマンなどがやっているのを見ることがありますね。
また、事前に頼んでおけば飲み物や軽食なども揃えておいてくれることもあります。 この辺りはタクシーとは全く違います。

タクシーを知らない人もわかりやすく例えると、タクシーは言わばファミレスでハイヤーは高級レストランとでも言えばわかりやすいでしょうか?
このハイヤー、やろうと思ってもそれなりの年数がかかります。最初はみんなタクシーでスタートし、売り上げもそうですが、道の覚え具合や接客サービス、言葉遣いなど厳しく見られた上で選ばれます。精鋭部隊みたいなものです。

その為、お給与も良い場合が多いですがその分拘束時間が非常に長い場合もあります。

ハイヤーをやって感じたこと

実は、私はつい最近ハイヤーに転属になりました。それも某企業様の社長専属運転手としてです。この場合、社長様のスケジュールに合わせて車を動かすので、朝4時半に家を出て帰ってくるのはその日の終電。それが5連勤。なんてことも多々あります。

給与はその分良いですが、体調管理を怠ると、代わりがいない仕事なので風邪も引けず、休めもせず。です。休んだ場合は私のお給与から損害補填がなされるので、ひと時も気が抜けない状態で仕事をしています。

しかし、ハイヤーの仕事の何が良いかというと、ワンランク上の仕事ができ、仕事に対する気持ちが変わります。

タクシーはいろんな方を乗せ、回転数を重視して営業します。 ハイヤーはその日1日の行動が決まってくるので、いかに効率よく、またお客様の信頼を勝ち取れるかが勝負になります。

気持ちの良いサービスを心がけ、信頼が勝ち取れた時には、「またお願いね」や「うちで運転手やらない?」などお声がけ頂くこともあるそうです。そうなれば、給与もさらに上がる可能性もあるのでチャンスが増えてきます。
ハイヤーを目指す人は、言葉遣いや接客態度も常に気にして、自分自身が後輩のお手本になる!というような気持ちでやってみてください。きっと成功すると思います。

新卒タクシー運転手の働き方について

運転手、営業職、研修担当、ハイヤーいろんな選択肢がある

いかがでしたか?タクシー会社といってもその仕事や役割は様々です。
自分が入ろうとしている会社を徹底的に調べ、気になる点はその会社のタクシーに乗り、運転手に聞いてみるもの手でしょう。

みなさんとお会いできる日を心待ちにしておりますね!



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現在都内でタクシー会社に務めてている、20代の現役タクシー運転手。最近ハイヤー運転手へ転属となったので、タクシーとハイヤーの両方を経験している。