採用時の年齢制限はあるの?最も活躍出来る年代は?

50代中途採用の運転手から仕事の相談を受けた

二か月前、私の勤める会社に50代後半の男性が養成(中途入社)乗務員として入って来ました。

以前は50代転職者なんて珍しくなかったのですが、新卒や20代&30代の養成採用が増える中「あの人大丈夫かな」なんてヒソヒソ話が広がりました。

その人が2ヶ月経ったある日、私を訪ねて来ました。どうやら営収が伸び悩み、ステップアップしたいとアドバイスを求めて来たと言うのです。

乗務状況を記した記録簿を見せてもらったところ、日当たりの平均営収が4万7千円(税抜き)・一日当たりの実車(お客を乗せた状態)走行距離が130kmにも及んでおり、正直驚きました。

早速彼に「今のまま続けていれば、自然と一日当たり6万乗れる様になる」と伝えたところ「直近6ヶ月でそのレベルへ到達したい」とのこと。聞けば、奥様が病気で寝たきりになり、自分が生活を支える最後の砦となっているとの事でした。

昨今「同年代に自慢が出来る稼ぎ」に目が眩み、20代30代の若者がタクシー業界へ続々流れ込んでいます。中には「かつての様な50代は、もうお呼びではない」とまで言う関係者も居る程です。

しかし、今のような状況になるつい5年前には、私の様な社会の落伍者と呼ばれる40代50代の中高年の吹き溜まり場所がタクシー業界だったのです。

とは言え、今でもタクシー業界には50代…下手をすると60代の方も入社してくる現状は変わりません。

稼ぎが良い代わりに身体に負担が掛かり、決して長くは勤められないと言われるタクシー業界ですが、果たしてタクシー乗務員と年齢との間にどのような関係があるのでしょうか。考えてみたいと思います。

タクシー乗務員の年齢構成の現状

以前にも話したことがあると思いますが、道路交通法の規則により、タクシー乗務員として応募出来る最低年齢は21 歳以上と定められています。

一方上限は…と言うと、かつて東京四社を始め数多くの企業が「概ね55歳まで(二種免許保持の方は58歳まで)」としていました。これも以前お話した事ですが、50代に入ると二種免許取得の会社持ち費用が、それより前の年代と比べ倍以上掛かるとされていたからです。(詳しくはこちらの記事をどうぞ

しかし、私の会社の教育担当に聞いてみたところ、50代で採用された乗務員(候補生)の全員が、規定期間内で卒業しているとの事。これは驚きです。

ところで… 全国的に見て、タクシー乗務員の平均年齢は一体どの位なのでしょうか?

タクシー乗務員転職サイト「ドライバーワークス」より出展の資料こちらのサイトから解るように、平均年齢を見るとビックリするかもしれません。しかも、平均勤続年数から逆算すると、タクシー乗務員として入職した年代が大体40代から50代である事も解って来ます。

タクシー乗務員の年齢の現状(東京タクシーセンター作成資料)

(出典:一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会の「タクシー乗務員の労働環境と今後の取り組み」より)

東京の現状もご多分に漏れず、2017(平成27)年度で58.6歳の平均年齢となっています。先にも触れた通り、新卒や20~30代の採用が増えている中でも年齢はUP。これは、40代以降の応募が続いていることや勤続年数が長くなっているのが理由と考えられます。

タクシー乗務員として適正な年齢とは?

では、タクシー乗務員として「最も適正」な年齢とはどの位を指すのでしょうか?

「適正」と言うと、個人で受け止め方が違ってくると思いますが、ここでは一日当たりの営収が6万円(税抜き)&実車走行距離が150km以上として考えたいと思います。

私の会社でデータを覗いてみたところ、この数値に合致する乗務員が最も多い年代は

  1. 位=「50代」
  2. 位=「40代」  かなり驚きの結果!
  3. 位=「60代」

となりました。因みに20~30代乗務員の平均は5.1万円(税抜き)&実車走行距離122.6kmでした。

他の企業では乗務員の年代構成も違うので、一概にこのデータを鵜呑みには出来ませんが、ギョーカイの一員である私としては「ある意味納得な数値」と言えます。

乗務員歴が長くなればなる程、地理や各施設に対する知識・時間帯による混雑状況や回避法など、タクシー乗務員として活躍出来る知識が若手より豊富になるのが最大の理由と言えます。

50代でも稼げる人が多い意外な理由

しかし、最近になってもう一つ理由がある事に気付かされることになります。

研修で講演を聞いた都内医療機関に勤務の産業医の方によると、この30年で人間の実年齢(身体能力から推定される個人の実際年齢)が10歳以上若くなっていると言うのです。

つまり私は今51歳ですが、産業医の方の推測に基づくと、30年前の世界では41歳に相当する身体能力であると言う事なのです。現在タクシー業界に応募して来る50~60代の方は、(個人差は大きいと思いますよ)身体能力で判断すれば40~50代に相当する訳で、採用しても十分活躍出来る事が頷けますね。

やる気と覚悟があれば、タクシー乗務員に年齢は関係ない

一番初めにお話した50代後半のルーキー(と言う言葉は失礼か?)乗務員の様に、生活が苦境に陥った中高年代にとって、タクシーと言う職業は手っ取り早く稼げる事で知られています。

地理を筆頭に覚える事や資格制度がやたらに多く、事故に遭遇するケースも高い仕事なだけに、ドロップアウトするケースが後を絶たないのも現実です。

しかし、前出の50代後半の冒頭の同僚の様に、それでもタクシー乗務員を目指す人にはそれなりの理由があります。

加えて最近のタクシー会社の募集サイトを見ると、一部を除いて概ね年齢制限は下限の21歳以上のみとなっている会社が殆どです。

いわゆるインバウンド効果や、ラグビーW杯・東京オリンピック&パラリンピックの開催、更に高齢化の進展によるタクシー需要の急速な増大で、年齢制限云々など言っていられないギョーカイの事情が見え隠れしますが、要は「やる気と覚悟次第で、年齢は乗り越えられる」と私は実感します。

前出の産業医の方の話の通り、食生活の改善やアンチエイジング志向の高まりで、従来よりも若い体を持つ中高年層は、豊富な社会経験をバックに、今やタクシーギョーカイの「金の卵」になっているのは間違いありません。

さて、今回は如何でしたでしょうか?

タクシーギョーカイに転職しようか?しまいか?とお悩みの方にとっては、背中を押す記事だったと我なりに少し自慢をしています(笑)。

タクシー乗務員に関わらず、世の中で「仕事」と呼ばれるものにホイチョイで出来ること等一切ありません。人の命を預かる乗務員は尚更ですが、年齢で応募を躊躇する時代はもうありません。迷っているなら、覚悟と免許証を持って面接にいらっしゃい!と言いたいですね。

今回も、最後までお読み頂いてありがとうございました。



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今年6年目の乗務員生活を謳歌している現役タクシードライバー。1967(昭和42)年生まれ。2013(平成25)年日本交通系タクシー会社のドライバーとなる。黒タク資格&スリースター(最上級乗務員)資格所有。