京都でタクシーといえばMKタクシー

1.エムケイグループの紹介と仕組みについて

皆さんにはじめてお話する事ですが、私は1967(昭和42)年に京都で生まれ、大学を卒業して就職で東京へ出る迄の23年間、京都の街中で育ちました。

子供心に繁華街の河原町や京都駅前から、両親とタクシーで自宅へ帰った記憶があります。そんな記憶の中で、物心付いた頃からハートのマークがついたタクシーが京都の街中を走り始め、次第に数が増えて行ったことを記憶しています。それこそが、今ギョーカイの風雲児と呼ばれるエムケイタクシーだったのです。

そこで今回は、現役乗務員である私が、自分のネットワークを駆使して集めてきた「全国の主要タクシー会社(グループ)の求人動向と評判(乗務員のホンネ)」についてご紹介したいと思います。

もう改めて語るまでもなく、今回は「エムケイグループ」の紹介です。

MKは統合したタクシー会社の頭文字から

さて…良きにせよ悪しきにせよ、タクシーギョーカイの話題を浚うエムケイですが、何故「エムケイ(MK)」商標を使う事になったのかご存知ですか。

時をさかのぼる事半世紀以上前…当時京都の上鳥羽で「永井石油(後のエムケイ石油)を営んでいた在日韓国人の青木定雄(韓国名:ユ・ヨンボク)氏が、大阪でタクシー会社を経営していた友人から…

タクシー会社は儲かるでぇ~

と話を聞きつけて、1960(昭和35)年に伏見区の竹田に15両で「ミナミタクシー」を創業します。その3年後、現在の西京区(当時は右京区)にあった「桂タクシー」を買収し、経営拡大に乗り出します。

さて…
「ミナミ」「桂」両タクシー会社を経営する事になった青木氏。後に「駒タクシー」を買収し、3つのタクシー会社を経営する事になります。しかしその中、一番の問題となったのは、統合後の会社の名前。

…創業した「ミナミ」の名は残したいが、洛西方面では「桂タクシー」の名が通っている。加えて「駒」まで買っちゃったからなぁ。うぅ~ん、どうすりゃいいんじゃ…

頭を抱える青木氏に、あるヒラメキが…

「ミナミ」の「M」&「桂」「駒」の「K」 この頭文字をとって「MKタクシー」としよう!

と言う訳で、1970(昭和45)年に3つの会社は「MK」の統一商標で京都の街中を走り始めました。

1970~90年代初頭に京都に住んだ経験のある方、ハートのマークのMKロゴの下に小さく「ミナミ」「カツラ」と言った文字が刻まれていましたことを覚えていらっしゃる方も多いと思います。これは、その営業車が「旧ミナミタクシー所属(現MK伏見営業所)」なのか「旧桂タクシー所属(現MK洛西営業所)」なのかを区別していたとされ、車検やメーター入れ替えなどの際に混じらない様気を付けていた為と言われます。

タクシーの転職は転職道.com

タクシー会社で新卒採用を始めたのはエムケイが初

今やエムケイの代名詞となったハートのマークは「心のこもったおもてなし」。創業当初「神風タクシー」や「乗車拒否」問題で揺れるタクシー業界にあって、タクシー業界=サービス業と言う考えを一早く取り入れたとされます(そういう点ではウチと同じなのかな)。

とは言え、京都には1926(昭和2)年創業の最大手「彌榮自動車(ヤサカタクシー)」が構え、接客で評判は上がったとは言えエムケイは「格下扱い」。

中には「ハ~トのマークの、MKタクシ~♪(うぅ~ん、懐かしい響きじゃ)」と言うラジオCMを文字って… ハ~トのマークの、〇〇チ~タクシ~(怒)

とあからさまに揶揄される事も少なくありませんでした。

そうした風向きが変わったとされるのは、1975(昭和50)年。今でこそ当たり前となった大卒新人の定期採用を始めたことでした。やはり当時、大卒の定期採用を活発化させたスーパーのダイエーと並んで…

「お前、アタマどないかなってんちゃうの(モロ関西弁)?」

と入社した人は言われたそうです。しかしこうした「学士ドライバー」は、現在のエムケイを支える幹部となり、創業家に代わって役員に入った人も少なくありません。

タクシーの転職は転職道.com

タクシー事業自由化の流れを受けて東京大阪へ進出

そして、エムケイの名を全国区へ押し上げるきっかけになったのが…1980年代に起こされた「運賃値下げ訴訟」。「同一地域同一運賃」に異を唱えた初めてのケース。この訴訟がきっかけとなって、いわゆる小泉構造改革での「タクシー事業自由化」への道を辿るのです。

この「タクシー事業自由化」の流れを受けて、1997(平成9)年エムケイは関西のタクシー会社として史上初めて東京&大阪進出を果たします(現東京エムケイ&大阪エムケイ)。両地域での事業成功を受け、2002(平成14)年以降札幌・名古屋・福岡など全国に進出していきます。

現在のエムケイの体制は、京都の南区に本社を構え、本家エムケイが上賀茂など8営業所。東京・大阪・滋賀・愛知(各2営業所)兵庫(3営業所)・北海道(札幌営業所)・福岡(福岡営業所)と直系子会社を全国に配置。関連会社としてエムケイ石油とエムケイ観光バス(全国4営業所)で構成されています。(東京で業務提携を行っていた「東京シティエスコート」は2015(平成27)年脱退し、現ジャパンプレミアム傘下)

2.エムケイグループの乗務員・求人動向

エムケイは、現在1道1都2府4県に展開しているため、それぞれのタクシーギョーカイでの平均賃金を参考に、各社賃金や勤務体系が分かれているのが実情です。このため、本家エムケイのHPは「京都版」として表示され、そこで紹介されている求人内容は、あくまで京都の本家エムケイで勤務した場合の想定で書かれています。

本家エムケイと東京エムケイとの採用募集の違いを見てみよう

また乗務内容や、担当運行車両などによって細分化されるとも言われ、詳しい賃金体系は、実際乗ってみないと解らないと言うケースが多い事もエムケイの特徴と言われています。

ただ、概ね各地のエムケイは、当該地域で給与ベースはトップかそれに準ずる給与を「あくまで募集ベースの話(ここがミソ)」ですが出してもらっているようです。

3.エムケイを巡る黒いウワサ

毎月残業は100時間越え?

こうして今や「タクシーギョーカイの風雲児」とも呼ばれるエムケイですが、その一方国会の論戦の場で問題に上げられるほどのウワサが立っているのも事実です。

まず何といっても、エムケイの乗務員は… 月100時間近くのタダ働きが当たり前
と言う話です。以前私は東京エムケイの元乗務員が「時間外労働賃金支払い」について訴訟を起こした話をしましたが、これは東京だけに関わらず全国のエムケイ事業所で起きている話です。

エムケイでは、帰庫後の納金や洗車を「30分以内に終わらせる」事を前提に勤務時間が組まれているそうです。しかし納金はともかく、洗車が30分以内で終わるなど、エムケイの乗務員に言わせてみれば夢またの夢だそうです。

実際ウチに居る元エムケイの乗務員の方に聞いてみた話ですが、洗車は「単に車の内外を清掃する」でなく、車体のワックスがけ(それも固形ワックスだよ、信じられる?)に車内の消臭作業(薬剤や専門の機会を使うらしい・あぁ~面倒草)を指すそうで、どう考えても洗車だけでたっぷり2時間は掛かる…作業だそうです。

しかも、洗車後は所属の班長や運行担当者に報告の上で同席の上で点検が入り、少しでも問題があれば…

ハイ、即やり直し!

と命ぜられます。

パワハラが横行という噂は?社長は逮捕歴も

しかもこれを繰り返しやると、その内担当者からゲンコツや飛び蹴りが「日常茶飯事」で飛んで来ると言われています。京都のみならず関西では全般的に体育会的思想が支配しており、こうしたパワハラ行為は「やっても悪くない」と考えられ、そうした事が問題の根の深さを如実に物語っています。

パワハラと言えば、今は故人となった創業者の青木定雄氏も去る事ながら、次男の政明(韓国名:ユ・チャンワン)氏の「暴れん坊将軍様」ぶりは、ギョーカイでも有名。東京エムケイの社長時代だった2008(平成20)年、指示に異を唱えた乗務員をフルボッコにして病院送り。これで警察にお縄になり、社長を解任されたのです(その後1年足らずで復帰)。

しかし政明氏はこれに懲りず、2011(平成23)2017(平成29)年に再び暴行事件を起こし、今度こそ本当に東京エムケイのトップから引きずり降ろされます。

創業者の定雄氏に代わってエムケイグループの総帥となった長男・信明氏の逆鱗に触れたからだとされ、以後エムケイの役員名簿から政明氏の名は消えています。

給与から引かれる経費が多いという噂の真相

先程私は、エムケイの各地の事業所の給与ベースが「募集ベースでTOPかそれに準ずる」と書きましたが、エムケイの給与体系は… 会社の都合で引かれる経費のオンパレード(!?) と言っても過言ではないそうです。

例えば、以前にも紹介した世界的デザイナー・小篠ゆま氏デザインの制服&制帽は、な・何と一式「8万円」。しかも、これ一人一人に「買い取らせる」と言うシステム(えっ)。

おまけに、退職の際「記念に貰えるのか?」と思いきや、強制回収を食らって制服代は「一切返らない」そうです(東京エムケイ訴訟時、この話も争点になったが裁判所は判断せず)。

しかも営業車は、相番と組んだ乗務員との間で「自賠責保険」「任意保険」「燃料費」「洗車代(どうやらエムケイにも洗い屋さんは居るらしい)」を折半するそうです。面倒臭い人は会社に斡旋&引き去りを頼むそうで、その際は徴収手数料も引かれるそうです。

何だかんだと難癖を付けられ、額面上地域最高額だった各エムケイ事業所の給与は、気が付けば半分以下。下手をすれば20万を割る様な人間の貰う給料水準ではなくなります。

元エムケイの乗務員の方の話によると、エムケイでまともに手取り30万を取りたければ、東京エムケイベースで月の水揚げ90万以上は必要。とは言え、幾らエムケイと言ってもそのベースに到達するのは厳しく、泣く泣く薄給でやっていると言います。

タクシーの転職は転職道.com

事故後の対応が最悪という噂

加えて「自家用車や人に、エムケイが突っ込んだら最悪」と言うウワサもあります。

エムケイの営業車が、私達同業者や緑ナンバーの車に突っ込めば、ある程度会社の体面もあって、エムケイが前面に出て来て迅速に処理をしてくれるそうです。ところが、対個人となったら態度が豹変。

「当該事案は乗務員が担当しますので、直接交渉願います」

と降られてエムケイ本体からはナシの礫。しかも、対個人物損&人身を起こした場合、エムケイの乗務員は自動的に「クビ」のシステムがあるらしく、事故の交渉で乗務員と連絡を取ろうとしても

「当該乗務員は、退職いたしました」

と言われ、被害者がやむを得ず保険会社とした交渉できない泣き寝入りのケースが数多くあったと言われます。この事も、東京エムケイの訴訟の中で取り上げられ、以降全国のエムケイで個人絡みの事故案件も、対会社で対応するようになったようです。いま改めて考えると、余りにリスキーな営業をやっていたのだな…と思います。

4.ここだけ!「エムケイグループって、どうよ?」

噂の真相を確かめるべく現役エムケイ乗務員に取材した

さてさて…エムケイには結構知り合いがいます。先程来出て貰っているウチの会社の元エムケイ乗務員は、な・何と今教育指導部の教官をやっておられるので、ネタは聞けるが外へ出すのはヤバい…(汗)。大阪の大正にいる高校時代の友人は、コイツも班長になっていてネタ流出はマズい。

となると、もう一人「い・た・な…」(笑)。

今回ご登場頂くのは、京都の本家エムケイの乗務員となって2年になり、来年度から準ジャンボ(貸切乗務)の乗務員となる高校時代の友人S君です。私の日交での仕事ぶりに憧れて、自営業を辞めてエムケイの乗務員に飛び込んだ彼でしたが…さて、どんな話が聞けるでしょうか?

堀端

「いやいやぁ~。ジャンボ昇格おめでとう。これで「幹部への道」も開かれたってことだね」

エムケイ・ジャンボタクシー乗務員

エムケイのジャンボタクシーは観光・空港送迎など担うエムケイの重要アイテムの一つ。固定給で安定している反面、乗務員に抜擢されるのは並大抵ではない。しかし、選ばれると幹部への道が開かれるとか。

S氏

「いや、たまたま欠員が出て応募したら「あれよあれよ」で合格しちゃって(汗)。今営業車の運転訓練なんかが入って大変だよ。」

堀端

「本家エムケイは、ジャンボの需要がひっ迫して凄い事になっているらしいね?」

S氏

「実際、ウチ(エムケイ)も断っているか『一般のプリウスでもかまいませんか?』と言っている位。

修学旅行の時期は、JTBとか旅行会社が『全てジャンボで揃えて』なんて言われたら、通常関空シャトルで使っているジャンボも差し替えて動員するから。運行管理者は眠れない!って(笑)。」

  • 関空シャトル:関西各地~関西国際空港へ向かう乗り合いタクシーのこと

堀端

「 ところで、お前が「エムケイへ入る」って聞いた時… 悪いこと言わないから辞めときなぁ~死ぬぞ(笑)

て言ったけど、入ってみての印象は?」

S氏

「確かに厳しい。体育会系であることに間違いないね。でも、どつく(関西弁で叩くと言う意味)にしても「愛情がこもった『どつき方』」と言うかね。昔テレビで見たチャンバラトリオの「ハリセンでどつく」ってイメージかな?本当にハリセン持って現れた教官も居たけど(怖)。」

堀端

「関東人には、関西のノリが「パワハラ」に見えたりするからなぁ。」

S氏

「まぁ本家エムケイは、8割が近畿二府四県出身者で占められるから、他の地方から来た人にはカルチャーショックどころか「アナフィラキシーショック」状態って例える人が居たね(笑)。

でもそうした人たちも、半年経ったら立派な「エムケイ真理教?」の信者になる訳だから(大爆)。」

お客様から選ばれるサービス業従事者と教育される

堀端

「じゃぁ、信者?となって変わったエムケイに対する見方とは?」

S氏

「 教官や教育担当者から、最も強く教えられた(洗脳された?)事はウチ(エムケイ)はタクシー屋さんじゃなく総合サービス業てことかな。

確かにタクシーはエムケイの基幹事業だけど、レジャー業(ボーリング場『MKボウル』)や不動産業(MK団地)、さらに関西一円のホテルへの投資などがあるって教えられて。エムケイは、入る前の危険な会社って言うより『ダイナミックに変わりつつある過程の会社』って感じだな。」

堀端

「じゃぁ、京都の街中で「キ〇〇タクシー」なんて言われる事は無くなったのかな?」

S氏

「言う人は言うけど、若い人ほどエムケイを選んで乗るかな?『一度エムケイに乗ったら、他のタクシーには乗れないから』って。

京都の法人チケットも『昔はヤサカだったけど、エムケイに変えた』ってとこの人、この前乗せたよ。」

堀端

「ところでエムケイは、駅待ちや街中のタクシー乗り場でのツケマイを辞めたってHPに載っていたけど、これってどういう意味?」

S氏

「京都駅前だと、他社と差別することが目的だって。在来線側の烏丸口に乗り場を作らず、新幹線側の八条口側に乗り場を作ったのは『外国人や高額利用者が多い』って戦略上の事情と、無線料金が掛からないので『烏丸口なら無線で呼んで!』が背景みたい。

市内の先斗町や祇園の場合、四条通の二車線の一車線化を巡って、青木(信明)会長が「タクシーを締め出すな」ってゴネたのを、京都市にシカトされたことへの仕返しって見方が支配的。

確かに、河原町周辺でのタクシー利便性が相当無くなって、市民から当局にクレームが上がっているみたい。ウチ(エムケイ)にもクレームが来ているみたいだけど… それをいうなら、京都市当局へ言ってください!

と言い返している。それが功を奏してか何か、来年度以降四条界隈で、タクシー専用道路や専用乗り場の整備が行われるみたい。」

堀端

「ところで、信者同志の交流って盛んなの?上賀茂のMK御殿(上賀茂営業所・MKボウルやバイキングレストランがある)へボウリングでも行っているの?」

S氏

「まぁ仲間は居るし、MK御殿や祇園にも繰り出しているね。自営業の時代から比べて、自由になる時間が増えてやりたい事も子育てにも参加出来るようになったから。心の余裕も増えたかな。

ところでお前、何時京都へ帰って来るのだよ?お前なら、ウチならいきなり『ハイヤーに乗れ』って言われるぞ!」

堀端

「お前が、創業家一族に代わって会長になったら、喜んでいくよ(笑)。」

これから変わりつつあるエムケイグループ

合う、合わないが分かれる体育会系の会社

如何でしたか?エムケイグループのタクシー運営や、乗務員採用の事。
更には、エムケイを巡るウワサまで色々お解り頂けたと思います。少しでも、皆さんにエムケイグループの姿を知って頂ければ幸いです。

タクシーの転職は転職道.com



<広告・PR>
堀瑞 勤
今年6年目の乗務員生活を謳歌している現役タクシードライバー。1967(昭和42)年生まれ。2013(平成25)年日本交通系タクシー会社のドライバーとなる。黒タク資格&スリースター(最上級乗務員)資格所有。