その転職が入口かと思ったら、出口?

タクシー運転手は離職率が高い

求人、転職

確かなデータが無いのでザックリとした数字になりますが、タクシー業界の離職率は20〜30%と言われています。私の実感でも、まあそんなものかな?と思います。

厚生労働省によると平成29年度上半期の離職率平均は、産業全体で8.5%となっています。離職率が最も高いのが宿泊業・飲食サービス業で17.6%、平均を大きく下回っているのが電気・ガス・熱供給・水道業で4.1%です。

タクシーは多分、運輸業・郵便業に分類されると思われますので、これが6.4%となっています。タクシーを単体で見た場合、離職率が突出して高いのが分かります。

タクシーは、入りやすい産業の一つと言えるでしょう。採用基準が低く経験や年齢は不問で、50代でも正社員として採用する業界は中々、無いと思います。

入りやすいと言う事は、辞めやすい事にも繋がります。「メビウスの輪」ではありませんが、表側(入口)を歩いていたつもりが、いつの間にか裏側(出口)に出てしまったのかも知れませんね。

この数字からは、「高収入」の謳い文句に誘われてタクシー運転手になったのはいいものの現実に直面して後悔し、戸惑っている姿が浮かび上がって来ます。

究極の退職理由とは免停?

運転免許は点数制度になっていて違反を繰り返すと免許停止処分や最悪の場合、免許取消処分になります。免許停止処分になれば、一定期間車に乗れなくなるので当然、収入は激減します。

そして違反の累積点数によっては、免許取消処分になります。最低1年間は車に乗れず、運転免許を再取得しなければなりません。タクシー運転手にとって「飯のタネ」である運転免許が無くなる訳ですから、結果的には会社を辞める事にもなりかねません。

違反の行政処分歴や累積点数は、1年経つとリセットされます。そこでタクシー運転手の中には一時会社を離れ、アルバイト等で生計を立てて復帰を考えるタクシー運転手もいますが、これも当然、収入は激減します。

タクシー運転手はお客様を乗せると、その習性として先を急ぎます。ついついやりがちなのが信号無視、一時停止、通行禁止などの違反です。私の営業所でも、毎日のように違反の報告があります。

ハンドルを切った先、アクセルを踏み込んだ先に、警察官がにこやかな笑顔で立っています。後悔しても後の祭りですね。

この事例は割とあるので、要注意です。

事故ほど怖いものは無い?

タクシー運転手と事故は、切っても切れない関係にあります。

事故は、「やる」「やられる」「目撃する」というパターンに分類出来ます。いわゆる当事者と目撃者ですね。

最近でも東京駅で2件、千葉で1件、タクシー運転手による事故がありました。アクセルとブレーキの踏み間違いで、どれも一歩間違えれば死者を伴う重大事故になるものでした。

やはり長時間の運転は、精神的・肉体的に疲労が蓄積して見落としや、勘違いの原因となり事故に繋がる可能性が高くなるのでしょうか?

事故は、「やられる」時もあります。 ある方は交差点で信号待ちをしていたところに、他社のタクシーにノーブレーキでオカマを掘られ、しばらく入院していました。

私の記憶に深く残っているのは、元プロ野球選手で自由契約になりタクシー運転手に転職した方が、ある日、タクシー同士の事故を目撃してあまりの衝撃で気力が萎えたのか、「もう、続けられない」と言って辞めて行かれた事です。

運の悪い事に彼は、何度か同じような事故を目撃していたみたいです。タクシー運転手になった事を、さぞかし後悔したであろうと、想像できます。

事故はどういう形態であれ必ず取り返しのつかない後悔と、心に深い傷を残します。それがトラウマになり、タクシー運転手を辞めて行く方も少なからずいます。

高収入につられて入社したものの…

求人、乗務員募集、チェッカー

タクシー運転手の給与体系は、「歩合制」が基本です。

コンビニのアルバイトなら、1時間お客様が来店しなくても時給は発生しますが、タクシー運転手は1時間お客様を乗せられなかったら、その時間の収入はありません。

「足切り」という制度があって実態はノルマなのですが、足切り以上の売上をクリアしないと、歩合もインセンティブも付きません。

それでも1年位真面目にやると、「年収400万円」が見えて来ます。どこの世界にも「凄い人」はいるもので、「600万円」超えの人も出て来ます。

しかし、大方のタクシー運転手は、「400万円」から伸び悩みます。「高収入」の甘いキャッチフレーズに誘われて入ってみたのはいいものの、長時間労働で仕事はきついは、事故や違反の危険はあるは、中々稼げないは、おまけに腰痛や体調不良になるはで、後悔の念と共に次の転職先が頭をかすめます。

また、タクシー運転手は、社会的地位が低く見られがちなので何かとコンプレックスも感じます。よく聞くのが、「タクシー運転手のところに嫁はやらない」という言葉ですかね。

タクシーに転職してから離婚したとか、結婚を期にタクシーを辞める「寿退社?」などの話を時折耳にします。

私も何度かお客様から罵倒された事がありますが、「お客様至上主義」の世界なので耐えるしかありません。同僚の話を聴くと、後ろから蹴飛ばされた事もあったみたいです。

私はこの業界に転職した事を後悔はしていませんが、もう少し普通の労働者並に扱って欲しい、と思う時もあります。

タクシー運転手に向いていない人もいる

接客が苦痛ならば運転が好きでもそもそも無理

番外編になりますがタクシー業界に入ったのが場違い、後悔の元という人達もいますので少し触れておきます。

お客様を乗せたくない運転手がいました。彼は営業所を出ると、都心を抜けてまっしぐらに千葉を目指します。そして千葉県と都内を結ぶ橋を行ったり来たりします。当然、お客様はいません。

また、いつも寝ている運転手もいました。彼は昼日勤で休憩時間は90分なのに、3時間以上はたっぷり寝ます。

どちらも気がついたら、いなくなっているタイプです。入る場所を間違えた、としか言いようがありません。当然、入社した時点で後悔していたと思います。

多くのタクシー運転手は様々な後悔や葛藤を胸に秘め、それでも笑顔を振りまきながら、今日もハンドルを握っているに違いありません。


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免独斎
東京都在住 60歳 タクシー運転手。既婚 子一人。 務めた会社が倒産した経験を2度する。様々な職種を経て、パチンコの店長からタクシー運転手へ。モットーは無事カエル。性格は面倒くさがり屋。趣味は読書とお酒、寝ること