タクシードライバーは1日の走行距離の上限が法律で定められています。
運転が好きだからと、好き勝手に遠くまで行ってはいけません。

今日はどこで利用客を探そうか、飲食店を中心にしようか、天気がいいから郊外に行った家族連れは疲れると子供が電車に乗るのを嫌がるから・・・。

など様々な理由で目標売上に早く到達することを考えなくてはなりません。

そのため、ただだらだらと車を走らせては無意味で単なる疲労の原因になってしまいます。
タクシーには乗務距離の最高限度が法律によって決められています。
全国的には隔日勤は360キロ、日勤は270キロとなっていますが、希望のタクシー会社に聞いて確認すると良いでしょう。
その理由は地域の特性があるからです。では詳しくひも解いてみましょう。

なぜ走行距離の上限があるのか

タクシー

そもそも走行距離の上限はなぜ法律で定められているのでしょう。長距離を走ることにはどんな意味がありますか?

安全のため

長距離を走るという事は単純に、タクシーをずっと走らせている状態です。
その間お客さんは乗っていますか?それなら問題はありません。そう思っている方は大間違いです。
タクシーは公共の乗り物と定義されていて、安全に運行させる義務がタクシー会社にもドライバーにもあります。

車の運転には大変神経を使います。
安全にお客さんを目的地へ送るために、または迎えに行く時にも交差点、歩行者、駐停車の車、バス、飛び出し、速度や天候による路面のブレーキの制動距離変化など、注意点がたくさんあります。それにも関わらず、いざお客さんを乗せる時に疲労困憊だったらどうでしょう?様々な注意点がおろそかになってしまいませんか?

そのため、長距離のお客さんの依頼は断ることが出来ます。これは乗車拒否には該当しません。

それなら自動運転に任せては?確かに自動運転技術は、実現可能な段階まで行っていますが実験中で問題点や課題が浮かび上がり、タクシーに装備するにはもう少し時間がかかりそうです。

地域によって上限距離が異なる

実はその上限距離は一つではなく、地域性に合わせた法律になっているのをご存知でしょうか?

札幌をはじめ北海道主要9地域では隔日は370キロ、日勤は280キロが上限となっています。
広島では隔日350キロ日勤260キロ、大阪では隔日350キロ日勤275キロと、乗務する地域で異なっています。
法整備も全国一律ではカバーしきれない部分があり、地域の特性を補うために上限距離が違うのです。
都会と田舎では、同じ距離でも信号の数が違いますよね。
同じ時間運転していても、信号や一時停止の環境によって進む距離が違う事も加味しています。

高速道路の走行距離は含まない

地域によって乗務距離の最高限度が違うのは、なるほどと思う部分がありますよね。
それに伴ってその他にも例外があります。それは高速道路の走行距離は最高限度に含めない地域があるということです。

高速道路では速度を上げて走るので、一般道路で40キロ制限のところは一時間で40キロしか進めませんが、高速道路で100キロのスピードで走った場合は実に60キロの差が生まれます。
ちなみに東京の場合は、首都高の移動距離は走行距離に含む規定もありますので注意しましょう。

どこをどのように走ったかは自分で覚えなくても、タクシーに装備されているデジタルタコメーターに毎回記録されるので今は大変便利になっています。

運転手から見た長距離運転のメリットとデメリット

タクシー

メリット

時は金なりで、お客さんを乗せて走った分だけ売り上げとなるので一日の目標に早く到達します。
ワンメーターで何度も同じ地域を攻略するのもいいですが、タクシープールや商業施設までの帰り道まで戻るときに空車の場合があります。
ですが、長距離のお客さんを乗せることが出来れば空車時間もなくしっかり稼ぐことができます。

同じお客さんがずっと乗っているので、話題に困ることはありませんか?
確かにお客さんとコミュニケーションをとって、双方楽しい時間になるかもしれません。ですが、お客さんとの話が下手でずっと話すのは苦手。
そんな自分はタクシーの運転手に向いていないのでは?と思っていたら、それは全く逆なのです。

むしろ、タクシーに乗ったら携帯やパソコンで仕事をする人やゆっくり考え事をしたい人、自分の話を聞いてほしい人、芸能人のようにばれたくない人などお客さんにはそれぞれ事情があります。
話を聞いてほしい人の場合、タクシーの運転手さんがべらべら話すと自分の話が聞いてもらえずにフラストレーションがたまります。

最近はコロナ禍でもあるので、感染防止に黙食を実行している方がいます。
それを逆手にとって「コロナ禍ですのでこちらからは控えますが、何かございましたら遠慮なく声をかけて下さい。」とお伝えするとかえって配慮が行き届いていると考え、嬉しく思ってくれるお客さんが大半ではないかと思います。

デメリット

物事には一長一短があるように、長距離でのデメリットもあります。
休憩が取れない、トイレに行きにくい等の他に帰り道でお客さんを拾えないパターンもあります。目的地が過疎の場所で、住人が見当たらない。

知らない地域で地名が分からない。これでは利用客を拾うのは難しいですね。
それは観光地でも住宅街でも同じです。そんな時は配車アプリを使って上手に利用客を探しましょう。

また営業地域が決まっている場合には、なるべく早く営業可能な該当地域に戻りましょう。
場所によっては営業してはいけない特定の地域があります。法律で、道路の過密化を防ぐために東京の銀座などいくつかの地域ではタクシーの乗車禁止地区があり、時間の取り決めや乗車乗り場以外での乗車禁止などお客さんが手をあげても拾えない規制があります。
タクシー乗務希望地区があるなら、会社側にしっかり聞いておきましょう。

走行距離のノルマは無い

タクシー

勤務形態によって、最高乗務距離があるように目指す売り上げも違います。ノルマと聞くとプレッシャーを感じますが、そんな緊張感の中で上手にセルフコントロールをして働ける方はいませんよね。
今は、走行距離のノルマはありません。

距離ではなく売り上げが目標

必ずノルマはやりきらなければならない、ノルマが達成するまで帰れない。
従業員を歯車にしているブラック企業がタクシー会社に参入するのは無理です。
安心して下さい。法律でタクシーは公共の乗り物とうたっているように、安全にタクシーを運行させる義務があります。

今の時代の目標は距離ではなく、あくまで売り上げです。
それは会社側も「タクシーは走ってなんぼ」が意味のない事だと知っているからです。稼働率を上げて収益をあげないと、健全な会社運営はできません。
目標の売り上げは、到達できない数字を掲げてしまうと無理な運転や競争が過熱する原因になってしまいます。
どのタクシー会社も従業員が大事で福利厚生が整っている会社ほど、ドライバーをそんな劣悪な環境に置くことは望んでいません。

目標金額に達したら早上がりも可能

どの業種でも目標金額が達成すると、嬉しくなりますよね。
何度も目標を達成すると頑張りがいもあるので、もっと稼ぎたくなります。

ですが、タクシードライバーには休息も必要です。目標金額に到達したら、早上がりができる会社があります。
そんな時には、会社に甘えて早上がりをさせてもらいましょう。その方が、リラックスが出来る時間がとれて家族サービスをすると、ご家族から感謝もされ一石二鳥です。

早上がりをしたら、自分にご褒美として美味しいものを食べたり、映画を見たりと仕事から離れた環境に身を置いてスイッチを切り替えましょう。
郊外の温泉で疲れを癒すのもいいですね。海や山が近いなら、遠くを眺めて視力回復もおすすめです。

タクシーは5年で廃車にする

タクシーは一日の走行距離が、一般家庭の自家用車と違って長いのでこまめな車のメンテナンスが欠かせません。
実際に何キロでどのようなメンテナンスが必要か調べてみました。

5年50万キロが廃車の目安

普通自家用車では一年に一万キロ走行するのが、目安となっています。
残クレや〇万円で新車に載れるプランは、一年の走行距離が大まかに決まっていてそれ以上走ると車の査定が下がるなんてことも。車の価値としてもそうですが、安全面を考慮してタクシーの場合は5年で50万キロが目安となっています。

いくら日本の車は安全で壊れないといっても、見えないところで金属疲労や経年劣化が否めません。
乗車前点検をして見た目がきれいでも、エンジンや足回りのサスペンション、車軸、ミッション等それなりにひずみやダメージがあります。事故防止の観点から、廃車の目安を侮ってはいけません。

毎月の定期点検と毎年の車検

一般に新車は3年で車検と決まっています。
点検は半年に一度。オイル交換も到達したキロ数か半年に一度交換すると長持ちします。タクシーも同じで、車のコンディションを保つため<e/m>に点検と車検の時期が決まっています。

点検は毎月。車検は毎年と決まっています。その前に不具合があれば、その都度点検、修理が必要です。
点検と車検の頻度が早いように、タクシーのダメージは走行距離だけが問題なのではありません。
郊外で砂利道、アスファルトの状態が悪い場所、工事現場など毎日同じ場所を走るわけではないので、車体への振動、オイルの状態、夏の熱さや気温の低い冬など考慮しなければなりません。

道路がガタガタするからと、遠回りすることもできませんし急に犬や猫が飛び出してきてハンドルを切ったら縁石にこすったなどの状況に陥るかもしれません。
毎回の乗車前の点検で何ともなくても、車体の不具合はハンドルを握るとなんか違うと感じることがあります。
ハンドルがぶれたときはホイールバランスを整えたり、タイヤの溝の状態でブレーキの制動距離も変わってきますのでタイヤを交換したりドライバーと同じく、タクシーの健康診断も定期的に行いましょう。

まとめ

タクシー

タクシーの走行距離上限はこのような様々な理由により決められています。
その他にも昔と違い、今はタクシーにもハイブリット車やEV車(電気でモーターを回すタイプ)などが使用され、どんどん環境に合わせて性能が上がっています。

どんな新車に乗車しても点検を怠ることなく、車に合った点検、車検が欠かせません。長距離を競うより、目標としてコツコツ売り上げを達成しやりがいを感じるタクシードライバーは、転職するには魅力的な職業ですね。



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