タクシー運転手は楽?大変?

新たな業界に転職する際には、その業界の勤務体系くらいは知っておきたいですよね。
とくにタクシー運転手のような特異な勤務体系の世界に飛び込むのなら尚更でしょう。

しかし、タクシー運転手に対してのイメージは人によって驚くほど変わるもの。
これには現役のドライバーも、いまだに驚かされます。

「大変だね、体壊したりしない?」と労わりの言葉をかけられることもあれば「楽そうでいいね」なんて嫌味を言われることも……。

結局のところ、タクシー運転手の勤務体系が、一般の人にはほとんど知られていないということなのでしょう。だから「大変そうな勤務」と思う人もいれば「楽そうな勤務」と感じる人もいるというわけです。

しかし、せめて「これからタクシー業界に入って運転手として働きたい」という人には、事前に勤務体系を知っていて欲しいものです。

ここでタクシー運転手の勤務体系や休日について詳しく紹介しますので、是非転職の時の参考にしてください。

タクシー運転手の勤務形態にはどの位種類があるの?

タクシー会社の乗務員募集ページや社員採用広告には、「祝い金アリ!」とか「未経験者でも年収◯◯万円以上可能!」なんて景気の良い言葉がよく並んでいますが、本当に注目して欲しいのは「隔日勤務」のような業界ならではの言葉です。

これはタクシー業界ならではの勤務形態の1つでタクシー運転手には主に以下の3つの勤務形態があります。

・昼日勤スタイル
・夜勤スタイル
・隔日勤務スタイル

 

の3つが存在します。
それタクシー業界に就職するのなら、基本給や賞与がいくらだとかの話よりも余程重要な話です。
それほど、タクシードライバーは一般的なサラリーマン達とは違う形態で日々勤務しています

昼日勤スタイル

まずは昼日勤のタクシードライバーの勤務形態から。

・勤務日数:一月で大体22~24日勤務
・給与は手取りベースで18~24万が平均

 

この内、日勤は読んで字の如く「朝営業所を出庫し、夕方営業所に帰る」パターンです。
要するに日本の一般的な正社員、サラリーマンと同じ時間帯の生活です。

休暇も月に6〜8程度なので、他業種からタクシー業界に来た人でも昼日勤のタクシードライバーならば、すぐに慣れるでしょう。たとえば、一般事務職からの転職でも、昼日勤のタクシードライバー ならさほど違和感なく働けます。

例えば、朝7時に出庫。タクシー運転手としての営業をしながら途中昼食などで1時間程度休憩。そして、夕方5時30分に帰庫と言うシフトを月曜~土曜までこなし、日曜は全休とするスタイルが一般的です。日勤のタクシー運転手の勤務形態に関してはどの法人に属したとしても大差ないと思います。

<昼日勤スタイルのメリット>

1.これまでサラリーマン勤めして来た人にとって、勤務形態に抵抗なく勤められる。
2・家族の介護をしている人や子育てのシングルマザーには、拘束時間が短いため、仕事と介護・子育てが両立しやすい。
3.とくに女性がタクシードライバー をする場合、酔客や変質者に出くわす機会が少ないので、安心して働ける。
4.残業もほぼなく、夜は確実に休めるので、翌日まで疲れが残らない。

<昼日勤スタイルのデメリット>

・収入が夜勤の約7割&隔日勤務の半分と少ない。
・営業時間が極端に少ない(帰庫時間の余裕を考え、3時半には帰り始めないとダメ)。
・病院通いなど、手の掛かる乗客が多く、効率的な稼ぎ方は期待薄。
・大概夜勤スタイルのメンバーと相番を組ませるので、夜勤の相方が居ないとやらせてもらえない。法人によっては日勤社員の求人自体がない可能性も。


昼勤に関して、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

夜勤スタイル

続いては、夜勤のタクシードライバー の勤務形態について説明します。

・勤務日数:一月で大体22~24日勤務
・給与:手取りベースで22~27万が平均

昼日勤のタクシードライバー が帰ってくると同じタクシーを使用して夜勤のタクシードライバーが営業を行います。よって夜勤のタクシードライバー は昼日勤のスタイルとは真逆です

夕方5時に出庫し、タクシー運転手としての営業しながら途中仮眠などで1時間程度休憩。朝4時に帰庫と言うシフトを月曜~土曜までこなし、日曜は全休とするスタイルが一般的です。

<夜勤スタイルのメリット>

・深夜早朝の高額利用客が対象なので、効率よく稼ぎたい人にはおすすめ。
・タクシー業務とは直接関係ないが、日中に時間が取れるので役所等の手続きがやり易い。
・タクシーの乗客と顔見知りになるケースが多く、指名で乗って貰えるケースも少なくない。

<夜勤スタイルのデメリット>

・酔客&変質者の出現が増えるため、とくに女性タクシードライバーは危険を感じる事が多い。
・男女問わず、運転中につり銭強盗や暴行等に遭うケースが高くなる。
・ドライバー業務に慣れるまで、1日当たりの営業収入が安定しない。
・昼夜が逆転するので、体調が安定せず、病気になるケースが非常に高い。

 

隔日勤務スタイル

最後に、私が今実際勤務をしている隔日勤務スタイルのタクシー運転手についてお話しましょう。

法律上の用語では「2暦日」とも呼ばれますが、解り易く言えば「一勤務でサラリーマン2日分の乗務をする」と言う意味です。

事務職のような一般的なサラリーマンは、法律上一日8時間労働が目安ですが、タクシー運転手は公共輸送機関従事者として乗客の輸送に24時間携らなければならないと言う意味合いから、出庫&帰庫の時間をずらしながら、ほぼ一乗務一日従事せねばならないという考えがあります。

そこから生まれたのが、隔日勤務という考えです。

実は、タクシー運転手の隔日勤務に関し、国の指針(ガイドライン)が存在します。平成26年8月に厚生労働大臣告示の「自動車運転者の労働時間改善のための基準」なるもので、その中にタクシー運転者に関する労働時間改善のポイントとして、指針が示されています。(この話は、あとの章で詳しくお話します)。

例えば、実際のタクシードライバーの勤務シフトは、昼2時30分出庫。
営業しながら休憩・食事時間を3時間確保して、タクシーの運転営業をしつつ翌朝9時50分帰庫
となっており「遅番(又は後番と呼ぶ会社もある)」と呼ばれます。

これに対して「早番」と呼ばれるケースでは、朝7時出庫。
営業しながら休憩・食事時間を3時間確保し、タクシー運転の営業をしつつ夜中2時20分帰庫
となります。

ある会社では、休憩3時間を含め19時間20分以内の営業と定めており、加えて40分を売上業務(納金)洗車に充て、合計20時間を一勤務の所定労働時間として、陸運局や労働局に申告し、承認を得た上でタクシードライバーに適用しています。

要するに、日勤や夜勤とタクシー運転手と違って、隔日勤務の設定は非常に厳密な運用の元成立っていると言えるでしょう。

一勤務が修了する度、私達ドライバーには「明け休み」が待っています。
法律上では、2暦日勤務をしたタクシー運転手には、最低連続20時間以上の休憩を取らさねばならないと定められています。

つまり1日働いたら、1日休みというタクシー運転手に関する噂は、ある意味正解かもしれませんね。隔日勤務スタイルの場合、月12~13勤務(通算最大26日)となり、給料は平均的に手取りベースで30万円半ばの人が多いですが、中には50万円以上を毎月コンスタントに貰うタクシー運転手も居ます。

<隔日勤務のメリット>

・ほぼ一昼夜稼げるので、努力次第で給料は天井知らず。
・一勤務毎に一明休み。家族サービスに、趣味に。翌日残らない飲み方なら、朝から飲んでもOK。
・色々な地区の道路を通過するので、ほぼ1年経てば地域の道に精通出来る。
・年末年始に、変わったオーダーが受けられる(初詣・初売りはしご&初日の出往復などなど)

<隔日勤務のデメリット>

・シフトに慣れるまでが一番大変。慣れられずに退職するケースも少なくない。
・明休みは寝てしまって、やりたい事が出来ない場合もある。
・トラブル・事故に一番合い易いシフト。
・体調を崩す&病気になる確率が高くなる。健康管理は要注意。

 

隔日勤務について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

タクシーの転職は転職道.com

勤務中の人間関係は大丈夫?

よく「タクシー運転手の人間関係はギスギスしている」という噂を良く聞きます。

確かに、サラリーマンの様な横並びの給与体系(最近は違ってるかも知れないが)ではないので、営業の出来不出来を巡って、いがみ合っている様な社内の話を聞かされます。

タクシー運転手になる人の人生模様は様々です。
いわゆるビジネス社会で失格の烙印を押されてやって来るものもあれば、経営していた会社が倒産してやってくる元中小企業の経営者がタクシードライバーになることも。

あるいは、タクシー運転手をやりながら、明けの日にメジャーデビューを目指して音楽活動をやっているセミプロのバンドマンというタクシー運転手も居ます。

だからこそ、決っして「陰鬱な人間関係が交錯するタクシー会社の社内」とは言い難いのが実情です。余り周りを気にせず、気の合うドライバー仲間と絡むだけで構わないと思います。それでタクシー会社からどうこう言われる訳ではありません。

タクシー運転手=ブラックというイメージは?

前述の通り、タクシー運転手の勤務形態は法律や諸法令によって厳密に管理されています。(出典:厚生労働省労働基準局 タクシー運転手の労働時間の改善基準のポイント

以前ある都内のタクシー会社が、帰庫したばかりの営業不振なタクシー運転手に、もう一回乗って仕事やってこい!と追い出されたって話を聞いた事がありますが、日産自動車じゃありませんが、労働局や陸運局にコンプライアンス通報でもされれば、一斉に査察に踏みこまれます。

いわゆる電通事件で、あの天下の電通に労働基準局の役人が土足で上がり込んで行くのを、びっくりしながらテレビで見られた方も多いでしょうが、タクシー会社の査察はそんなものではありません。

  1. 労働基準監督署
  2. 陸運局支局(東京は東京陸運支局)
  3. 場合によっては、検察官

上記にようなお偉いさんが調査に来ます。社長以下管理職は監督署や検察官から昼夜問わず詰問され、挙句の果ては、車両停止処分(タクシーを外へ出すことを禁じられる)になることも。最悪、タクシー会社自体が取り潰しになります。

国(国交省)から許可を受けた事業であることを、管理者だけでなくタクシー運転手も認識しなければいけない。いい加減にやっている奴が一人でもいたら、それがきっかけで会社が吹っ飛ぶなんて何時でもあると頭に入れておかねばならなりません。

タクシー運転手は、は常日頃「人の命を預かっている」仕事をやっている。
だからこそ、タクシー運転手に「ブラックな働き方」をさせてはいけない
のです。

タクシーの転職は転職道.com

まとめ

以下今回の記事のまとめです。

1.タクシー運転手の勤務形態には「日勤」「夜勤」「隔日勤務」の3つのスタイルがある。「日勤」「夜勤」は、各々相番になる人が居ればやらせてもらえるが、一般的には「隔日勤務」が主流である。

2.タクシー運転手は、既定の休日以外に「明休み」と言うものがあるため、1年間の休日数は200日を超える。公序良俗に反しない限り何をやっても自由なので、昼間から飲み会をやっている同僚や、ツーリングのクラブを作って走りに行く人もいる。

3.タクシー運転手になる人の前歴は様々。それだけに人生模様が交錯するので、決して人間関係が良いとは言えない。しかし最近は、自分の子供位な若手が入る事が多いので、徐々にだが人間関係が良くなる傾向にはある。

4.タクシー運転手=ブラック勤務は、長時間労働のイメージの由るもの。ドライバーは、
諸法律・諸法令により厳密に管理された下で働いており、それ以外の働き方は出来ない。経営
側も、タクシー運転手にムチャ振りをさせれば、会社が潰れる事を認識せねばならない。

5.タクシー運転手の生活は家族との接点も多く、趣味や実益を求める活動も自由。ただし、翌日のアルコールチェックに引っ掛らない様、呑み過ぎには注意。

読んでいただきありがとうございます。タクシー運転手の仕事に興味を持っていただけたでしょうか?タクシー運転手の求人を探す場合、普通の転職サイトではあまり求人がないかもしれません。タクシー専用の転職サイトがありますのでそうしたサイトで求人探してみてくださいね。
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