ベテランタクシー運転手がやっている道を覚えるコツ

1日で慣れるのは無理です

ある調査(複数回答)によると「タクシーに乗ってイラっとしたこと」のトップは、「道を知らない」が41%、4位には「遠回りをする」(32%)が入っています。

タクシー運転手ならどんな道でも知っていて当たり前、ということですね。

しかし、タクシー運転手はそれぞれ得意なエリアがあり、港区を中心に走るタクシー運転手が下町に行くと迷子になりがちです。逆もまた然りです。

不案内な土地に連れてこられて、お客様を降ろした後、「さぁ、戻ろうか」と思ったらまた手が挙がる。行き先はまるで分からない…。こんなパターンは結構あります。

新人さんとの会話でも、「道が分からないから不安」「道の覚え方はありますか?」、というものが多いです。

上手くアドバイスしてあげたいのですが、これが中々難問です。結論から言うと、「道は走らなければ、分からない」と言うことになります。

身も蓋もない言い方ですが、年季の入ったタクシー運転手でも日々悪戦苦闘しているのが現実です。経験を積みながら一つ一つ覚えていくのが、「王道」としか言いようがありません。

しかし、道が分からない時の対処方法や道の覚え方は、色々と工夫することはできます。特に、道の覚え方は、それを意識するのとただ闇雲に走るのとでは、一年後には大きな差になります。

鳥になった私?上から見下ろす感覚で

タクシー運転手にとって、道の覚え方のキーワードは「皇居」ではないでしょうか。

何事にも判断・行動する際には、自分の立ち位置を確認することが必要だと思います。

そういう意味では都心の中心は皇居であり、主要幹線道路は皇居を中心に放射線状に延びているか、環状線で円形に取り巻いています。まず、今走っている道が皇居に対してどの位置、どの方角にあるのかを意識するだけでも、道の覚え方に繋がるのではないでしょうか。

なので、最初の頃は地図を活用して、皇居を中心に主要幹線道路をしっかり覚えておくことをおすすめします。

私は、「3つの目」を常に心がけて仕事するようにしています。これは経営マネジメントからヒントを得た手法ですが、道の覚え方としては参考になると思います。

まず、「鳥の目」で上空から下界を俯瞰する感覚です。カーナビの縮尺を調整し皇居を中心にして、広い範囲で自分の現在位置や向かう方角を確認しながら走ります。そうすると、全体像が見えてきます。

次に、「虫の目」で目の前の景色を観察します。交差点付近にあるコンビニなどの目印になるものや沿道のファーストフード店、特徴的なビルの形などを頭の中にインプットしていきます。通過する交差点の名称は覚える必要まではありませんが、チラ見で確認しておきます。そのうち記憶に定着してきます。

最後に、「魚の目」で、出発地点から目的地までの距離と時間を記憶します。特に距離感は、料金と到着時間の目安になるので大事になります。料金と到着時間は、よくお客様から出る問いかけの一つです。この距離感と景色が合体すると、道が自然と繋がってくるから不思議なものです。

また、道の覚え方で厄介なものに、高速道路があります。最初の頃は経験値も少ないので、戸惑うことだらけです。私は空車時や休憩時間にカーナビを羽田空港などに設定して、現在地ならどの入口が一番いいのかを常に確認するようにしていました。

知らない場所を言われたらどうする?笑顔の裏で、頭の中はパニック?

タクシー運転手は新人もベテランも月の間に何回かは、道を間違えて頭が真っ白になる瞬間が必ずあります。

間違いの原因のほとんどが、確認不足です。

確認を怠るとトラブルになる可能性が大きいので、短い距離でもしっかりルート確認することが大切です。間違えたら、お客様から料金は頂けないと思った方がいいでしょう。

通い慣れた道なら、タクシー運転手よりもお客様の方が精通しているので、素直に聞くことがベターな選択になります。

道の覚え方として「お客様から聞き出す」というのは、結構タメになります。抜け道を使う定番のコースがよくありますが、すべてのタクシー運転手は、お客様から教えて頂いたと言っても過言ではありません。

カーナビは便利ですが、信用し過ぎると墓穴を掘ることがあります。ルート検索すると、「???」というようなコース取りが多々あるので、要注意です。

通り名でコースを説明して、到着地点はナビの指示どおりでいいのかくらいは、確認しておく必要があります。この作業を繰り返すことが、道の覚え方にも繋がります。

お客様から行き先を告げられた時、分からなければ素直に、「分からない」と言った方が後から楽になります。

よくあるパターンがスタート後に、「どのように行けばよろしいので?」と言って、お客様とトラブルになることです。お客様からすれば、「分からなければ、先に聞けよ!」ということですね。

特に気をつけなければいけないのが、酔客です。何がなんでも目的地を一番最初に聞き出しましょう。ほとんどのお客様が寝てしまいますから。無事ナビを入れた後は、ルート確認しながら道の覚え方の勉強ができます。

道を間違えた時は、素直に謝るしかありません。下手な言い訳は、事が大きくなるだけです。しかし、間違えた道はしっかり覚えておきましょう。道の覚え方の役に立ちます。

なぜなら、間違えた道は忘れないからです。

「道」は見えてくる?

大方のタクシー運転手は、お客様から「○○まで」と言われた時、フラッシュバックのように目的地までの景色が、順番に頭の中に浮かんでくると思います。

これは、地図と睨めっこしても得られるない感覚です。景色と、地名や建物名が合致してはじめて、進むべき道が見えてきます。

「道は走らなければ、分からない」というのは、実際にその場に行って「景色を見なければ、分からない」、と言う意味になります。

頭の中に薄ぼんやりとした地図が出来上がるのに、早ければ半年、遅くても一年くらいかかります。でも、そこからその地図が鮮明になる速度は加速していきます。

道の覚え方は自分で工夫しましょう

どのタクシー運転手もお客様から怒られています

道の覚え方を意識して、工夫するタクシー運転手ほど、その速度は速くなります。

どんなタクシー運転手も道を間違え、お客様に怒られながら成長します。その過程で、道の覚え方を体得して、一人前になっていくんですね。


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免独斎
東京都在住 60歳 タクシー運転手。既婚 子一人。 務めた会社が倒産した経験を2度する。様々な職種を経て、パチンコの店長からタクシー運転手へ。モットーは無事カエル。性格は面倒くさがり屋。趣味は読書とお酒、寝ること