必ず持たねばならない物がある

持っておいた方が良いモノも教えます

一乗務でほぼ24時間近く走るタクシー運転手は、自分の担当車両にイロイロな物を積み込んで営業へ出発します。

皆さんは、どの様なものを思い浮かべるでしょうか?
えっ、お弁当とか(汗)…まぁそうかもしれませんね(笑)。

でも、実はもっと大事なモノを積んで行かねばならない事が、諸法令で定められています。

今回は、タクシー運転手が乗務に際して「必ず持たねばならないモノ」「持っておいた方が良いモノ」についてお話したいと思います。

タクシー運転手が、乗務時に「必ず持ち込まねばならないモノ」

タクシー乗務員は、一乗務を行っている間(出庫処理時~入庫処理完了時)車内に必ず持ち込まねばならないモノが「旅客自動車運送事業運輸規則」で定められています。

その代表的なモノが「地図」です。

毎年各地区のタクシーセンターで販売される最新年度の地図を、一営業車両に一冊積んでおかねばなりません。旅客自動車運送事業運輸規則第29条で定められており、もしタクシーセンター指導員に摘発された場合、処分の対象となるのです。

そして何より大切なモノは「乗務員証」と、東京都区内営業車なら「優良事業者証」の二つです。

「乗務員証」は、タクシーセンターでの教育課程を修了(東京・大阪地区では地理試験を合格)した者に与えられる言わば「タクシー運転免許証」。

「改正タクシー適正化特別措置法」により定められたもので、全国13指定地区では、理由の如何なく掲げない場合、官憲当局に摘発される可能性があります。

指定13地区とは

札幌・仙台・さいたま・千葉・東京・横浜・名古屋・京都・大阪・神戸・広島・北九州・福岡

出庫時から帰庫するまで、この「乗務員証」は、助手席前のスーパーインボイスに備えてある「乗務員証差し」に掲げ、常時見える状態にしておかねばなりません。

例え食事やトイレ休憩で、営業車を使って移動する場合でも、必ず掲げておかねばなりません。

「優良事業者証」は、銀座の乗禁時間帯で指定乗り場に入る場合、必ず必要となります。最近は、東京・新宿・上野など各ターミナル駅乗り場に入る場合も必要になっている他、羽田空港は国内・国際を問わず原則「優良事業者証」が無いと入れません。

銀座

そして旅客自動車運送事業運輸規則に記載があるもの、処罰の対象になっていないモノとして「釣り銭」「運行記録簿」があります。

鉄道などでキャッシュレス化が進んでいますが、タクシー料金の支払いは「現金」が主流。そのため、一乗務当たり2~3万の釣り銭を積んで走ります。

そのためか、未だタクシー強盗が減らないのは、そのためなのでしょうか?ただ、業界団体ではいわゆる「キャッシュレス・タクシー」の構想は出ていないようですね(笑)。

「運行記録簿」は、万一当該車両が事件事故に巻き込まれた場合、乗務員の前後の行動を把握するために必要とされ、無論記録を取る事も義務化されています。
近年は都市や地方&大手・中小を問わず「電子タコグラフ」や「GPS走行記録データ表」が備え垂れているため、必ずしも必要はないのですが、私は今も「運行記録簿」を積んで、都度記録して走っています。

その他、法律に定められてはいませんが、高速道を走る場合に必要な「ETCカード」、ガス補充のために使用するLPGガススタンドカードなどは、絶対持たねば「アウト!」ですよね(汗)。

必ず持ち込むものまとめ

  • 地図
  • 乗務員証
  • 優良事業者証
  • 釣銭
  • 運行記録
  • ETCカード
  • LPGガススタンドカード

「あれぇ~っ、免許証は?」とおっしゃる方が居ると思いますが、私達タクドラにとって「免許証は体の一部」です。要するに「肌身離さず」が大原則なので、敢えて書きません…と言うか、乗務日に免許証を忘れて来るような輩は、「タクドラ失格」と言わざるを得ません。

その他、営業車に備え付けのため、乗務員が持ち込む必要はないもの、諸法令により搭載が義務付けられている物として、

  • 車検証
  • タクシーメーター検査証明書
  • 自賠責&任意保険加入証明書
  • 非常用発煙筒&非常停止証(赤おにぎり)
  • 非常用工具(タイヤスペア交換時に必要)
  • 災害時救援用品袋(防炎シートなどが有)

があります。

タクシー乗務員が、「持っておいた方が良いとされるモノ

今までは法的に社内へ持ち込まねばならないモノを話してきましたが、これからは乗務員が自主的に「社内」「トランク」等へ持ち込むことが望ましいとされている物品をお話したいと思います。

何といっても「必要だ」と感じさせられ、常に持つようになったのは「ハンカチ」「ポケットティッシュ」です。

「ポケットティッシュ」については、会社によってはBOXティッシュを営業車内に備え付けている場合もありますが、殆どがティッシュなどの衛生紙が備わっていない車両です。

季節柄冬に「ティッシュ持ってらっしゃいませんか?」と聞かれることは多いのですが、今では季節を問わず…例えば子供が端を吐き出したor車内で化粧中に必要となったetc色々なシーンで必要になるケースは増えています。

「ハンカチ」については、「ポケットティッシュ」ほど頻繁には使いませんが、万一事故に遭って乗客の方が負傷した場合、止血や骨折部分の固定をするために、あれば良い他、乗客が移動の車内で食事を召し上がられる際、敷物が無い場合にお貸しするなど必要とされる場合は多いと思っておきましょう。

無論清潔が基本ですから、自分が使うハンカチ以外に、お客様専用の未使用のハンカチを一本用意する必要があります。

タクシー乗務員が、「時期によって持っていこうとするモノ」

花見、春

さて、これまでは「社内持ち込み必須の品」「出来るだけあれば良い品」をご紹介して来ましたが、タクシー旅客運行の時期柄「乗務員が準備して持っていこうとするモノ」があります。

例えば… 4月の新入生歓迎コンパ&花見シーズンや、12月の忘年会シーズンに先輩達から「忘れずに積んでおけよ」と教えられたのが、いわゆる「エチケット袋」、ズバリそのモノで言うと「ゲ〇袋」って代物です。

上記の時期になると、一日の営業…特に深夜に掛け乗り込んでくるのが「泥酔者」いわゆる「ゲロリアン」(汗)。

私も過去何度も「ゲロリアン」の襲撃を受け、その後の営業がパァになってしまったことがありますが、とにかく「やらかす量」がハンパではありません。

km(国際自動車)グループの車両では、後部座席用に飛行機と同じ様なエチケット袋が差し込んでありますが、そんなモノで済む量じゃないのです(先輩が「噴水の如く」って言った事あるけど)。

ベテラン運転手から教えて貰った「ゲ〇袋」の作り方

  1. ゴミ出し用の大型ごみ袋を用意する
  2. その中に新聞紙(1枚分)を4~5枚中に敷き詰める
  3. 更にその中へ、新聞紙(1枚分)を丸めた物を5~6個入れる

これで出来上がり。

こうすれば、ごみ袋からゲ〇が染み出さず、見た目も然程グロくない形で処理出来、後はお化けを乗せた帰りの高速道のSAやPAのごみ入れにポイ!して帰れば良い訳です。

年末の主戦場を歌舞伎町や渋谷でやる先輩方々は、みな例外なくこれを持って行きますね(驚)。

車内、トランクに持ち込む物品は多い

会社によってルールは違う

さて皆さん、今回は如何だったでしょうか?

意外と、タクシー乗務員が車内やトランクに持ち込む物品が多いと思いませんでしょうか?

会社によっては、私物の持ち込みを厳しき規制している会社もありますが、殆どは必要最低限なら乗客に見えない形で持ち込んでもOKと言う会社です。

以外にも、そうした持ち込み品が役に立って、お客様に喜ばれたケースも少なくありません。

今度タクシーに乗られた際、「鼻血が出た」「ハンカチを貸してもらえませんか」と無茶ぶりをしてみて下さい。意外と対応してくれるタクドラは、多いと思いますよ。

今回もお読み頂きまして、誠にありがとうございました。



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今年6年目の乗務員生活を謳歌している現役タクシードライバー。1967(昭和42)年生まれ。2013(平成25)年日本交通系タクシー会社のドライバーとなる。黒タク資格&スリースター(最上級乗務員)資格所有。