タクシー運転手は底辺の仕事?

妻が「うちの子はタクシー運転手にだけはさせない」から言われた

ある日、勉強をしない大学生の息子に、「タクシー運転手でもやれば?」と冗談を言ったら、妻から「うちの子は、タクシー運転手だけにはさせない」と猛烈に反発されました。

まさに、底辺扱いです。妻に抗議しかけましたが、頷ける部分もあるので口を閉ざしました。

「3K」と言う言葉をご存知でしょうか?。「きつい、汚い、危険」な仕事で、誰も進んで就きたくない底辺に位置する職業の代名詞です。

一般的にタクシー運転手は、長時間労働かつ給料が歩合制なので「きつい」、違反や事故が付きまとうので「危険」、ところ構わず路駐するし路上喫煙もするので、見た目が「汚い(だらしない)」というイメージがあると思います。

「3K」の典型のような職業ですね。底辺の職業と言われても、仕方ありません。しかし、これらはすべて事実ですが、外側から光を当てた「影」にしか過ぎないと思います。内側から光を当てたら、どうなるのでしょうか?

底辺は「支える」と言う意味にもなる?

JAPANTAXI
ジャパンタクシー

タクシー運転手を取り巻く環境は、年々変化しています。

タクシー運転手は、今でもリストラや倒産など、ワケありの中高年の転職組が圧倒的に多いのは事実です。しかし、近年は新卒や女性の新入社員が増えています。これは経済的要因が大きいとは言え、職業としてタクシー運転手を選ぶ、と言う選択肢が定着しつつあるからだと思います。

新卒や女性が増えるに従い会社側も接客やマナー、サービスの向上に本腰を入れる傾向が強まっており、「ホスピタリティ」や「顧客本位」を掲げて業務改革を推し進める企業が増えています。

タクシー会社間での競争が「量から質」へと転換している訳ですね。

料金改定(初乗り730円から410円)や車椅子のまま乗れるジャパンタクシー(UD)の開発、サポートキャブ(救急タクシー)など新しい試みが次々と導入されています。。アプリ配車の開発競争も熾烈を極めています。

ジャパンタクシーなどは、乗る人すべてが絶賛すると言っても過言ではありません。特に高齢者やお子様連れのお客様に好評です。

これらはすべて、お客様の利便性に応え、広く社会に貢献するための施策だと言えます。社会を「底辺から支える」事が今後、タクシーの存在意義を高め、「生き残り戦略」に繋がるとの考え方からだと思います。

タクシー運転手は危険がいっぱい?

タクシー運転手は常に違反や事故、トラブルと背中合わせです。

違反をすれば罰金は自腹ですし、点数が無くなれば免許停止処分で、一定期間仕事が出来なくなります。収入が無くなる訳ですね。免許取消にでもなったら、職そのものを失う事になります。

同じ違反でもスピード違反や駐禁は、別格です。

国土交通省の監査対象になり行政処分を受ければ文書警告、自動車の使用停止、事業停止、最悪の場合には許可取消の可能性があります。これは点数制度になっており、交通違反を含む法令違反の累積点数によって処分の内容が決まります。

会社によってはスピード違反や駐禁は即解雇、という厳しいところもあるようです。事故も、修理程度なら給料から引かれる程度で済みますが、人身事故など重大事故の場合には内容によっては解雇対象になります。

タクシー運転手は隔勤の場合3時間以上の休憩が義務付けられていますが、休憩時間がもったいないからと走り続けて疲労困憊した結果、見事に?バイクを跳ね飛ばしたドライバーがいました。解雇になったかどうかは寡聞にして聞いていませんが、論外ですね。

お客様とのトラブルもある

酔っ払い

またタクシー運転手にとって職業柄、怖いのがお客様とのトラブルです。乗車拒否、迂回、態度が悪いなど原因は様々あります。

「えっ!こんな事がクレームになるの?」と思われるものも多々ありますが、会社は相手側に謝罪して、運転手も重ければ乗務停止処分などのペナルティを受けます。

これがタクシーセンターに実名で苦情が寄せられるとオオゴトになります。これは「センター案件」と言って、会社と当事者のタクシー運転手が弁明にセンターに行かなければなりません。案件が累積すれば、「優良マーク」を取り消され、銀座辺のおいしい乗場での客待ち営業が出来なくなります。

そしてお客様の中でも最も手強いのが、「酔客」です。

長距離の利用が多いので「良客」と言えるのですが、「車を汚す」「寝る」「怒る」という三拍子揃った武器を持っているので、細心の注意が必要です。エチケット袋は必需品ですね。

一度、私の前のタクシーが、意識のない「酔客」を4人がかりで後部座席に放り込まれる光景を目撃した時には、同情よりも悲壮感を感じたものです。

タクシー運転手は常に1人で対応する接客業

同僚の一人は常に、「タクシー運転手は気楽な商売。流して、客を乗せて、目的地まで送り届ければお金が貰えるんだから」と、言います。タクシー運転手には、このような割り切った考え方が必要なのかも知れません。

嫌な事があっても、サラッと流せるタフな精神力、相手の考えを素早く読み解くコミニュケーション力が、自分の身を守ります。

トラブルの原因は殆どの場合、ボタンのかけ間違いで、ちょっとした事がよく大問題になります。ルート確認を怠っただけで、クレームになる事もよくあります。タクシーは「密室の接客業」です。何かあっても、基本的には自分一人で対処しなければなりません。

ある日、新卒の新入社員が道を間違えてお客様に思いっきり怒られ、腰が抜けたのか、泣きながら迎えに来て欲しいと、営業所に応援要請して来ました。班長は大笑いしながら、断ったとの事。そんな彼も、今ではシレッとした顔で仕事をこなしています。

1日走って、何事もなく、無事帰る。それが優秀なタクシー運転手の条件ではないでしょうか?

きついのは事実だけれど底辺か?

年収1000万円クラスの乗務員もいる

さて、タクシー運転手という職業は底辺の仕事なのでしょうか?

多分、大方のタクシー運転手の意識は、底辺でも雲助でも、「稼げれば、いいじゃん!」というのが本音でしょう。実際に、一流企業の部課長並みに稼いでいる人もいます。

タクシー運転手の仕事が「きつい」のは事実です。決して楽な仕事ではありません。

しかし彼らは、外野からの雑音を気にせず、今日もひたすら走り続けると思います。


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免独斎
東京都在住 60歳 タクシー運転手。既婚 子一人。 務めた会社が倒産した経験を2度する。様々な職種を経て、パチンコの店長からタクシー運転手へ。モットーは無事カエル。性格は面倒くさがり屋。趣味は読書とお酒、寝ること