タクシーに乗ると、終始メーターを気にするお客さんに遭遇することがあります。目的地到着前に料金が上がると、損した気分になったと感じた経験がある人も多いのではないでしょうか。

ですが、タクシーのメーターは運転手が操作できるものではなく、距離と経過時間の併用で料金が加算されていく仕組みなのです。
車両が止まらないとメーターを止められないので、目的地や渋滞などの交通状況で加算されるのは仕方のない事。そんな時に便利なのが事前確定運賃です。

ここで初めて聞く方もいるでしょう。タクシーの運転手に転職を考えている方も、知らなかったではすまない事前確定運賃。一体誰にとってお得なシステム>/em>なのかここで詳しく見てみましょう。
どうやらアプリにが大きく関与しているようです。

タクシーに乗る前から料金が確定する「事前確定運賃」とは?

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事前確定運賃とは

事前確定運賃とは、乗ってから目的地までルートを指定することで運賃があらかじめ決められます。初めての場所や、観光などで時間を決めてタクシーのように運転手付きの車両を利用するときにハイヤーを利用する方もいるでしょう。

ハイヤーも似た様な仕組みで何時間いくらと料金を決めて利用します。観光地を回るときに、運転手さんの案内してもらえるのであちこち色々なところを周りたい、ガイドブックを見ながら観光するスポットを決めたいなど便利です。

事前確定運賃はもっとシンプルな仕組みで、タクシーを利用したいときに使います。確かにここに行きたいと決めて走行するのは同じですが、実は大きな違いがあります。それはタクシー運転手にとってもメリットがありますし、もちろん利用客にもメリットがあるのです。

事前確定運賃の料金の決まり方

事前確定運賃は、高いの?安いの?と気になるところですがタクシー会社が儲けたいからと勝手に決めているわけではありません。国土交通省が算出した係数をかけて適切な運賃を計算しているのです。
ですので、夜に利用したい場合は深夜割増料金が加算されますし降車時に障がい者割引も適用になります。

ですが、最終的に事前確定運賃を決めるのはあくまで利用客。アプリを開いて乗車地と降車地を決めるといくつかのルートが表示されます。時間で選択する方もいれば、料金で選択する方もいます。

総合的に見て、タクシー会社も利用客もあまり損得は無いように計算されているのです。

事前確定運賃のメリット

メーターを気にする必要がない

タクシーに乗って一番いやな顔をされるのが、降りる直前でメーターが上がる事です。タクシーの運転手なら誰でも経験がありますし、タクシーを利用したことがある方ならそろそろもうワンメーター上がるかなと気にしがちですよね。
理解していても止まる寸前で変わるとお互いに気まずい空気が流れます。

そんな空気にならずに、利用客に気分よく乗ってもらえるのが事前確定運賃の良い所です。最初から決まった料金をネット決済で支払っていれば、メーターが上がることはありません。決まったルートなので、少しくらい渋滞していても運賃がみるみる上がるなんてことは考えなくていいので安心です。

遠回りされて運賃が上がることもない

通常の賃走(メーター走行)では、距離と時間の併用で運賃が決まるので、到着まで時間がかかるケースや、知らない道を走って料金が思ったより高かったと言われる心配があります。

特に理由もなく遠回りはしませんが、この先に工事中の看板があり回り道をするケースや渋滞の情報が入り、迂回した方が早く目的地に着くケースがあります。

それも遠回りと言われればつらいですが、やはりある程度信頼関係が無いとちょっと難しいかもしれません。これも事前確定運賃ならあらかじめルートが決められて、運賃が発生するので最短距離を走るか最短時間を選ぶか利用者判断にゆだねられます。

事前確定運賃の注意点

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・自分でルートを選べない
・途中でルート変更ができない
・結局、高くつくケースが多い

自分でルートを選べない

どんなベテランドライバーになっても、新人のドライバーでも目的地までのルートはタクシーアプリによって決められるので自分でルートを決めなくていい点は楽かもしれません。

どんなに混んでいても、アプリで道順を決めるのは利用者です。
AIが道路状況や混雑時間などをトータルで判断して最短距離を選択します。どのルートを選択しても、思いのほかそんなに違いはないかもしれません。
もし、逆に利用者がルートを設定したい場合でもアプリの地図上に表示されるいくつかのルートから、必ず選択しなければなりません。土地勘のない方や出張などで利用するときに便利なアプリのシステムです。

途中でルート変更ができない

事前確定運賃はルートが決められて初めて運賃の設定が行われるので、途中からのルート変更はできません。最初に決めたルートでの金額ですので、ルートを外れるのは一種の契約違反に近いかもしれません。

ただし、運転手のやむを得ない判断で経路変更は可能です。ケースバイケースで、渋滞がひどい、工事中の道だった、事故があって通れないなどの場合には経路変更は可能でしょう。

さすがにどう見てもこのような場合は、通行不可なので迂回せざるを得ません。

基本的にはその他の理由でルート変更はできません。例えば、ニュースで桜の開花を見てそっちの道路を走ってほしい、忘れ物をしたので戻ってほしい、電話が来て違う場所に行かなくてはならなくなった、など個人的な理由での変更はできないのでどうしてもという場合には事前確定運賃を終了してから、通常の賃走になります。ネット決済などでの支払いは返金がありませんので注意しましょう。

結局、高くつくケースが多い

事前確定運賃の場合、ルートが決められた運賃の他に支払いが発生する料金があります。タクシーを利用したことのない方はピンとこないかもしれませんが、迎車料金と高速道路料金は負担しなくてはなりません。

走っているタクシーを拾うのとは違い、現在地まで迎えに来てくれるので迎車料金がかかります。おおよそ400~500円くらいでしょうか、各タクシー会社によって設定料金が異なるので確認が必要です。

また高速道路の料金も利用者負担になります。この料金は通常の賃走でも同じです。結局高くつくと感じるのは、こうした料金を知らずに利用した場合や途中で別ルートに変更した場合と思われます。アプリの同意事項にもそれぞれの約束事はあります。料金の発生する事なので、後悔の無いように細かいところまで目を通すのをおすすめします。

タクシー運転手から見た事前確定運賃とは?

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決まった額しか貰えず損するケースが多い

事前確定運賃は乗る側、乗せる側どちらにもメリットがあるように感じますがそれぞれの状況によって変わってきます。例えば通常のメーター走行(賃走)では時間と距離によって加算されていきます。

ですから、遠くまで走らなくても、渋滞などにはまると時間で金額が上がるのでタクシー運転手にとってはメリットがあります。

その点事前確定運賃は、同じ場所を走って同じ時間が経過しても料金が上がることがありません。通常の加算を計算しているともらえる額がもらえないので損をした気分になるのです。

ただ、ものは考えようで通常の場合、お客さんが渋滞で進まない車内でイライラするよりいいと思いませんか?ピリピリした空気より、車内の環境を良くするのも利用客の増加につながります。損して得を取りましょう。

実は道が空いていると事前確定運賃より安く済む場合があります。トータルで物事を考えるとそんなに大きく損ばかりとは言えないようです。

ルート変更をされた時は多くもらえる

事前確定運賃で決められたルートを変更すると、目的地以外でもそこで終了となりその後は通常のメーター走行になります。利用客の都合で変更する場合は、更に多く稼げることになります。タクシー運転手にとってはメリットですが、利用客側からすると損した気分になる事も。

利用客はその状況をあまりよく思っていません。料金も思った以上に払わなくてはならず、仕方なく変更するのです。もしかしたらただならぬ理由で変更するかもしれません。タクシー運転手は脇役に徹して、そのような時こそ配慮のある言葉をかけましょう。

タクシーの利用者は増える

高齢者が増え、免許返納に伴い自家用車を手放す家庭が増えてきました。鉄道網の発達している都市部では、若い人は車離れが進んでいます。タクシーの利用者は増えていますが、規制緩和や法整備でタクシーの総台数はあまり増えていません。
そのため、タクシー運転手の募集が無くなりません。さらに、タクシー運転手の高齢化によってタクシーそのものが減っている地域もあります。

転職先として魅力的な条件がたくさんあり、以前のきついイメージの仕事ではなくなったタクシー運転手は今でも募集している会社が全国にあります。特に都市部では環境の変化によりゲリラ豪雨や、電車が止まることによる帰宅難民の足としての役割を担っています。

タクシーのアプリ使用やタクシーの装備が充実しているので、利用しやすい環境にもなっています。タクシーはただの送迎だけではなく、福祉タクシーや介護タクシーのほか地域住民と密接にかかわり高齢者の買い物代行や、こどもタクシー、お墓参りの代行に地域の防犯にも一役買っていて今や無くてはならない存在です。

ドライバーの知識を活かせない

たとえフルビット免許を持っていても、決められたコースではせっかくの知識も活かせません。タクシードライバーは毎日同じ道ばかり走っているのではなく、天候や道路状況、イベントや社会情勢により常に色々な情報を加味して走行しています。

ですが、あらかじめルートはこの通りでと、指定があればそれに従って走るので本当はこっちの道が今の時間は空いているのにと思っても役に立ちようがありません。タクシードライバーの仕事としては何とももどかしい限り。
本来、何かしらの役に立てればとベテランのドライバーになればなるほどホスピタリティが高くなります。反対に新人のドライバーは助かるかもしれません。

事前確定運賃を使用する方法

アプリの使用が必須「JapanTaxi」の場合

全国区で利用されていたタクシー配車アプリのJapanTaxiが一番有名ですが、2021年春からGOと一緒になります。このアプリが初めて事前確定運賃システムを開始してから各アプリも続々と参戦。

日時を指定すると事前確定運賃が適用されないので、最初に乗車地と降車地を設定します。するとルートがいくつか表示されるのでその中から自分で選択します。その後料金が決定されるので、ネットで決済する仕組みになっています。

事前確定運賃を使用できるアプリ一覧

・GO・・・東京23区、横浜市内。登録時クーポンあり。車種指定もあり。
・DiDi・・・北海道旭川市、静岡浜松市、名古屋市、広島市。クーポンあり。
・S.RIDE・・・東京23区、横浜市内。
・JapanTaxi・・・札幌市、東京23区、京都市

上記4アプリは事前確定運賃が利用できます。ですが利用地域が限定されます。運賃は膨大なデータをもとに国土交通省が係数を決めて、利用運賃が確定するので全国で利用するにはまだまだ先かもしれません。

京都のような観光地では、外国人にとって大変便利なアプリです。登録するだけでクーポンがもらえるお得なアプリがあるので、併用するとかなりお得になるケースも。クーポンはアプリによって500~2,000円の開きがあります。その後の利用環境に合わせてアプリをダウンロードしましょう。

事前確定運賃よりもお得な定額運賃が設定されているルートがあります。都内から空港までのルートで、成田定額運賃や羽田定額運賃です。タクシー会社によってはこのように利用客が多いルートは金額が設定されているので、地方へ行った際は空港から駅まで等定額があるか聞くのもお得にタクシーを利用する秘訣です。

まとめ

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事前確定運賃の利用時にもう一つ大切なルールがあります。
それは、待ち合わせ場所に遅れた場合です。

アプリの規定に5~15分待たせるとキャンセル扱いになり、事前確定運賃適用外になります。また事前確定運賃の目的地に一定時間以上経過しても到着しない時にも、キャンセル扱いか通常のメーター走行になります。

クーポンもあり一見便利でお得な事前確定運賃ですが、システムの特徴をよく見極めて上手に利用しましょう。反対に利用したくても、地域によっては使用できない場合があります。お住まいの地域や、ご利用の地域によってもアプリが違うので確認してから使用することをおすすめします。



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