大阪の30代現役タクシー運転手に聞いてみた
さまざまな噂は飛び交っているものの、実際にタクシー運転手の仕事はどういったものなのか、実際の仕事の中身をご存知の方は少ないのではないでしょうか。
「どこにも採用されなくて最後にやる仕事」と思っている方もいませんか?ドラマなどでは、刑務所から出所してきた人がタクシー運転手になっていたり、刑事を退職した人がタクシー運転手をやっていたりという設定も多く、あまりいいイメージをお持ちではないかたもいらっしゃるかもしれません。
イメージではなく、実態をしるため、現役ドライバーのTさんにインタビューして仕事の実態について聞いてみようと思います。
現役タクシードライバーTさんの紹介
編集部「タクシー運転手っておじさんばかりのイメージがあって、 勝手なイメージで恐縮ですがTさん若いですね!お年は30代前半ぐらいですか?」
Tさん「はい。それぐらいです。ありがとうございます。中途採用の求人募集を見て入社するおじさん社員も多いですが、新卒社員として入ってくる20代の運転手もたくさんいますよ。」
編集部「そうなんですか!Tさんはいくつの年齢の時にタクシー運転手になられたのですか?」
Tさん「私は24歳で大阪の大手タクシー会社に就職しました。」
編集部「ちなみにどちら?」
Tさん「●●です。新卒で入社する方も多いですよ。」
編集部「あ~、知ってます。大手のタクシー会社ですね。」
Tさん「はい。最初のタクシー会社で6年間勤務して、新人教育とかもやっていました。いまは転職して別会社にてタクシードライバーの仕事を現役で勤務しております。」
新人教育研修もやっていた30代ながらベテランタクシー運転手のTさんに仕事内容について聞いてみました。
やっぱりタクシー運転手の仕事はきついの?
1日の仕事の流れ
Tさん「タクシードライバーの仕事の流れは、タクシー会社により若干の違いはありますから、基本的なものをご紹介します。
出社して制服に着替え、身だしなみを確認したのち会社の点呼を受けます。点呼では現在の交通情報等の連絡事項などの確認や、釣銭の準備、体調良し悪しの申告、アルコールチェックなどを行います。」
編集部「出社してアルコールチェックがあるんですね。」
Tさん「はい。お酒を飲んで寝て起きてもアルコールが残っていることがあるんですよ。ちゃんと測定器を使って社員全員が厳しくチェックされます。アルコールが検知された運転手は、タクシーに乗車できないので、その分の収入が減ります。」
編集部「タクシー運転手は自己管理が大事なんですね。そういえば、バスの運転手が酒気帯びで停職になったとかニュースでたまに聞くかも。」
Tさん「そうなんですよ。それで、会社の信用もなくなりかねないので運転手たちはお酒の飲みすぎにかなり気を付けています。
点呼が終わると担当の車のチェックにはいります。キズチェックや車のエンジンオイル、バッテリー液、ウォッシャー液等その他タイヤやライト類の点検、車内の清掃や整備確認などを行います。特に問題がなければそのまま営業に出ます。」
編集部「うわぁ~、教習所で習ったけど全部、忘れてます。自動車のエンジンオイルとかバッテリー液とか毎日チェックしているんですね。営業後は事務所でどんなことをするんですか?」
Tさん「営業が終了し会社に戻ると車の洗車をして次のタクシードライバーがすぐに乗れる状態にします。営業日報に本日の報告事項をまとめて会社に提出します。お金の締め処理をして、再度アルコールチェックをして本日の業務が終了です。
僕はそんなに使いませんが、営業終了時間が深夜の方もいるので、タクシーの営業所には仮眠室やシャワーもあるんです。シャワーを浴びて営業所で寝てから自宅や寮に帰る運転手もいます。」
タクシードライバーの勤務形態
編集部「タクシー運転手の仕事はつらくて辞める方もいるんでしょうか?」
Tさん「いますね。私は24歳からこの仕事だったのでもう慣れているのですが、生活リズムが乱れて体がしんどかったり、仕事上の苦労は肌に合わなかったり、で辞める方はいます。」
編集部「そうなんですね。勤務形態について教えていただけますか?」
Tさん「タクシードライバーの仕事はシフトにより3つの業務体型があります。日勤と夜勤、隔日勤務です。昔は業界全体で隔日勤務(かっきん)が基本だった経緯がありますが、現在はほとんどの会社で日勤と夜勤が基本となりつつあります。
まず日勤と夜勤は一業務あたり13時間以内にすることが決まっていますが、10時間から12時間以内で会社に戻るように指導される事が多いです。
一方で隔日勤務は一業務あたり21時間以内に会社に戻るものですが、16時間から20時間以内に会社に戻るように指導されるタクシー会社もあります。」
編集部「え!その隔日勤務の拘束時間20時間って辛くないですか!」
Tさん「まぁ、そういう方もいらっしゃいます。ただ、隔日勤務は拘束時間が長い代わりに翌日が明けの休みになるので、出勤回数が1ヶ月に平均12日になるという特徴もあります。」
編集部「1か月の出勤が12日ってことですか?」
Tさん「そうなんです。出勤回数が少ないので私は隔日勤務で勤務しております。ですが一般的に仕事がきついと思われる原因がこの隔日勤務の拘束時間の長さにあります。
ただカラダがこの時間に慣れてくると休養をしっかりとれば、仕事をしていない時間も長いので自由な時間を過ごせます。私はそこはタクシー運転手の魅力でもあると思います。土日休みだけれど、残業が多い仕事から転職してきた方の中には『タクシー運転手になってめっちゃ楽!』って方もいます。何と比較するのか、あとは合う・合わないもありますよね。」
タクシー営業の仕事内容
編集部「実際の運転中の仕事についておしえてください。」
Tさん「タクシードライバーの仕事は基本的には『流し』と呼ばれる、手をあげてタクシーを止めた方をお乗せして目的地までお送りする事が仕事です。上手にお客様を見つけるのには、ちょっと経験が必要かもしれません。会社内でも『流し』の研修があるぐらいです。」
編集部「そうなんですね。駅前でタクシーが並んでいたり、アプリでタクシーを呼ぶ方もいますけどあれは?」
Tさん「タクシー乗り場へタクシーをとめて、お客様が来るのを待つ『客待ち』といいます。私もたまにやりますが、メインではありません。都会の駅でタクシーに乗る方は、そんなに遠くまでいかないのです。つまり、そんなに稼げないんです。ただ、確実にお客様を見つけることができます。
タクシー乗り場は通常、駅にある事が多いですがホテルや病院、オフィス街や住宅地の周辺など数多くのタクシー乗り場があります。どこに止めるのかはドライバーが自由に決められますが、お客様が多い場所はタクシーが長い列になっているところもあります。ときには10とか20とかの台数のタクシーが並んでいたり……売上や給料のことを考えると、僕はその待つ時間ももったいないと思っちゃいますね。個人的にはおすすめできません。何時間も待ってワンメーターの客だったら、後悔しますよ」
編集部「そうなんですね。これからドライバーになりたいという方は、流しでお客さんを見つけられるようになったほうが収入が上がりやすい、稼げるということですね。」
Tさん「そうですね。あと、大手のタクシー会社に勤務したほうが稼ぎやすいでしょう。」
編集部「なぜですか?」
Tさん「駅や観光地は別ですが、『客待ち』をする場合ホテルや病院などは乗り場に入れるタクシー会社が決まっているケースが多いのです。なので、運転手はそのタクシー乗り場に止められるのかどうか確認する必要があります。あと、アプリとかでタクシーを呼ぶ『迎車』の場合はほとんど大手タクシーなんです。」
編集部「そういわれると、そうかも。病院の公衆電話にタクシーの電話番号が書いてあることありますが、もうどこのタクシー会社って決まっていますよね。
タクシードライバーをやっていてどういうことが魅力だとおもいますか?」
Tさん「流しも客待ちも通常はお客様を選ぶ事は出来ないため、お客様が乗られるまでは、どこに向かうかわかりません。なので、毎日同じ場所同じ乗り場でも違うお客様が乗られるので毎回違う場所へ向かう事になります。
それがタクシードライバーの仕事の楽しい部分でもあると思います。仕事をしながらいろんな場所に出かけることができて、美味しいお店がどこにあるとか街と食べ物には詳しくなります。そこがタクシー運転手の魅力でありメリットだと感じますね。」
まとめ
Tさんインタビューありがとうございます。ここまでタクシードライバーの仕事についてお聞きしました。
まず会社で点呼を受け、車のチェックとアルコールチェックをして営業に出ます。営業が終了すれば会社で営業日報をまとめて提出し本日の仕事は終了します。シフトにより勤務時間帯がかわっても基本的にはこれの繰り返しになります。
タクシー運転手の勤務時間は他の業種より長いかと思いますが、その分、休日も多いそうで、キツイととらえるのか、休みが多くてラッキーととらえるのかは相性次第。
高給と言われるくらいタクシー運転手の仕事で高い月給や年収を稼ぎたいならば、大手タクシー会社を選ぶことと、営業は『流し』メインにするのがポイント。このお仕事の魅力は毎日、いろんな場所に行けて休日が多いという点だそうです。
タクシー運転手の仕事で稼ぎたいならば、大手タクシー会社を選ぶことと、営業は『流し』メインにするのがポイント。このお仕事の魅力は毎日、いろんな場所に行けて休日が多いという点だそうです。