タクシー運転手になりたいと思っている方へ

現役運転手が教えるよくあるトラブルとトラブル防止策について

タクシーは接客業です。乗せる方のほとんどはごく普通のお客様ですが、まれにトラブルに発展してしまう場合も。

「犯罪者を乗せるとか危ないんじゃないの?」

と心配する方もおりますが、ないとは言いませんがそこまでのトラブルは非常にレアだそうです。ドライブレコーダー、防護板もあり、普通の自家用車よりもタクシーは防犯設備が整っているそうです。

とはいえ、トラブルがないわけではないそうです。

編集部では、現役ドライバーの方に、タクシー運転手をやっていると遭遇する困ったお客様・トラブルとその対処方法についてヒアリングしました。

タクシー運転手に聞いた!よくある5つのトラブルとその対処法

1.困ったお客さん1位は泥酔客

どのタクシー運転手の方も口をそろえて言うよくあるトラブルの代表は酔っ払いだそうです。

お酒を飲むと車の運転はできません。その為、飲み会帰りのお客様を乗せることは日常茶飯事なのですが、飲みすぎて車の中で嘔吐してしまうことも。

ゲロの始末は一番メジャーなトラブルかもしれません。そのままの車で他のお客様をお乗せするわけにはいかないので、一度帰庫して車内清掃をしなければいけません。ものすごい時間とお金の無駄。

さらに酔っぱらって、乗ったときに「●●方面の方に」とだけ言って、そのエリアに近づくころには爆睡して目的地がわからないという方も。爆睡中とはいえ、タクシー運転手がお客様の体をゆすって起こしてはいけないというルールがあるのです。それはセクハラや泥棒の疑いをかけられるため。酔っぱらって自分のせいで何かを無くしたのに、運転手がとったという乗客もいるのです。

その為、爆睡している乗客がいたら交番のおまわりさんに起こしてもらうしかありません。タクシーは法律で泥酔客の場合は乗車を断ってもいいということが定められております。

とはいえ、ほろ酔いと泥酔の境目は難しいところ。

2.事故防止は体調管理と休憩をとること

路上は常に危険が伴います。交通事故は一番避けたいことです。

事故防止のために、やっていることを聞いてみると、しっかり休憩をとるという答えが多かったです。

給料は歩合なので、頑張るほど収入は増えるのでしょうけれど、事故を起こせば元も子もない。

乗客が少ない時間帯はしっかり休む、休日はリフレッシュする、しっかり寝る、日ごろの健康管理に気を付けると言ったごくごく基本的なことですね。

長距離運転手が居眠り運転をしていたというのはすぐに全国ニュースで流れます。無呼吸症候群などが原因で、良質な睡眠がとれていないために乗務中に眠くなってしまうことが原因のようです。

タクシー会社では入社前にも健康診断があり、運転に耐えれる健康状態かどうかチェックがあります。

3.無賃乗車や詐欺師

タクシー車内

タクシーは密室の中に運転手とお客だけです。ショッピングセンターのように、警備員がいるわけでもありません。

それをいいことに、タクシーは初めから計画的に無賃乗車目的で乗る人もおります。4年以上乗務員をやっていたら1人ぐらい遭遇しているのではないでしょうか。

無賃乗車客が使う手口は

「今、手持ちがないから家に着いたら、お金を取りに行くから●●まで行って欲しい」

というものです。

「また戻ってきていただくのは申し訳ないので私もついていきます」

と一緒についていきましょう。これで断る人は相当怪しいです。

ドアを閉める際に、スマホなどをドアのところにおいて「痛て!」とさも腕が挟まったような振りをして、治療費を請求する人もおります。

タクシーでカラーコピーの1万円を出して支払いを済ませようとした人が逮捕されたという事件もありました。

警察に行って事情聴取に協力するのは非常に精神的にも苦痛ですし、時間がとられてその分、売り上げが減るので遭遇しないに越したことはありません。

4.運転手を舐めてくる客

運転手に対して、からんできたり横柄な態度をとる乗客もおります。タクシー運転手は50代60代が多く、若い運転手だから舐めて「安くしろ」など横柄な態度をとったりするビジネスマンもおります。

仕事でストレスの溜まっているホステスがタクシーに乗ったとたん、命令口調というのもよくあります。お客に笑顔で手を振り、その3秒後に声色が全く変わるので怖いですよ。

舐められないようにするために、プロ意識を持つことはもちろんですが、プロっぽく見せることも大事です。

プロっぽく見せるテクニック

  • 白い手袋をして運転する。
  • 発進、停車はスムーズに。ブレーキショックを与えない。
  • 道を覚える。(分からないと余計に舐められます)

5.道を間違えて遠回りをしてしまった

行けると思っていた道が一方通行で入れなかったとか、うっかり道を間違えてしまうということは人間なのでよくあることです。カーナビ通りに行ったらそれが遠回りということもあるかもしれません。

そういう時に、「遠回りされてぼったくられた!」とお客様がお怒りにならないようにするのも大事です。

現金払いのお客様であれば

「道を間違えて遠回りになってしまったので早めにメーターを止めますね」

と気が付いたらお客様から指摘される前に、こちらから先に申し出ることで「サービスしてもらった」と逆に気持ちよくなるお客様もおります。

後は、丁寧な謝罪と、日々道を覚えることを意識しながら運転してトラブル防止に努めることが大事ですね。

まとめ・トラブル対策をして未然に防ぐ

経験値を上げることが防止につながる

道の間違いとか、人間だからそれはある程度は仕方がないのかもしれませんね。でも、どんどん道を覚えて努力がそのまま給料に反映される点や、お客様に「ありがとう」と言ってもらえることは同時にやりがいにもつながるそうです。

あと、経験を積むほど無賃乗車できそうなタクシーを狙う人は堂々としているタクシー運転手を狙わなくなるとか。経験を積むことが最大の防止柵かもしれませんね。



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20代でタクシー業界に飛び込み、運行管理者として業界準大手の会社に就職。タクシー運行管理の他、交通事故処理や苦情対応、本社に異動してからは新人研修等も任されるようになり、タクシー関連業務の多方面で活躍。顔も名も明かせない恥ずかしがり屋