地方でタクシー運転手でやっていけるのか?

現役運転手が給料、待遇、売り上げなど……仕事の実情を解説します!

地方のタクシー運転手の実情はどのようなものなのか?

本当に生活できるのか?

これらの疑問は、これから地方でタクシー運転手の仕事に就こうと考えている人、共通のものでしょう。今の職を離れてタクシー運転手への転職を考えている人の中には、地方在住の方も多いはず。人口の多い都心ならばいくらでも仕事はありそうですが、地方の実情は不明でしょう。

実際にどの程度なのか……これは実際に地方でタクシー運転手として働いた人でしか実情はわかりません。

ここでは、実際に地方でタクシー運転手として働いている人の声を元にして、地方のタクシーの仕事の実情をお届けします。地方在住の方で、これから運転手の仕事に就こうとしている人は、どうぞご注目ください。

タクシードライバーの勤務体系について解説します

地方のタクシー会社には3つの勤務形態がある

都内を中心とした都会では、タクシー運転手の売り上げが上がりやすいのは、22時以降の深夜。終電が無くなってからは、より売上げを上げやすくなります。繁華街の近くを運転すれば自然と客が捕まることも多く、都内で働くタクシードライバーにとっては、深夜帯が稼ぎ時です。

しかし、地方でタクシードライバーの仕事をしている人に、同じことは言えません。地方都市のの多くが車社会のため、仕事でもプライベートでも、ほとんどの人が車で行動をしています。だから、終電が終わっても一気に客が増えるようなことはありません。

夜でも客の絶対数が少ないため、都心のタクシードライバーと比較すると地方のタクシードライバーは稼ぎにくく、収入を伸ばすのが厳しいのです。

ちなみに、ほとんどの地方が車社会である実情は、タクシー会社の勤務体制にも影響を与えています。簡単に言うと、都会と地方とではタクシードライバーの勤務体制が異なるのです。

ということで……まずは、タクシー会社の勤務体系に沿って、地方のタクシー運転手として稼ぐことができる目安と実情を考えてみたいと思います。

基本的に地方のタクシーの勤務体系には、

  1. 隔日勤務
  2. 2車3人制勤務
  3. 日勤勤務

と言う3種類の勤務体系があり、それぞれの勤務体系で1日の勤務時間と毎月の勤務日数が異なります。それぞれの勤務体系でどれくらいの売上があり、どれぐらいの給料が貰えるのか、地方都市での実情を考えてみたいと思います。

1. 隔日勤務の実情

タクドラ業界で言う隔日勤務は、1日勤務して明くる日は明けで休み、1台のタクシーを2人の運転手が交替で1日おきに乗るというもの。隔日勤務のドライバーは、毎月最大で15日勤務します。今後働き方改革の影響などで勤務体制や勤務時間の変更があるかも知れませんが、現状では午前7時前後に出勤し、翌日の明け方3時前後まで、20時間ほどの勤務です。

これだけの長時間勤務する職業は、他の業界と比較してもなかなかありません。1日の売上を目安に考えると、だいたい他の勤務体系の倍近くの売上が欲しいところ。そのくらい運転手が頑張らないと、他の勤務体系の運転手よりも勤務日数が少ないため、満足できる月収や年収を得るのは難しいです。

地方都市の場合、これだけの長時間勤務をしても、1日あたりの売上は平日で2万円前後、週末で2万5千円~3万円くらいに落ち着くのが実情です。

もっと現実的な給与の話をすると……1ヶ月のうち15日勤務するドライバーの場合、35万円~38万円の売上、53パーセントの歩合と仮定すると、そのドライバーの基本給は18万5,500円~20万1,400円。そこから社会保険料2万~3万円を差し引かれた金額が、ドライバーの手取りです。現在の一般的な大卒の初任給の平均は20万円ちょっとですから、大卒の初任給以下の収入と考えておいたほうが良さそうです。給与面だけに注目してしまえば、あまりおすすめできる仕事とは言えません。

2. 2車3人制勤務の仕事

次に紹介する地方のタクシー運転手の勤務体制は、2車3人制勤務。これは、2台のタクシー自動車を3人で交替しながら勤務するシフト勤務体系です。この勤務体系もタクシー業界特有のものであり、地方で多く見られる勤務体系です。2車3人制勤務のタクシードライバーは、2日出勤して1日休むというパターンを繰り返します。

  1. 初日は午前7時前後に出勤し、12時間ほど勤務したら終了。
  2. 2日目は少し遅く出勤し、午前9時頃から明けて深夜の3時頃まで、18時間~20時間ほど勤務したら終了。
  3. 3日目は明けで休み。

ぞれぞれのドライバーが、これを繰り返します。

2車3人制のタクシードライバーは、1ヶ月最大20日間勤務、10日休みと言うシフト勤務。初日は時間が短いので1万5千円前後、2日目は時間が長いので2万5千円前後、1サイクルで4万円の売上が標準的です。

1ヶ月のサイクルが10サイクルなので、平均的なタクシー運転手の売上は40万円前後です。53パーセントの歩合がドライバーの収入と仮定すると、基本給は21万2,000円。そこから社会保険料を差し引かれた金額がドライバーの手取りとなります。あくまで目安ですが、隔日勤務のタクシードライバーよりは多い収入を得やすいと言えるでしょう。

3.日勤勤務の仕事の実情

3つめの勤務体制は日勤。日勤のタクシー運転手の1日の勤務時間は最大で14時間前後です。5日ほど勤務したら1日休み、1ヶ月に6日ほど休む以外は全て勤務、1ヶ月に24日~25日勤務します。他の勤務体制と比較すると、休みが極端に少ないのが実情です。

他の業界とは違い、タクシー業界の日勤ドライバーは、昼間のみ運転するわけではありません。他の業種でいうところの夜勤のような働き方をする人もいます。そのようなタクシードライバーのことを夜間勤務と言います。

一般的な昼間勤務と夜間勤務とでは売上に大差があり、夜間勤務の方が圧倒的に売上は高額です。地方都市と言えども、やはり昼よりかは夜の方が客が多いため、儲かるのは夜間勤務。当然、給与も年収も夜間勤務のほうが上ですね。

夜間勤務は、夕方の16時頃に出勤し明け方6時頃までの14時間を営業すると、だいたい1万8,000円~2万円前後の売上になります。

夜間の日勤勤務の1日の売上が1万8000円と仮定すると、25日勤務の場合、45万円程の売上になり、53パーセントの歩合の場合は、基本給23万8500円

そこから社会保険料を差し引かれ、手取りは20万円前後となります。夜間勤務ならば、新卒の初任給以上の収入にはなりそうです。地方都市でタクシー運転手として稼ごうと思うのならば、夜間勤務がおすすめですね。

しかしながら、日勤勤務で昼間に勤務する場合、例えば、午前7時頃から夜の9時頃までの14時間勤務であれば、売上は夜間の3割以上ダウンすると思って頂いて良いと思います。

隔日勤務にしても2車3人制勤務にしても、勤務時間に夜間の時間帯が掛かっているから売上が見込めるのであり、昼間だけであれば売上は寂しいものです。

雇用形態で歩合が変わるケースもある

次に紹介するのは、都心との雇用形態の違いです。雇用形態が異なると、タクシー運転手の稼げる目安も変わりますので、このあたりの実情も見てみましょう。

まずは、正社員雇用の場合。正社員の運転手としてタクシー会社に就職した時は、売上金の45~53%がドライバーの歩合となります。タクシー会社によって歩合がそれぞれに違いますので幅を持たせてはいますが、正社員雇用の運転手の歩合が45パーセントを下回る話は聞いたことがありません

あと、タクシー会社によっては「残し」と呼ばれる制度もあります。

たとえば、歩合が53%のタクシー会社で売上のうちの5%を毎月積み立てるとしましょう。この5%の積み立て部分が「残し」と呼ばれるものであり、ドライバーの毎月の給料は48%分だけとなります。

そして、6月と12月に「残し」分の5%が6か月分、まとめて支払われるというわけです。本来払われるお金を少し先にもらうだけであり、総合的なもらう金額は一緒なので「あまり意味がない」と考えるかもしれませんが、こういう給料体系のタクシー会社も存在しています。

大手と呼ばれる比較的大きい会社にはこのような「残し」の制度があるところが多いようですね。

タクシードライバーの雇用形態は正社員だけではありません。非正規雇用……いわゆるアルバイトでタクシー運転手をしている人も意外と多いものです。

非正規雇用のドライバーの歩合は、だいたい40~45%程度。アルバイト運転手の場合、正規運転手の6割ほどの時間しか勤務しないので、いくら売り上げても歩合は一律です。

最後に歩合について。歩合はタクシー会社によってまちまちですが、何処のタクシー会社でも運転手の売上によって歩合に少しずつ差をつけています

規模の大きなタクシー会社では「ノルマ」もあり、例えば隔日勤務では35万円を、日勤や2車3人制勤務では40円をそれぞれ「ノルマ」として設定し、それを上回ると53%、下回ると45~48%まで下げると言うペナルティを課しているようです。「ノルマ」の制度を設定している会社は非正規雇用の運転手も同様のようです。

求人広告にはここまで詳しいことが掲載されていないこともあるため、採用されるための面接時に役員らしき人にしっかり確認したほうが良いでしょう。曖昧なまま雇用されてしまうと、あとで後悔するかもしれません。

これが地方タクシー運転手の仕事の実情!年収は250~300万円が平均的

努力と工夫次第で300万円以上も可能!

地方でタクシー運転手として働いた場合、稼げるかどうかと言われれば……最低限の生活はできそうです。しかし、人生を謳歌するような贅沢ざんまいの生活は難しいでしょう。時折、自分が楽しいと思える趣味に興じる程度の生活になりそうです。

地方タクシー運転手の正規社員の年収は250万円~300万円程度。これが標準的な目安と実績だと思われます。若者ならまだしも、ある程度年齢を重ねた人が満足できる年収とは言えません。また、基本給やボーナスという一般の会社では当たり前のように存在する賃金制度が、タクシー運転手にはありませんし、基本的には出世もありません。

しかしながら、努力と工夫次第で年収300万円を大きく上回る運転手も地方都市には数多く存在しているのも事実です。平均的な年収があまり良くない仕事だからと最初からドライバーとして働く選択を捨ててしまうのか、努力と工夫で高収入ドライバーを目指すのか……それは今後、タクシー業界のいち

運転手として働く方の気持ちと志し次第でしょうね。


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tatsuya
地方都市にて夜間専門のタクシードライバーとして勤務するかたわら、タクシー業界の現状について鋭く解説する異色のライター。21歳で二種免許を取得して以来、30数年間旅客自動車ドライバー職に従事する、タクシー業界のカリスマ的存在。